第28話「このまま一緒に寝ても、いいかな?」
「俺に感謝してくれるのは嬉しい。でも変な恩義とかは感じないで欲しいんだ。俺と桃花は友だちだろ? 友だちってのはどっちが上とか下とかじゃなくて、対等な関係なんだから」
「それは……うん、そう。友だちは対等だよね」
「そして友だちが困っていたら助けるもんだろ? もちろん俺だって困っていたら、桃花に助けてもらいたい。もちろんお互いのできる範囲で、だけど。家事を手伝ってくれたみたいにさ」
「正道くんが困ってたら、わたし絶対に一番に助けるから」
桃花が一生懸命な口調で言った。
「サンキュー桃花。ってわけで俺たちは友だちなんだから、対等に行こうぜ?」
「……うん、そうだね」
「お、元気出たみたいだな。声に張りを感じるぞ?」
「そりゃあね。すっごく誠実に励ましてもらったもん。これで元気出さなきゃ友だち失格でしょ?」
「よーし、その意気だ」
「でも、ふふっ――」
桃花が急に笑い出した。
「なんだよ? 急に笑ってどうした?」
「正道くんって超・超・超! 真面目くんだよね。黙ってたら『お嫁さん検定1位』の学園のアイドルとえっちなことができたのに。そんなだと人生損しちゃうよ?」
「おいおい、俺の人生が損なわけないだろ? おこづかい月1000万円の親ガチャSSRの御曹司様なんだぞ? 生まれた時から勝ち確だっての」
「なんてゆーか? もう額がすごすぎて、何度聞いても現実感がないんだよねぇ」
思わずと言った風に苦笑する桃花に、
「それはそうかもな」
俺も苦笑を返すのだった。
「高校生でタワマンで独り暮らしをして、5000万円をパッと代わりに払ってくれたりとかあるから、まだ信じられるけどね。……ふぁぁ」
と、桃花が不意にあくびをした。
なんとも可愛らしいあくびだ。
「そういや真夜中だったな。そりゃああくびもでるよ」
「えへへ、緊張が解けて安心したら急に睡魔が襲ってきたみたい……ふぁぁぁぁ……」
桃花がもう一度、あくびをする。
「明日も学校だしな。いや、もう日付が変わって今日か。ってわけで、さっさと寝るか」
「ねぇ、正道くん?」
「ん?」
「このまま一緒に寝ても、いいかな?」
甘えたような桃花の声。
俺はほんのわずか逡巡してから首を縦に振った。
「いいぞ。ここまで来たらたいして変わらないし」
さっきの妙なムードはすっかり消え失せている。
友だちと一緒に寝るくらいは大丈夫だろう。
「えへへ、やった♪ っていうか」
「なんだ?」
「今更だけど、このベッド大きすぎない? これって本当に一人用なの?」
「そうだけど? ちなみに実家のベッドはもっと大きいぞ」
「あははー、これより大きいベッドとか、本当に意味が分からないくらいにすごいよね。今度、写真で見せてよ?」
「了解だ……ふあぁ」
と、俺の口からもあくびが零れ落ちる。
どうやら俺も、ホッとして眠気が戻ってきたようだ。
俺は少しベッドの端に寄ると、枕の右端に頭を乗せた。
桃花が枕の左端に頭を乗せる。
掛け布団は1つで共有していたので、桃花の体温をじんわりと感じる。
「おやすみ桃花」
「おやすみなさい正道くん」
「いい夢を」
「正道くんも――」
こうして穏やかな温もりに包まれながら、俺は眠りに落ちていったのだった――
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