第7話 俺がなんとかする(本当に何とかする)
「俺がなんとかするよ」
強く宣言した俺に、
「もぅ、正道くんってば。高校生になんとかできるよう金額じゃないでしょ? でもそう言ってもらえて嬉しかった。気持ちだけはありがたく受け取っておくね。ありがとう、正道くん。元気、出たよ」
桃花がほほ笑む。
わずかに陰りを感じてしまうほほ笑みだ。
そんな桃花に俺は言う。
「いいや大丈夫だ。俺に任せろ。俺が必ず何とかする」
「わおっ、すごい自信。じゃあもし何とかなったら、そうだね……お礼になんでも言うこと聞いてあげる」
「なんでもって」
「うん、なんでも」
「そんなの別にいらないっての。あと、あんまり女の子が気安くなんでもするとか言うなよな? 警戒心が薄すぎるぞ? 世の中、悪いやつはごまんといるんだ」
それこそ町工場の乗っ取りを企てた取引先のように。
「だから、もしって言ってるでしょー。もし万が一そんなことになったら、お礼なんてしてもしきれないんだから。だから言ってもいいんですぅ」
まぁ普通はそうなんだろうが、俺は違う。
だがそれを説明するのは今じゃない。
そんなことを長々と説明するよりも、今はまずなによりも桃花の実家の借金を清算して、桃花の苦しみを取り除くことが先決だ。
一刻も早く、桃花が安心して眠れるようにしてあげたかった。
だから桃花の提案は軽く流しておく。
「そこまで言うんなら、その時は適当なお願いを適当に聞いてもらうよ」
「うん、そうしてね」
「さてと。晩御飯も食べ終えたし、そろそろ帰るか」
俺はそう言うと、すっくと席を立った。
遅れて桃花も立ち上がる。
「今日はいろいろとありがとう」
「俺はただ話を聞いただけだよ」
「励ましてくれたし、ご飯も奢ってくれたでしょ?」
「ご飯を奢ったのは、話を聞かせてもらったお礼だな。……すみません、お会計をまとめてお願いします」
店員さんに声をかけて、普段使いのブラックカードで支払いをすると、ファミレスを出た。
「正道くん、高校生なのにクレカなんて持ってるんだ?」
「まぁな。家族カードってやつだ」
「わぁっ、クレカって家族のカードなんてあるんだね。知らなかった。正道くん、すごいんだね」
「これに関してはもう完全に、すごいのは俺の親かな」
「ふふっ、言われてみればそうかも?」
「暗いし、家まで送っていこうか?」
「ううん、今日は一人で帰りたい気分だから」
「そっか、了解。気を付けて帰るんだぞ」
気持ちが軽くなったといっても、まだ桃花の中で問題が解決したわけではない。
一人で帰りたい=一人になりたい、という桃花の意思を俺は尊重する。
ま、すぐに解決するんだけどな。
「うん、ありがと――って、それよりもごちそうさまでした、正道くん」
「どういたしまして」
「また学校でね。少なくともすぐには辞めないと思うし、その時は正道くんに絶対に伝えるから」
「いいや、その心配はいらない。なぜなら俺が絶対に辞めさせないからだ」
「ふふっ、そうでしたー」
「じゃあな、月曜にまた学校で。バイバイ」
「うん、バイバイ正道くん」
俺が歩き出すまで律儀に手を振っていた桃花に見送られながら、俺は一人暮らしをしているタワマンへと帰宅した。
帰ってすぐにとある人物に電話をかける。
きっかり3回コールで反応があった。
「鹿島さん、こんばんは。俺です、正道です。夜分にすみません。いえ、今日は父さんではなく、鹿島さんに調べて欲しいことがありまして。……はい。花宮製作所という町工場に融資をしている銀行と、その担当者を調べて欲しいんです。できればなるはやで、あと父には内緒で。あくまで俺の個人的な話なので。……はい、はい。ありがとうございます。お願いします」
電話の相手は父の秘書の一人で、とかく忙しい両親と俺との間を取り持つ世話役担当の鹿島さんという女性だ。
学校の面談や授業参観などは、基本的にはこの鹿島さんが代理で出てくれていた。
獅童家の遠い分家の人で、年は俺の9歳上だったかな。
小さい頃には、鹿島さんが本家(俺んち)の集まりに顔を出した後に、一緒に遊んで、お風呂に入れてもらったり、一緒に寝たりしたこともある間柄だ。
お互いに小さい頃から知っているのもあって、俺は鹿島さんに全幅の信頼を置いており、なんでも話すことができた。
ちなみに俺の初恋の女性でもある。
それはそれとして。
その後、俺の知りたい情報を爆速で調べあげてくれた鹿島さんから、折り返しの電話をもらって融資元の銀行と担当者の名前を聞くと。
俺は担当者にアポイントを取り、現在10億ほどある俺の貯金の一部を取り崩して、融資を一括で返済した。
本来なら土日は営業日ではないんだが、ライオネル・グループ総帥の父さんの名前を出したら一発だった。
親ガチャSSRはこんなところでも伊達じゃない。
というか担当者どころか週末ゴルフ接待で遠出していた支店長さんまで急遽同席して、「わたくしども、何か粗相をいたしてしまいましたでしょうか?」と恐縮しきりだった。
これはもう本当に心から申し訳なかったので、貯金の一部をこの銀行に預け替えしておいた。
そしてこれは当然の配慮だが、債権・債務関係が発生しないように、俺から町工場への無利子・無担保の融資という体にしておいた。
(無利子融資であっても、個人から企業への場合は両者ともに課税対象とならないのだ)
これにてまずは第1章が終了です。
どうでしょうか?
なかなかカッコいい主人公ではないかと、自分では思っているのですが……!(>_<)
凡人は凡人でも「ハイスペ界の凡人」です。
正道を気に入ってもらえたらぜひ「ブックマーク」と「★★★★★」を入れてもらえたら嬉しいです♪
ランキングが上がればたくさんの人に見てもらえるので!
なにとぞ、なにとぞよろしくお願いいたします~(*- -)(*_ _)ペコリ




