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グレース~エレノアの手記~  作者: 栗橋真縫
第一章
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60話 恨み事

よく、幸せじゃないときがあるから幸せを感じることができるなんて言う。でも、ここまでの不幸じゃなくたって十分に幸せを噛み締めることは出来ると思う。


外で食事をしていた。毒見をしたリースがドミノみたいに倒れていった。ほんの数分前に料理を頬張って「美味しいですよ」なんて言っていたのに。


「リース!!」

「エレノア様、その食事には手を付けないでください…」


「そんなの見ればわかるわよ!!

すぐに吐き出しなさい!!」


「…っ!!」

リースはうまく吐き出せないようだった。構わず、リースの口の中に手を突っ込んだ。喉の奥を手でかき回した。


喉の奥を触られた拒否反応でリースはすぐに胃の内容物を吐き出した。

続けざまに水を飲ませてさらに毒を吐き出させる。


そうこうしているうちに、護衛の一人が厨房から女を引きずってきた。


「私は言われたとおりにしただけなの!

毒なんて知らなかった!!」

そう喚きながら引きずられている女の様子は滑稽でも惨めでもなかった。

只々その女の態度がイラついた。イラついたというのかどうしようもない嫌悪感というのか。


私はただただ喚き散らす女の顔を無言で殴り飛ばした。しばらくして、誰かが呼んだであろう警備兵が駆けつけてきた。


「私もすぐに向かう…

消されないように見張っといて。

私が行ったときにはもういませんでした、なんてことがあったらわかってるわよね?

私以外の貴族を近づけるのもなしよ。」


「…かしこまりました。」



「目的は何?」


「違うんです。ただ美味しい料理を召し上がっていただこうと思って。」


「ふざけんじゃないわよ!!

なら、アレルギー反応だったとでも言うの!?」


「ア、アレルギー?」


「知らないならいいわ…

これはあなたが私たちに出した料理よ。

食べなさい。」


「……」

女は口をしっかり閉じて食べようとしなかった。知っていたら食べるわけないし、あのリースの様子を知っているのだから当然といえば当然か…


「そうよね。あらかじめ毒だと知っていたものを食べるわけないわよね。」


「私は本当に知らなかったんです!!」


「もうどっちでもいいわ…

あなたがどういうものを私に出そうとしたか教えてあげる。

…連れてきて。」


手枷足枷で拘束された一人の男が連れてこられた。

「離せ、離してくれ!!」


「これを食べてくれるかしら?」


「これを食ったら死ぬんだろ!?

いやだ、いやだ…死にたくねえよおお!!」


「そもそも極刑は自業自得でしょ?あなたは何人の命を弄んだのかしら?

でも、もしこれを食べて生きていたら、あなたを無罪にしてあげる。

死ぬかもしれないけど、もし死ななかったらあなたは外の世界で生きられる。

ここで待っても死刑の時を待つだけよ。どうする?」


男はおとなしく口を開けた。その口の中に例の料理を流し込んだ。

男はそれを咀嚼した

「飲み込んで。」


飲み込んで数分経った頃、男は苦しみだした。

「ぐるしい…たす…けてくれ…たのむ…

じにたくない…」


そのまましばらくしてだんだんと声が小さくなっていき、男は死に絶えた。


「わかるかしら?

これがあなたが私に食べさせようとしたものよ。

どうしてそんなものを食べさせようとしたのかしら?」


「…新しい調味料だと言われて…いただいたのです。」


「誰から?」


「エーリア商会を名乗る人からです。」


「それは……

…そう。

それを毒が入ってるかどうかの確認もせずに使ったのね。」


「エーリア商会でしたので。」


ガンッッ!!!

思いっきり机を殴っていた。

落ち着け落ち着け…今は怒ってる場合じゃない…

フー…深呼吸深呼吸


「…それでエーリア商会を名乗った人の風貌は?」

どうにか落ち着いて言葉を絞り出した。


「それは……」


そのまま尋問は続いていった。


「…そう。わかったわ。」

尋問も一通り済み、席を立った。


「あの、私はいつここを出られるのでしょうか…?」

女はすがるような目でこっちを見ていた。


「あなたの行動は貴族の暗殺未遂よ。

それを踏まえれば自分の行く先はわかるでしょ?」


「……ああああああああ!」

女は一度時が止まったかのように固まり、そして狂ったように叫びだした。


「…さようなら。」

ポツリとつぶやいてその場を後にした。

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