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透明の「扉」を開けて  作者: 美黎
25の扉 発光
2147/2150

繋がる先は 同じ


 おかわりに置いてあるクッキーは

  まだ 数枚しか減っていない。


 熱々のカップも 

 既に室温と馴染みゆったりと鎮座していて、

  「私達の話題」以外は。


 相変わらず リラックスの空気が流れている、

 可愛いらしい レナの控え室。


 この、「空気の差」を感じながら

「さっきまでの話題」と「レシフェの芯」、それを二つ並べてみると 「この状況」と「それ」はとてもよく似ていて、やはり 世界はフラクタルなのだなぁと 

 スペースの景色を観て 納得する。


でも、()は今 納得だけしていれば良い訳じゃなくて、それを彼女に伝える為に ここにいるのだ。


   

      そういうこと よね。


 だから チラリと私のことを見た、その瞳を捉えて

 きちんと 話を始める。


「   あのね、 じゃあなんで。 レシフェは「変わらないだろう」って、言うのかって いうと。」


「う、うん。」


  なんか レナの返事が。


 いつもの私みたいになっているから、笑いそうになるけれど 彼女は真剣である。


 だから 私もきちんと姿勢に筋を通し 直して

 しっかりと茶色の瞳を観ながら 

 もう一度ゆっくりと 口を開く。


「   レシフェは、「もう見つけてるから」なんだよ。 「自分の目的」を。 「やること」、「やるべきこと」?「人生をかけてやる、なにか」を。  それが、レナとか 今、彼がやってることとかなの。 ほら、よく私達「落とし前をつける」って言ってたじゃない? それって、「自分なりのこたえ」なのよね。 彼は私が出会った頃から、それを追ってたし だから今、私達を率先して手伝ってくれてるし、あそこ(金の家)にいても誰も文句を言わないんだよ。 」


「………………………なるほど。」



  ゆっくりと しかし畳み掛ける様に

  ()が「彼の芯の話」をするから。


  レナと共に 「シン」とした部屋は

 「今ここ」にも一本筋が通ったことを 現している。



「  うん。   かっこいいよね。」


「…………言わないでよ?私も、言えないもん。」


「   んー? もしかしたら私はどっかで言ってると思うけどな? でも、ずっと前だよ? レシフェ時々カッコいいのは事実だよね。  てか、そうかぁ  レナ、うーん 確かに言えないのか。 うん、これを機会に言えばいいんだよ。 何事も 素直が一番。」


「………いきなりなに?ってなるじゃない。それに、時々じゃなくて。…いつもカッコいいわよ。」


「    それ、言わなくてどうするんですか レナさん。」


「無理無理無理。今更だもん………言えそうなら、言うけど。」


「  そう、その意気よ。  そう言ってくれれば、もっと世界は輝くわ。」


「ちょ、冗談はいいとして。………でも、なんかヨルの言いたい事は分かった。」


「   うん? ほんとうなんだけどな  」


 多分 冗談抜きに

 レナが日々、正直に彼を褒めれば。


 レシフェには もっとチカラが漲るから

 実際それで世界がもっと上手く廻る。


人間(ひと)のモチベーションとはそういうもので、彼女は彼の光を増幅することができるのだ。


それは「お互いが相手を尊敬と尊重しているから」に他ならなくて、あの二人はこれからのいい見本にもなるだろう。



 そしてまた、再びそれを受けて考え始めているレナを観ながら 私も順調にクッキーを減らすことに専念する。


  まあるいかたち

  しかくのかたち

   花形っぽい なにか


 そんな「いろんなかたち」を楽しみながら、

そろそろ手を伸ばすのを止めよう、そう思っていると

再び「基本的な疑問」が 返ってくる。



「でも、さぁ?………それなら、なんで「する」んだろう?「愛」も関係ない、勿論「子供云々」はあるけど、そもそも貴石なんて。………それは除外して存在してるじゃない?………えっ、てかやっぱり「娯楽」?…なの?んん~?」


「   そうね 」


 確かにこれは基本的な疑問だが

 そもそも「この世界の設定がずれてる」から

 この疑問は 起こる。


そう、さっき 私が一人でぐるぐるしていた様に。


    そもそもの そもそも


 「私達が どういう存在か」、それを考え直さねばここは超えられぬ山であるし そろそろそこ(本質)へ着手せねばならない。


多分、この質問は そういうことなんだろう。



 だから レナの「微妙な(ハテナ)顔」を観ながらも

スペースのなかみを整列させ、「今 一番通り(わかり)やすい順」に並べながら 口を開いていく。


「   あのね。 それは「そもそもがずれてるから」、なんだけど。」


「うん。そもそも?」


「  そう。  実際さあ? 所謂、なんで奥さん以外の人としちゃいけないのかって言えば、子供のことがあるからでしょう?まあ、「公の理由は」、だけど。 血縁がどう、とかで。 」


「うん。」


「 でも、先ず、 そもそも「愛が必要で」、更に「奥さんとしかできない」なら、政略結婚は成り立たないワケ。」


「ほう。」


「   ふふ。それに、「種の存続」、「家の存続」()()が目的なら、別にそれは誰と()()()、いい訳じゃん?」


「…………ふうん?」


 段々と 丸い瞳が更に丸くなる様子と

 「私」っぽくなっている、レナの返事がツボだけど

 今は真剣な話をしているから 笑ってはいけない。

 

「  それで、 他の動物とか、まあ 植物、いろんな生き物達が「そうやって増えるやつもいる」から、「私達もそうだ」と思い込まされている? そう教えられてきた? まあ、「そういう風になっている」から、「そういうもんだと思ってきた」んだよ。 ()()()()()、そうじゃなくても。」


「…………なる、ほど?」


「 うん。 てか、その有り余る矛盾に誰も気づいてないワケ。 いや、気付いてないって訳でもなくて、気付いてるけど 覆せなかった?のか。 ほら、自分の考えを貫こうとして「いなくなった人達」のこと。 聞いたことない?レシフェとかから。」


「………彼からは、無いけど。エルバからなら、「そうかな」って思うのは聞いたことあるかも。」


「  そうね。 姉さん絡みのこともあったかもね。 まあ、でもそうやって 長いこと「これ(交わり)」は 古く重い箱の中に入っていた。 自分がそうだったから、よくわかるけど 「触れちゃいけないこと」、じゃない。 大っぴらには。」


「まあ、そうね。真っ昼間から広場でする様な話じゃないのは、確かよ。」


「   ふふ、 時と場合を選んだ方がいいのは、そうだけど。 扱いが「タブーの域」に入ってる。  ホントはそんなものじゃないのに。 そういう空気を創り上げてきたのよね、そうしたい人達が。 まあ、隠しちゃえば都合がいいこと、いっぱいあるじゃない?」


「うん。」


「  それが積もり積もって、周りに回って、「今」なワケだけど。  で、質問に戻るんだけど「なんでするのか」は、人によって違うと思うから なんとも言えない部分でもあるよね。 その、自分が培ってきた「人生()の中」で、 何がどう影響するかは人によって違うから。 でも 足りないものを埋める為に「それを利用してる」のは、そうだと思う。」


「ああ、それはなんか。分かる。」


 彼女は 私よりもずっと沢山、この世界で「そんな場面」を観てきたんだろう。


 納得の滲んだ瞳はもう、揺れておらず 

落ち着いた様子でカップを手に取り 手で温めている。



 だから ()もまた、「その納得」が 成るのを待って。


 ゆっくりとお腹を摩りながら

  ただ (くう)を観ていたんだ。







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