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〖対価:女性にモテる方法〗
「ジザク! 助けて!」
蝶が、ものすごい勢いで飛んできた。
こんなに早く飛べたか? こいつは本当に蝶なのか? それくらいの勢いで。
「雨でお花が死んじゃう!」
「ああ」
そうか。昨日梅雨に入った。今年は少し早いよーと、事前に精霊種から予告はあったが。
「それで? お前の命を助ける代わりに、お前は僕に何を――」
「そんなのだから女の子にモテないのよ!」
涙目で訴えてきた蝶に、僕は思わず慄く。
「ぼ、僕は吸血鬼界のプリンスだぞ! 見くびるなよ! 女性などあちらからいくらでも……」
「じゃあ、もっとモテるように教えてあげるから! 好きな女の子を振り向かせる方法とか! お願い!」
なん……だと? いや、まて。口から出まかせだ。
こんな生まれたばかりの赤子同然の蝶が、女性へのモテ方を知っているわけがない。
しかし、こいつは一応性別だけでいうと、女だ。偶然だろうが、たしかに僕には意中の女性がいる。
「いいだろう。嘘だったら承知しないからな」
プランターを少し軒下に移動するだけで、サキュバスの彼女を振り向かせられる手当てが出来るなら、安いものだ。
「やった! 今回ばっかりは本当に詰んだと思った!」
花を咲かせたような笑顔で、僕を見てきた蝶。
可愛い……いや、違う! 僕にはサキュバスの彼女だけだ!




