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自称「平凡」の家柄最強Sランク高校生は、大企業の陰謀を完膚なきまでにぶっつぶす  作者: マナシロカナタ(かなたん)★ネコタマ3巻&恋AIフラグ1巻★発売
第4章 学園のアイドルを買ってしまった・・・

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第30話 朝起きるとそこには――

「――くん? ――きよう?」


 朝。

 俺がゆるゆるとしたまどろみの中にいると、声が聞こえた。


 女の子の声だ。

 穏やかで心地よい、聞いているだけで幸せになるような、天使のごときハニーボイスだった。


 半ば夢うつつな曖昧な記憶の中で、「あれ? ここは実家じゃなくて一人暮らししているタワマンだよな? お手伝いさんはいないよな?」などと思っていると、再び声が聞こえた。


「正道くん、朝だよ。そろそろ起きよう?」


 ああ、ああ、うん。

 そうだった。


 意識が急速に覚醒を始め、俺はすぐさま状況を把握した。

 そういや、昨日は桃花が俺のタワマンに泊まったんだったけか。


 目を開くと、思った通り桃花がいた。

 ベッド脇で少し前屈みになって、俺の顔をにこやかな笑顔で見下ろしている。


 高校の制服にエプロンを身に着けているのは、朝ご飯を作ってくれていたのだろう。

 昨日の夜に作ってもらった晩御飯が半端なく美味しかったことを、俺は自然と思い出していた。


「おはよう桃花。ふぁ……」


 脳が酸素を求めて自然とあくびが漏れ出でてしまい、俺は慌てて右手で口を覆った。


「ふふっ、おはよう正道くん。グッモーニン♪ よく眠れた?」

「ああ、ぐっすり。桃花がベッドから出て行ったのも気づかなかったよ」


「ふふん。起こさないように細心の注意を払ったからねー」

「悪い、朝から気を使わせちゃったみたいで」


「わたしは育ちがいいから、家主さんに迷惑かけたりはしないんですー」


 桃花が両手を腰に当てて、ちょっとドヤった顔で言った。

 とても可愛らしい。


「残念ながら育ちがいい人間は、自分で育ちがいいとは言わないんだよなぁ」


「それはそうかも? まずもって正道くんが、ぜんぜんそんな素振りを見せないもんね。超お金持ちでほんとびっくりしたし」


「俺の場合はマジで言ってもいいことないからなぁ。いやほんと……」

「実家が太すぎるのも大変だねぇ。あはっ♪」


 桃花が楽しそうに笑った。


 ちらりと時計を見ると6時半の少し手前。

 目覚まし時計の鳴る時間=いつも起きる時間のわずかに前だ。


「もしかしなくても、目覚ましをかけた時間を確認して、起こしにきてくれたのか?」


「だって目覚まし時計の音って、鳴った瞬間にドキッてするでしょ? やっぱり朝は平和に起きれるなら起きたいもん」


「サンキューな。桃花のおかげで、今日はいつになく気持ちよく起きられたよ」


 気が利くというのは、こういうのを言うのだろう。

 俺も見習わないとだ。


「よかった♪ 朝ご飯ももうすぐできるから、顔を洗って支度してね」


 そう言うと、桃花は軽やかな足取りで俺の部屋を出て行った。

 途端に部屋が静寂に包まれ、そのことになんとも言えない寂しさを感じてしまう。


 さっき見た桃花の笑顔が、脳裏にふっと浮かんだ。

 昨日までは寂しいとかそんなことは、一度も思ったことがなかったのにな……。


 妙な感情を吹き払うように俺は大きく息を吐くと、


「目覚まし時計以外で起きたのは久しぶりだな。よしっと、せっかくの気持ちのいい朝だ。ぐずぐずしてないで顔でも洗ってくるか」


 ベッドから起き上がると、洗面所に向かった。

 こんな爽快な朝なんだ。

 うだうだしていてもいいことないよなっ!


 顔を濡らす冷水は南アルプスの雪解け水のごとく気持ちよく、おかげで妙な気持ちはすぐに吹き飛んでいった。


 OK。

 いつも通りの俺だ。

 俺は顔を洗うと軽く身支度をすませ、リビングに向かった。

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