2〖蝶の彼女と花結び〗
無事羽化出来た。夢うつつでよく覚えていないけど、近くに花があって助かった。
一輪の黒い花。うーん、自分の寿命は感覚でわかる。
どうやって生きればいいのかも。
とりあえずは……このカッラカラの土に水をあげないと花が枯れてしまう。
この花からしか、私は栄養を取れない。花が死んだら私も死んでしまう。
それが蝶族である自分が、選んだ花と生きていくということだった。
水、水。私は、何かがある方へ飛んでいった。
じめじめしていて暗い部屋の中に、目的のものがあった。
「お水!」
何かに入れられた水。小さな私の体じゃ、運べそうにない。
その時、目の前で何かがうごめいた。
「ねぇ、あなた。起きて、起きて、起きて。お花にお水あげて、ねぇ!」
「夢、これは夢」
「夢じゃないから! 起きて! 花にお水あげて! 死んじゃう!」
すると赤い瞳が、布から私を見てきた。
「どーして、蝶が俺の城にいるんだ。勘弁してくれ」
「私が蝶だってわかるのね!? じゃあ、お水の大切さもわかるわよね!? 早く! 起きて!」
私は、彼の髪の毛を思いっきり引っ張った。
「水? ああ、俺はもう数百年飲んでないな。食事もやめたし」
はははははと、抑揚のない低い笑い声が響く。
何なのこの人。私、もしかして生まれた瞬間から蝶生ハードモードだったりする?
だめだ、このままだと本当に死ぬ。自分でどうにかしないと。
水の入った入れ物を持ち上げた瞬間、案の定、重すぎて落とした。
がしゃーんと盛大な音が響く。
ようやく男が体を起こした。死んだような目で私と床と部屋を見渡した男は、何事もなかったようにまた眠ろうとした。
あ、私の蝶生詰んだ。




