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第12回 火の中


ここが、火の中だと忘れそうになる。


それくらい、バリアの中は、静かで、熱さも感じなかった。


――でも、十五分しかない。


忘れないよう、繰り返し、呪文を口ずさんでいるけれど、バリアが無くなった瞬間は、熱を感じるんじゃないか。


そこまで考えると、一瞬で恐怖が私を襲った。


いけない、余計なことは考えないようにしないと。



とにかく急ごう。



私は、素早くカウンターの後ろを探した。


娘さんは、ここでよく隠れんぼをして遊んでいるらしい。


一番奥の席を見ると――


いた!


ぐったりして、倒れている女の子を見つけた。


急いで抱えて来た道を戻る。


早く見つけられて良かった……。

これなら、余裕で間に合うんじゃない?


安堵した、その時。


――ミシッ


何かが軋むような音がした。


えっ、この音は――?


バキッ!!


続いて大きな音がして、木が倒れてきた。


危ない!


咄嗟によける私。


なんとか、当たらずにすんだ。


けど。



あろうことか、出入り口が塞がってしまっていた。


どうしよう。


ここまで来たのに、出口が塞がってしまうなんて。


オロオロしているうちに、バリアが一度切れてしまった。



――熱い!!



想像以上の熱さに襲われる。


私は、急いで呪文を唱えた。


すぐに、バリアが復活したけど、私の髪は、一部縮れてしまった。


悲しいけれど、今はそれどころじゃない。


他に、出口はないの?


窓は、潰れてしまっている。


裏口もない。


あとは……、どこだろう?


絶望的な気持ちになった私は、

思わず叫んでいた。


「ラスター!!」


その声が届いたかどうかは分からない。


バキッ。


出入り口のあった場所から、鈍い音がした。


――もう一度。


さらに、大きな音がして、

外から扉が破られた。


破られた扉から見えたのは、


ラスターを先頭に、丸太を抱えて突撃してきた村人達だった。


――た、助かった……?


ラスターが、私と、女の子を引きずり出した。


さすが、細マッチョ……。

すごい力だ。


場に似合わないことを考える私に、


大きな拍手と歓声が聞こえてきた。


「シスターシーナ、バンザーイ!」


「ありがとう。本当にありがとう……」


食堂の主人は、ボロボロと涙を流している。


火の中から出たばかりで、言葉が頭に入ってこない。


ただ、立ちつくしている私に、


「シスターシーナ、やりましたね。お見事でした。」


ラスターの声が耳に届いた。


ラスター……


私、救助に成功したのね?


ようやく、現実に戻ってきた感じがした。



「シスターがいて、本当によかった」


「この村には、やっぱりシスターが必要だね」


そんな村人の声も聞こえてきた。


――私、村人たちに必要とされている?


最初は、嬉しく思った。



だけど。


……私は気づいてしまったんだ。


村人に必要とされすぎると、元の世界に帰りづらくなる、


と。



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