15『同盟結成?』
「いいお天気だね、ジザク」
「……そうだな。まるで僕の心のようだ」
私たちはベランダに締め出されていた。外はしとしとと雨が降っている。
お花がいい感じに喜ぶお天気だけど、ねっとりとした風が翅に絡まる。
わけのわからないことを言い出した始祖さんを二人で説得したら、始祖さんが拗ねた。
みんな敵だ! みたいなことを言って、何故かベランダに放り出された。
「なぁ、蝶」
「なぁに?」
「お前、なんで好き好んでこんな場所にいるんだ。保護区にいけばいいだろ」
「そっくりそのまま返すけど、ジザクだってここじゃなくてもいいんじゃないかな」
目が合った。ジザクが「はっ」と笑う。
「やはり蝶は蝶だな。我ら吸血鬼には始祖に仕え、お守りするという大義、が――」
ジザクが振り返る。閉め切られたカーテンの方を見て、口元を引きつらせた。
「あった」
「過去形になった」
「あの方はな! 本来は素晴らしい方だったんだ! そうなんだ、そうなんだよ、蝶!
僕だって、もともとはこうじゃなかったはずなんだ! その始祖のひとりに仕えることを誇りに思っていたことだって……あったはずだ!」
「希望的観測になった」
「生まれたばかりなのに、難しい言葉を知っているな!」
くわっと目を見開いてきた。そして、謎の叫びをとどろかせて、ジザクが膝をついて嘆きだす。
なんか、ジザクって思ったより悪い人じゃないのかもしれない。本来は。
多分、色々あったんだろうな。色々……
雨の音にジザクの発狂が混ざってしばらく。窓に何かがぶつかる音がした。始祖さんが「うるさい」と何か投げてきたのだろう。
「蝶よ。
――同盟を組もう」
勢いよく立ち上がったジザクが、指を差し出してきた。握手のつもりらしい。
「我らの健やかで豊かな生活のため、あの始祖を排除する同盟だ」
……ブレないな。そんなに嫌なら出て行けばいいのに。
そう思いながらも、私は一応ジザクから話を聞くことにした。




