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花をあげよう  作者: 花咲 匠
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第七話 予期せぬ客 Part,2

 菊岡が去ってから、店を閉めてから、家で昼食を摂る優。

 そして、なぜかそこには美咲もいて、二人で食事にしている。

 このあいだ、家に上げてからというもの、お昼が一緒になると、ご馳走するようになったのだ。


 「それで、さっきのヒトとはどういう関係なんですか? 剣術の師匠のトコロで一緒に学んだとか言ってましたけど?」


 例によってパスタを食べながら、興味深げに聞く美咲。


 「相変わらず、記憶力いいですね。 ええ、その通りですよ。 私の方が年上ですし、兄弟子とかいう立場ですかねぇ」


 記憶力の良い美咲に感心してから、その言葉を肯定する。


 「ふ~ん、そうなんだ。 じゃあ、なんであのヒトは、ヤクザみたいだったの?」


 「なんでもなにも、ヤクザですよ、あのヒト達は」


 ダイニングテーブルから身を乗り出して、またまた、興味津々な顔で聞いてくる美咲に、平板な声音で言う優。


 「ええっ! そうなの!? 優さんがそういうヒト達と接点があるなんて意外だわ!」


 ひどく驚いた口調で、目を見開きながら言う。

 心底しんそこ意外だったらしい。


 「そうですかね? じゃあ、私はいつも美咲さんにどんな風に見られているんですか?」


 「えっ、花ばっか眺めてたまに料理をする爽やかな青年?」


 呆れたように、それとなしに聞く優に対し、自分で気付いていないの?とでもいう風に述べる美咲。


 「私はそんな風に見られてたんですか。 ……意外と、体育会系なんですけどねぇ、私は」


 落胆した様子で呟く。

 その言葉に美咲の目が光り、詳しいコトを聞きだそうとする。

 いつもは、なんだかんだで、はぐらかされて終わりなので、詳しいコトを聞ける貴重なチャンスである。


 「例えば、どんなスポーツをするんですか?」


 「んー? でも、だいたい何でもできますよ、私は。 勿論もちろん、専門は剣術ですがね」


 いつも、こういうあやふやな答え方をするので、突っ込んで聞いてみる。


 「剣術はどれくらい強かったんですか? あの、菊岡さんとはどっちのほうが強かったんですか?」


 「剣術に関しては、ほとんど負けませんでしたねぇ。 師匠には一度も勝てませんでしたが。 菊岡さんと稽古けいこしても負けたことは一度もありませんねぇ」


 からりとすごいことを言ってのける優。


 「ほぼ負けなしだったんですかっ!? それって、かなり強いんじゃないですか?」 


 ほぼ負け無し宣言を聞き、驚いて、若干裏声になりながら聞く美咲。


 「どうなんでしょうね? 私自身よくわからないんですよねぇ。 あまり大きな大会がないもので」


 首を傾げながら、昔を懐かしむように言い、最後にこう締めくくった。


 「まぁ、私は剣術よりも花のほうが好きなので、別にどうでもいいんですけどね」


 ほぼ負けなし宣言をしたくせにそんなことを言い、ほがらかに笑う。


 「そ、そうなんだ……。 じゃあ、それでいいんじゃない?」


 苦笑しながら、適当に肯定する美咲。




 「今日もまたご馳走してくれて、ありがとう優さんっ! スゴイおいしかったから、またお願いしますね!」


 「ええ、いいですとも。 いつでも、いらしてください。 洋食しか作れないので飽きさせてしまうかもしれませんが……」


 満面の笑みで感謝を伝えてくれる美咲に嬉しさを感じつつも、自分が洋食しか作れないというのを密かに気にしているので、どうしてもマイナス思考になってしまう。


 「いいえっ! 全然飽きないから、大丈夫です! 贅沢ぜいたくを言えば、毎日毎食でも食べたいぐらいですよ」


 目を輝かせながらの言葉に、ホッと胸を撫で下ろし安心したように微笑む。


 「そうですか、それはありがとうございます。 では、また今度もご馳走させてもらいますね」


 「え、ホントですかっ!? ありがとうございます! じゃあ、また来てもいいんですか?」


 これまた、目を輝かせながら言う美咲に自信たっぷりに口を開く。


 「ええ、是非いらしてください。 腕によりをかけるので」


 「期待して待ってるわ。 じゃあ、また今度ね!」


 「はい、ではまた今度。 さようなら」


 手を振りながら去っていく美咲を見送り、路地を曲がって見えなくなってから自分の店に向かう。


 「さてと、組長が依頼した仕事でもやりますかね。 あんまり、待たせると悪いですしね」


 これから仕事をするというのに、楽しそうに独白どくはくし店の電話で組長に電話をかける。


 「あ、もしもし、花屋ギフトです。 そちらに組長はいますか?」


 『おぉ! 優か! 久しぶりだな!』 


 「あぁ、組長でしたか。 お久しぶりです」 


 『なんか、イイコトでもあったか?』


 「そうですねぇ……」


 その後、この二人の会話は4時間も続くのであった。


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