一番奥で 待っているもの
ずっと前に
「私が欲しいのはそれじゃない」と、
「対価を貰うこと」に対して抵抗があった自分を
思い出す。
それは 今、視れば
確かに「対処療法だから」で
「自分が在りたい場所の手前だから」、
即ち そこで止まって終えば行き着かないからだ。
こうして「ちゃんとした場所」で視れば
それがよく、わかって。
あの頃の自分の感覚も捨てたもんじゃないな、と思えるし「そもそもそれも自分」だから
「おんなじなんだ」と思えて面白い。
今でもたまに、近しい友達からは
「ヨルもやればいいのに」って 言われるけれど。
「想像して視れば」「それは違うし」、やってみてもいいけれど 直ぐ自分が飽きるのが わかる。
だからやっぱり「そういう風に出来ている」って思うし、目の前で唸っているレナを観て「向いているなぁ」って思うんだ。
"私が 「ここにいる」だけ"
では成り立たないし
"現場のレナ達だけ"でも
「ぜんぶ」じゃなくて「一部」に なる。
これは よく出来た「世界のはなし」で
ずっと昔は 当たり前だった認識
即ち「生きていた祈りがあった頃」なら普通のことであって、「お互いがお互いの意味を知り尊重していた頃は この在り方だった」。
だから 真剣に紙を取り出し始めた彼女を観ながら
時々、茶々を入れ アドバイスもして。
すっかり満腹となったお腹と共に、
お茶の時間は 更けて行ったんだ。
「じゃ、またね。ありがとう。気を付けて。」
「 うん、ご馳走様。 わあ、すっかりこんな時間。 じゃ、またね ありがとう。」
すっかり茜色に染まっている空は、いつか「島の下」で観た、燃える景色を 思い出させて。
しかし、今は軽く手を振りながら向き直る先に、「感傷の先にあるもの」が視えるのが わかる。
「 いい、色。 いい 景色。 うん、 そうだった 確かに。 「それだけ」じゃ、なかったよね。」
あの頃、まだ私は殆どなにも視えていなかったけれど
「この茜色の先に空があることは知っていたから」。
だから
あの時、ただ ボーッと空を観れて
「自分が全になっていたこと」
「一瞬だけ 空に触れていたこと」
その繋がりを繋いで、拡げて、
ここまで来たことが わかる。
「 そう ねぇ 」
テクテクと 神殿までの道を歩きながら。
「あの時座っていた 木の枝はどうなってるかな」なんて想像を巡らせていると、丁度島の反対側にある神殿の奥に「大きく木の影がある」のが わかる。
わかると言うか 視えると言うか。
「そんな景色」がスペースに展開されて、「それがほんとうだ」と わかるのだ、直感で。
「 ふぅん? なら、緑が育ってるってことか。 今度また座りに行ってみるのも、いいかもね。」
茜色 灰色 茜色 灰色と
川面に映る、色の変化を観ながら橋を渡ると もう空は大分更けて いきなり夜が迫ってきたのを感じる。
だから のんびりしていた足を、少しだけ早め
「神殿の範囲」にサッと入ると
ほうっと 息を吐いて。
「怖いわけじゃないけど 暗くなると早く帰らなきゃと思う自分」を観て笑い、そんな自分が「見た目がボロでお化けが出そうな回廊」へ入る矛盾に またクスクスと笑う。
「 ♪ さて、 と。 」
薄暗い回廊を抜け神殿内に入り、ほぼ明かりのない中をズンズンと奥へ進む。
勿論、「夜中」に来たことはないが このくらいの「薄暗さ」なら慣れたもので
基本的に屋根裏や狭間を移動している私に「怖い」という感覚はない。
だから みんなの様子を頷きながら確かめつつ、倉庫の扉目指して進み、躊躇なくその大きな扉を開けると「いつでもグラデーションの空」へ 出る。
ほう 。
「 いいね。 」
今日のまじない畑は茜色を写してか
サーモンピンクから紫へ下っていて
とても好きな色合いになって いる。
そしてそれを一度立ち止まり堪能していると、
ふと
帰りがけにレナが呟いていた内容が 浮かんできた。
「私達って ラッキーなのね」
その、「ふと漏れたほんとうのこえ」が
ふわりとピンクの空に 浮いている。
彼女の声色から読めるいろは
"自分の 呼吸を読んでくれる相手であること"
"お互いのリズムを合わせて協力し
高め合える、相手であること"だ。
「交わり」にはいろんなレベルがあるけれど
本来
そこには「意思」「意図」「意識」が反映し
私達はそこで「なにかを創ること」
「生み出すこと」
「発見することができて」、
「形を創ることもできるし」
「向こう側に繋がる糸口を掴むことも できる」。
そう、それもまた「取っ掛かりのひとつ」で
「探求の先にほんとうのことを見付ける」、一種なのだ。
別にそこに 「高尚」「下賎」「良い」「悪い」等の区別はなくて
あるのは「取っ掛かりである」、という「形ある世界の物事の一部」という見た目の違いだけであり
「せかい」へ至る為の糸口に 差別はない。
「 そう、ね。 」
それに 思えば
ただ「お互いを尊重し」
「呼吸とリズムを合わせる」だけ という、
「とても基本的で 簡単なこと」が
とてつもなく難しかったこと
その観点で観れば
やはり「色眼鏡なく世界を観ている者」はまだとても少なく、「世界では眼鏡を外す前に そのお眼鏡に適う色を求めている段階である」。
「 成る程ねぇ 」
そして 私達はその先を超えて始まる旅を支援する為の措置を今とっている「ところ」であり、世界にある「段階」は まだまだ様々だ。
その「ひとつひとつの旅」は「人の生き様」だから
近くで観れば「長い」けれど
引いて観れば「一瞬の点」である。
「 「気の遠くなる様な 年月」って よく、言うけど。 まあ、そうでもあるけど そうでもないんだろうな。 」
そう口に出して呟く私に せかいはとても優しい。
紫が掛かる地平線に ぐっと「濃青」が浸出して
「肯定をする」と共に、「夜になる前に帰れ」と促しているのだ。
「 うん。 ありがとう。 」
だから その「いろ」に返事をすると、
「ポン」と小さく跳んで くるりと自分を切り替えて。
その「幸福な色が待つ自分のところ」へ
帰ることにしたので ある。




