第一章 悠久の塔 第七層 TRS OBTdate.3 その4
お久しぶりの投稿です。
生きてる(・ω・)生きてるのよ!
今回は少し短めです。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
目の前の敵がこちらに曲がったレイピアの突攻撃、これは親衛隊の通常攻撃では一番強く、ダメージ発生の早い強攻撃だ。私はそれに向かってかぶせるように一気に拳をぶつける。<武神流覇>は敵の攻撃の上からダメージを叩きいれることが出来る。これもダメージ発生が遅い攻撃ではこちらの攻撃が先に当たるのだけど、発生が早い攻撃には確定カウンターダメージとして自分も確定でダメージを喰らってしまう。
このゲームにおけるカウンターダメージは攻略サイトによると、動作中のスキルや攻撃の予測ダメージと敵の予測ダメージを差し引いた上で1.5倍×属性ダメージで計算されているらしい。
「ちょっ、るかち!」
カレンの声と共に親衛隊が吹き飛ぶのが見え、もう1体に激突するまでは確定で私の視界には映っていた。
ちなみに<武神流覇>はモンクのスキル<武神拳>の強化版のような設定で作られているオリジナルスキルだが、後者のスキルより倍近くのダメージを叩き出せるようにかなりリスキーな設定となっているが故の敵にカウンターを喰らう確率もかなり高い。
「やっぱカウンターダメはキツイわ……ごめ……」
そして、倒れるかと思った瞬間、体力が微妙に回復して微量だけど、体力ゲージが残っていることに気が付き、必死の思いで体勢を立て直す。
「ご、ごめんなさいっ……な、なんとか……間に合いました」
「んって……な、ナイスッス! しょこらん!」
急いで態勢を直したしょこらんが<超回復>、<超越回復>を連続使用で掛けてくれたおかげで、私のライフはギリギリ残ったようだ。
基本的に死亡処理はライフが0になった段階で行われるが、0になる前のタイミングで<回復>などを受け回復した場合はその効果がスタックに乗って処理される。
全ての効果が確定してライフが残っていた場合は一瞬ライフが0になったように見えるが――実際には一瞬だけ死亡処理が開始される――次の瞬間には何事もなかったように処理が完了して体力が回復される。ちなみだけど、0になる手前でのスタック処理に関してはかなりの慣れがないと失敗して死亡させてしまうことなど日常的に発生する。
このタイミング処理などに関して、愚弟はαテスト時に検証大好き勢のプレイヤーたちと随分と時間を掛けて実験していた。その後、しょこらんは愚弟に結構な時間を掛けてレクチャーを受けていたおかげで今回は助けられたと言って過言では無いだろう。
ちなみにしょこらんのステータス構成がディレイ減少と魔力強化の二極振りでスキル構成も回復支援がメインで強化系の支援スキルはほぼ取っていない。純粋な回復薬であり、PT内でいえば愚弟との組み合わせで完全な支援構成が成り立つような仕組みになっている。
「はぁ……でも、ここでオリスキ使っちゃうのはマズったかな……」
「ううっ、ご、ごめんなさい~」
「それくらい気にしないのよ、しょこらん。とりあえず残りのアレを処理してからよ……ひとまず、しょこらんはSP回復に努めて」
「了解です!」
私はしょこらんの返事を聞く前にノックバックで遠ざかったマシウスの親衛隊に向かって走りこみ、さらなる攻撃を叩き込む。
「姉御ストップッス!!!」
『ウゴォァ……ガァ……』
味噌汁の声が聴こえた時には既に遅く、マシウスの親衛隊を吹き飛ばした瞬間だった。正直言って掴みなどの投げ技が存在していないことが本気で悔やまれる瞬間だ。
ヒットエフェクトと共に壁に当たって跳ね返ってくる敵に向かってさらに連撃を叩き込むのが定石だけれど、私は問題に気が付き即座にバックステップで距離を空けると、マシウスの親衛隊はバタリと倒れ、死亡エフェクトが発生して死体となる。
「壁への吹き飛ばしも、プレイヤー側の攻撃判定になるのね……」
私は小さく溜息を吐きつつ、次の敵が出てくるポイントに向けて警戒をする。
このゲームにおいて、敵もオブジェクトという単位で考えられることが多く、吹き飛ばし攻撃などで発生する攻撃判定がプレイヤーに影響を及ぼすという事は当たり前である。職業柄、ついつい連続攻撃を叩き込んでしまうクセに舌打ちしたくなるが、ゲームが違えばルールが違うのだ。と、脳内でキチンと処理をするように呟く。
そして、私がそんなことを思っているところに味噌汁は罠を設置しながら小さく溜息を吐く。
「そうッスよ、特にコンボは気を付けて下さいッスよ。相手の体力が無くなってもオーバーキル状態でコンボは続くッスからね。<武神流覇>もヤバかったッス。っていうか、また敵が出てくるのは大問題ッスよ……クオンがいないから、しょこらんのSPがかなりキツイッス」
「す、すいません……」
しょこらんは申し訳なさそうにするが、誰もしょこらんを責めることは無い。
と、いうか私は既に脳内で解決済みの案件にグチグチと文句を言われるのは少しイラっとするのだが、そんなことを悟らせると後が面倒なので無視をする。
「しょこらんは悪くないわ。この状況が悪い……と、いうか運営が悪い」
カレンはそう言いながら、出現した敵をスキルでマークしていく。
それを見て、私は順番の入れ替えをすぐに要求する。
「ごめん、カレン……1番と3番は入れ替えで! 後、4番は壁が近いから5番と入れ替え!」
「了解……」
「2番はこっちで罠に掛けるッス。その後、5番のタゲ取って散弾で足止めして、こっちで引っ張るッスよ。まぁ、あんまり長時間持たないのは分かってると思うんで宜しくッスよ」
「ええ、分かってるわ。じゃ、頼んだわよ!」
戦闘というのはある程度慣れると単純作業とあまり変わりない。これはどんな事でもいえるだろうけど、特にゲームにおいては繰り返し同じことをする。と、いうのが基本的なコンテンツとなっている為に何度も何度も同じ敵、同じマップを攻略することになる上でどうしてもそのような事になってしまう。
現在も同様である。一度、行った行動の二度目はほぼ作業で、一度目で発生したイレギュラーも二度目は起こり得る想定に入ると、発生したとしても想定内の出来事になるからだ。
私はそんな事を考えながら淡々と目の前の敵を叩き、斬りながら殲滅していく。
第七層もさっさと終わらせたいところですが(・ω・)
フッ、まだまだ続くのだよ。
エタラないように頑張りたい、うん、頑張る。




