17「ショック療法?』
ジザクに始祖さんが血を飲まなくなった経緯を伝えると、早速嫌がらせを始めていた。
毎日始祖さんの叫びが、城中に轟いていた。
ジザクはその度にボロボロになっていたのに、ムキになったのかやめることはなく――
梅雨も明け、夏に入ったある日、ついに始祖さんが輸血パックを口にした。
「「え!?」」
しかもジザクの手から奪い取って、自分でごくごくと飲み始めた。
私とジザクは目を合わせる。
もしかして、これが有名な……
「ショック療法?」
いやいや、そんなまさか。
だって、始祖さんもう何百年も飲まず食わずだったのに。
パックを完食した始祖さんが、ジザクを見つめる。
ジザクが慄くみたいに一歩下がった。
あ、なんかこれはこれでやばそう。
「ジザクよ」
「な、なんでしょうか」
「こっちにこい」
「いや、あの、そう! まだあります! 絶品のこの!」
ジザクが手に持った輸血パックを始祖さんの顔面に投げる。すごい勢いのある投げ方だった。
始祖さんはそれを避けた。見たことない素早い動きだった。
「ジザク、命令だ」
何が起きるかわからないけど、見ない方がいい気がする。
お散歩でも行こうかな。
吸血鬼というものは、どうやら主の命令には逆らえないらしい。
ジザクが自分自身に引きずられるように始祖さんに近づいた。
私は翅を広げた。ああ、今日はいいお天気だなぁ。
「待って、待ってください! 吸血鬼同士の吸血は、愛し合う者の求愛行動、僕には心に決めた人が――」
今日、城に轟いた悲鳴はジザクのものだった。




