6〖吸血鬼界のプリンスとの交渉〗
奇妙な笑い声が聞こえてきた。
あまりにも奇妙過ぎて、鳥肌が収まらなかったから、私は原因を突き止めることにした。
辿り着いた場所は、地下。
すこしだけ開いた扉の先には、金銀緑赤、様々な光を放つ財宝の山があった。
「くふふふふふふ、あーはっはっはっはっ! 待ってろ、もうしばらくの辛抱だ。
あの始祖さえ死んでしまえば、お前たちは僕のものだ。嬉しいだろ? そうだろ!?
何せお前たちを毎日ピカピカに磨き上げてきたのは、僕なのだからな!」
宝石の散りばめられたカップ、大きなダイヤの指輪、王冠……それらをひとつひとつ取り上げて頬ずりしている、変態がそこにいた。
恋人に向けるような熱い眼差し、赤らめた頬。
あ、やばい人だ。あれが、ジザクさん? 始祖さんがぽろっと話していたイメージとは全然違う。
ジザクは始祖に仕えるに相応しい真面目で誠実な男だった気がする、って言ってた気がする。
人は見かけによらないって聞いたし、とりあえずここは退散し……
「みーたーなー?」
「きゃっ! いつの間に!」
いつの間にか、前で眼鏡が光っていた。
「なんだ、貴様はあの蝶か」
「なんだとはなによ。あなたがジザクでしょ?」
「いかにも。私が吸血鬼界のプリンス、ジザクだ」
「あ、そう」
なんだ、ただのナルシストか。
「やはり、蝶如きには僕の魅力はわからないか。残念だ」
彼は灰色の髪を掻き揚げて、ふっと笑った。顔はいいのに、性格は残念らしい。
「それより、さっき。この財宝は僕のものだって言ってたけど」
始祖が死ねばという条件付きで。
「なっ、聞いていたのか! 聞かれてしまったなら仕方あるまい。
そうだ、僕には大いなる野望がある……!」
一瞬で開き直った彼は、その大いなる野望とやらの講釈を始めた。
長い。すごく長い。眠くなってきた。
あ、違う。その前にお水あげないと。
始祖さんがマグマ探しに夢中になった挙句、この島には活火山すらないことを知って、ダークモードに陥ってるんだった。
死ぬために、海を渡る意欲はないらしい。
「ねぇ、ジザクさん。お願いがあるんだけど」




