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お小遣い月1000万円の親ガチャSSRの俺が【お嫁さん検定1位】の美少女を買ったわけ。「町工場の乗っ取りとか、俺が絶対にさせないから」  作者: マナシロカナタ(かなたん)★ネコタマ★3巻発売決定!☆GCN文庫
第1章 獅童正道は巨大財閥の御曹司である。

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第2話 『お嫁さん検定1位』花宮桃花

「やっぱり獅童くんだ」


「ええっと花宮さん、こんばんは」


「こんばんは、獅童君。それで獅童くんはなんでいきなり抱きついてきたのかな? 身投げって言ってたけど?」


「や、その。さっきのは抱きついたんじゃなくてだな」


「抱き着いてきたよね? 胸をこう、ぎゅーって揉んできたよね?」


 言い訳しようとした俺を、鋭く問いただす花宮さん。

 その顔はちょっと怒ったような感じに見える。


 これはもしかして──もしかしなくてもセクハラ的な勘違いをされているのではなかろうか?


 さっきの俺を客観的に見ると、そんなに親しくもないクラスメイトの花宮さんに、いきなり後ろから抱き着いたスケベ男子だ。

 しかも胸を思いっきり鷲掴みにしたときた。


 客観的とか抜きにどこからどう見てもスケベ男子である。

 クラスメイトの女子にそんな勘違いをされたら、俺の高校生活は間違いなく終わる。


 もちろん終わったとしても、俺の場合は転校して新たな高校生活を始めること自体は容易いっちゃ容易い。

 だけど俺は今通っている、自由な校風だけど真面目な生徒が多い高校が、割と気に入っていた。

 仲のいい友だちだっているし。


 ゆえに今の高校に通い続けるためにも、ここは真摯に無実を訴えなくてはならなかった。


「冷静に聞いて欲しいんだが、俺としては花宮さんが橋から身投げしようとしたのを、止めたつもりだったんだ」


「わたしは身投げなんかしないよぉ。ただなんとなく、物思いに耽ってただけだもん」


「でも欄干を乗り越えようとしただろ? それを見て俺もうビックリしてさ。無我夢中で止めに行ったんだよ。ほらあれを見てよ? あそこに落ちてるのが、途中で投げ捨てた俺の鞄だ」


 俺は歩道の隅に逆さまに転がっている通学鞄を指差した。


「さっき身を乗り出したのは、橋の下の河原をお散歩中のゴールデンレトリバーが通ったから、『わっ、可愛いな』って覗き込んだだけですー」


「そ、そうだったか。ぜんぶ俺の勘違いってことな。ごめん、思い違いで抱きついちゃって。この通りだ! 本当にごめん!」


 どうやらそういうことのようだった。

 すべては俺の勘違い。

 俺は反省の気持ちを伝えるべく、花宮さんにしっかと頭を下げた。


 でも良かった。

 身投げしようとした悲しい女の子はいなかったんだ。

 いたのは学園のアイドルに抱き着いて胸を揉むというセクハラをかました間抜けな男子高校生、つまり俺だけだ。


 だけどさ。


 何もやらずに見過ごしたことを後悔するより、やったうえで上手く行かなかったと後悔する方が、絶対にいいだろ?

 少なくともそこには、自分なりに正しいことをやろうとした価値判断があるのだから。


「もぅ、いいよぉそんなの。言われてみれば、たしかにさっきのわたしはそんな風にも見えたかもだし」


 苦笑したしたような花宮さんの声。

 その声色や様子から、怒っているにせよそこまでではないと判断して、


「それでも、本当にごめんな」

 俺はもう一度しっかりと謝罪をしてから、ゆっくりと頭を上げた。


 目の前には、ちょっと困ったように微苦笑している花宮さん。


 学園のアイドルの名に恥じない可愛い顔と、真っ正面から見つめ合って。

 俺はこんな状況だっていうのに、鮮やかな胸のドキドキを覚えてしまっていた。


「ただでさえ大変な時なのに、わたしが死んじゃうわけにはいかないもんね」


 と、花宮さんに集中力を向けていたからだろうか。

 その言葉が妙にクリアに耳に届いた。


 もう本当に小声で、誰に聞かせるでもない独り言のようなそれは。

 本来なら橋を行き交う自動車の走行音にかき消されてしまったはずだ。


 しかしまるで天の配剤か、はたまた運命のいたずらであるかのごとく、「それ」は俺の元へとハッキリとクリアに伝わっていた。

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