表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
グレース~エレノアの手記~  作者: 栗橋真縫
第一章
60/79

58話 婚約者~7~

「陛下。お久しぶりでございます。

私めに何の御用でしょうか?」


教育係という名目でセレア皇女に会いに王宮に行った。廊下を歩いていると偶然にも陛下と鉢合わせたので、頭を下げて通り過ぎるのを待とうとしたら、ちょうどいいからと連れてこられてしまった。


「少し話がある。」


「セレア皇女との約束があるのですがどうしたらよいでしょうか。」


「セレアもここに。」

陛下にそう言われた近衛はすぐに部屋を出てセレア皇女を呼んできた。


「お茶が終わった後って言ってたじゃないですか。」

セレア皇女は部屋に入ってくるなり頬を膨らませた。


「そこで偶然エレノアに会ってな。」

陛下は明るく笑って言った。


「それなら私がエレノアに渡しますね。」

セレア皇女は陛下から封書を受け取り、私の前に置いた。


「この場で開けてしまってよいのでしょうか?」


陛下は頷き、セレア皇女も笑顔で頷いた。

セレア皇女が笑顔なので何の心配もないと考えていた。何かしらのサプライズだろうと思った。

封を開けると中に入っていたものは貴族を任命するものだった。


「これは提案だ。エレノア。

断っても構わん。断るならその封書を燃やしてこの部屋を出よ。」


「お父様は…」


「エレノア。

余は今、貴族階級の一人の人間と話している。ルミナリア家次女エレノア・ルミナリアとではない。

そなた自身のこと。そなた自身で決めよ。

お前はヴィクトルの子供であり続けようとしているのではないか?」


まっすぐに言われたその言葉でハッとした。今まで自分が事を決断するときは必ずお父様に聞いていた。

お父様が父親という存在であったから、それともそのことを単に認識したかったのか。自分でもよくわからなかった。

でも、今のままはよくない。言われて気づいたからこそわかる。


「その話、お受けしようと思います。」

まっすぐ見返して答えた。


「本当に良いのだな?

断れるのは今だけだぞ。」


今まで以上に嫉まれるようになるのは目に見えている。今までルミナリア家という存在にに守られていたが独立すればそれもなくなる。

それでも、この選択の方が幸せになれる気がした。


「構いません。」


「わかった。

授与式の日程などは追って連絡する。」


「かしこまりました。では失礼します。」


私とセレア皇女はそのまま部屋を後にした。



「セレア皇女。」


「何ですかー?」


「ありがとうございます。」


「何がですか?」


「先ほどの貴族位をいただけるという話です。」


「別に、お父様がエレノアの婚約問題で頭を抱えていたので、解決策の一つとして提案しただけですよ。」

セレア皇女は紅茶を置いてにっこりと笑った。


その表情で幸せがこみあげてくる。

いや、ちょっと待てよ?


「私の婚約問題で頭を抱えていたというのは?」


「影響力が少ないとそこまで問題じゃないのですけどね、エレノアみたいな多くの貴族に影響がある方ですとね、王宮としても。

でも、大丈夫ですよ。エレノア以外にもマートル・アルジエルのようにそういう方は何人もいらっしゃいますから。」


セレア皇女…それはフォローになっていないですよ…


「つまり、私がマートル様と婚約すると宣言したときは…」


「大慌てでしたね!」

セレア皇女は軽く笑い飛ばした。


すいませんでした――!! と叫びだしたかったが、はしたないのでそれはぐっと飲み込んだ。


「それは大変ご迷惑をおかけしました…」


「別段、私に迷惑はかかっていませんから問題ないですよ。それに、お父様もどうにかできるわけではないですから。

それで婚約者は…?

私たちとしてはそのつもりなのですけど。」


「私もそのつもりです。向こうの家の返答次第というところではありますが。」


「頑張ってください。エレノア。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ