第3話 「魔王様、地下迷宮攻略中。前半戦①」
前話のあらすじ:唐突の再会をしました。
《地下迷宮》の上層部は、魔獣よりも冒険者のほうが数が多かった。
そのため、上層部においては魔獣との遭遇率は極めて低く、仮に遭遇したとしてもすでに別の冒険者と交戦中であり、横取りする気もない私たちは、ほとんど戦闘らしい戦闘をすることもなく、ザオームの先導のもと下層へと進む。
「蜘蛛の巣なのに……糸で造られている”これぞ蜘蛛の巣”というのが、見当たりませんね?」
通路を歩きながら、アテナが小首を傾げてきた。
それを受けた私は、小さく肩をすくめる。
「まあ、この迷宮自体が巣みたいなもんだしな。わざわざ糸で造った巣を造る必要性がないんじゃないのか?」
とは言うものの、正直なところ、蜘蛛の巣と聞かされた時には糸ばかりで鬱陶しいんだろうなと思っていたのだが……
(拍子抜けというか、まあ、嬉しい誤算か)
そもそもが、虫と魔獣を同列視していいのか、という話かもしれない。
とはいえ、魔獣の死骸が転がっている辺りには、戦闘の形跡なのだろう糸の残滓が散らばってはいたが。
ちなみに、無造作に転がる魔獣の死骸には、価値のある部位が全てえぐり取られていたりする。
特に蜘蛛型の目玉は非常に価値の高い宝石として取り引きされるので、ひとつも残ってはいなかった。
倒した魔獣は金になる。冒険者の収入源なので、別に文句はないのだが……
「死骸を放置していくなど……冒険者の暗黙のルールを守らない輩が多いのか」
愚痴りつつ、私は火炎魔法で焼却していく。
これは別に、私が綺麗好きというわけではなく。
腐れば腐敗臭をまき散らすことになるし、アンデット化されても厄介だからだ。
特に、部位をえぐり取られた魔獣がアンデット化した場合、通常よりも戦闘力が高い変異体となることが多いのである。
自分の遺骸をボロボロにした人間への恨みから、というのが通説のひとつでもあったりする。
実際のところは、因果関係などは解明されてはいなかったが。
まあそういうわけで、仕留めた魔獣の死骸はきちんと処理するというのが、冒険者の暗黙のルールなのである。
「クレアナード様。このダンジョンには質の悪い冒険者が多いみたいです。気を付けた方がいいかもしれません」
「そうだな」
警告してくるダミアンに私が同意すると、先頭を歩いていたザオームがくるっと振り向いてきた。
「私が夜営している時にも、襲ってくる冒険者がいましたよ」
「まじか」
「ええ。まあ、返り討ちにしましたけどねぇ。これが冒険者の洗礼かと思いましたよ、キシシ……」
「冒険者全員が屑なわけじゃない。だから勘違いはしないでほしい」
「私は別になんとも思っちゃいませんよ。返り討ちにしたそいつらの死体から、金目のものはすべて頂いていますのでねぇ。まあ、お互い様という奴ですよ」
「たくましいな」
「キシシ……転んでもタダで起きる私じゃないですからねぇ」
などとやり取りを交わしながら通路を進んでいると、いち早く気が付いたダミアンが短剣を抜き放った。
「クレアナード様! 天井です!」
その指摘に見上げると、天井の一部が複数盛り上がるや、土壁を突き破ってレッサー・グモの群れが降ってくる。
『『『ギギーーー!』』』
敵意丸出して威嚇してくる蜘蛛魔獣。
「ふむ。この迷宮が巨大型魔物というのも、こういうのを見ると納得しますね」
「呑気に納得している場合か」
アテナにツッコミを入れてから、私は抜剣した切っ先に蒼雷を纏わせる。
「ダミアン、お前は敵をかく乱してくれ。その隙に私とザオームがしかける。アテナは状況に応じて援護を」
「キシシ。私に指示しますか」
「ん? 嫌なら別に構わないが。好きに動いてくれ」
「いえいえ、そういうつもりで言ったわけではないですよ」
肩に担いでいたキノコを構えたザオームが、にんまりとした笑みを見せてきた。
「このパーティのリーダーはクレア氏なのですから、私は素直に従いましょう」
「……リーダーとして相応しくないと思ったら、いつでも言ってくれて構わんぞ。私は別に、リーダーの座に拘っちゃいないからな」
「キシシ! かつては魔王を務めていた方の言葉とは、思えませんねぇ」
「まあ、あの頃とは事情がすっかり変わったからな」
「お二人とも。悠長に話しておられる場合ですか?」
アテナから抑揚のない声で叱責されてくるも、当然のことであった。
言うまでもなく、魔獣は待ってはくれないのだから。
それゆえに、すでにダミアンが魔獣の群れに突撃していたりする。
「ザオーム、頼りにしているぞ」
「キシシ。まあ、頼りにされましょう」
こうして私たちは、遭遇した魔獣と交戦状態に──
※ ※ ※
『ギィィイィィ…………』
最後の1体が断末魔を零し、その場に崩れ落ちた。
「ふう……」
戦闘が終わり、私は一息吐く。
結果は言うまでもなく、私たちの完勝である。
所詮相手は下級魔獣なのだから、この程度の敵に苦戦するわけにもいかないという話だろう。
アテナとダミアンが魔獣の死骸から部位を回収する最中、キノコを肩に担ぐザオームが、私をじーっと見つめてくることに気がついた。
「ん? どうした、ザオーム」
「別に変な意味はないんですけどねぇ。なんというか、おかしな気分でして」
「おかしな気分?」
「ええ。かつての貴女は、他を寄せ付けない絶対的な存在でした。そして圧倒的だった。言葉を交わす機会すらなく、ただ遠くから見るだけの存在だったというのに、いま、私はそんな貴女の仲間として肩を並べている……この感情、なんて表現していいのかわからないですねぇ、キシシ……」
「……お前も知っているだろうが、いまの私は弱体化しているんだ。もうかつてのように”最強”じゃない。だから、そんなに特別なことでもないと思うんだが」
「弱体化、といえば。私と戦った時ほどに、動きにキレがなかったように感じたんですけど、どこか体調でも悪いのですかね?」
「んー……まあ、そんなところだ」
小首を傾げてくる彼女に、私は言葉を濁すことで応える。
あの時は魔道具の底上げがあったからであり、恐らく素の状態で戦っていたならば、私の方が負けていたことだろう。
(確かに、ザオームは仲間にはなったが……)
だからといって、全てを打ち明けるような深い仲というわけでもないので、私の切り札については、まだ教えるつもりはなかった。
つまりは、まだ信頼値が足りないのである。
信用と信頼は違う、というわけだ。
彼女には悪いと思うが、こればっかりは仕方がないとしか言えないだろう。
だったら最初から仲間にするなよという話だが……
すべては場の流れ、というやつなのだ。
(まあ、今回のことを踏まえて追々、な)
まだ彼女のことを詳しく知らない以上は、仕方のない判断なのである。
「クレア様、回収が終わりました。焼却をお願いします」
「ん、わかった」
火炎魔法にて蜘蛛の遺骸を焼却処分。
「キシシ……律儀ですねぇ。こんなもの、放置しておけばいいでしょうに」
「そういうわけにもいかんだろう。腐敗臭に満ちたダンジョンを攻略する身にもなってくれ、という話だ。逆の立場になったなら、最悪だろうが」
「確かに。気持ちの良いものではないですねぇ」
「ザオームさんは、もっとヒトの気持ちを理解できるよう改心するべきです」
じろりと、ダミアンが彼女を睨み付ける。
「そうすれば、あの生産工場で起きていた事を知っていた以上、見捨てるなんてことなかったはずです」
「キシシ……ダミアンくん。本当に君は、私に対して厳しいですねぇ?」
「当たり前じゃないですか」
「まあ、嫌いじゃないですよ? そういうツンツンしている態度は」
睨み付けられるザオームは、逆にダミアンを舐めるように見やった。
「年下も嫌いではないので、屈服させたくなってきますねぇ、キシシ……」
「……っ……」
顔が引きつり身構えるダミアン。
いつの間にかキノコのひだからは触手が伸びており、うねうねと蠢いていた。
ある意味、一触即発となるふたりを前に、私はやれやれと嘆息。
そんな私の隣に、アテナが静かに移動してきた。
「面白い展開ですね。こうなることを予見なされて、以前敵対した彼女を仲間にされたのですか?」
「……そういうわけじゃないが。ダミアンがここまでザオームに拒絶反応を示すとは、思っていなかったからな」
「クレア様にストリップショーをさせたことが、よほど許せないのでしょうね」
「気持ちは嬉しいが……」
「きっと、自分以外の男にクレア様の裸体を視られる原因を作ったことが、腹に据え換えているのでしょう」
「ん? それはどういう意味だ?」
「おっと。私の口からは、これ以上のことは」
「おいおい。気になることを言っておいて、だんまりか?」
「私は口軽ではないのです」
「その割には、あっさりと口を滑らせた感じだけどな」
「これ以上は、黙秘権を行使させて頂きます」
私に見せつけるように口を真一文字に引き結ぶアテナに、私は諦めることに。
彼女との付き合いも長いので、こうなるともう何も喋らないことがわかっているからだ。
(私の裸体……か)
別にダミアンがそこまで怒る事はないと思うのだが……
(それだけ、私を心配してくれてるってことか。部下に──いや、仲間に恵まれているな、私は)
しみじみ思っていると、割と冗談抜きで、ダミアンとザオームがじりじりと距離を詰め始めていた。
「……はあ。ふたりとも、いい加減にその辺にしておけ」
「キシシ。私にではなく彼に言ってくれませんかねぇ? 突っかかってくるのは彼なんですから。私は単に、降りかかる火の粉を振り払っているだけなんですから」
「……別に俺は、その、そういうつもりじゃないですし」
溜め息交じりで私が仲裁したことで、一触即発だったふたりは戦闘態勢を解く。
「ふむ。これはこれで”あり”な展開ですね、クレア様」
「いやいや。”ない”ぞ」
通常運転のアテナに、私は再び溜め息ひとつ。
(このメンツだと、溜め息の回数が多くなるな……)
とんだ誤算であった。
※ ※ ※
「ちいっ!」
舌打ちした私は、蒼雷纏う剣を一閃する。
中規模程度の広間にて私たちは交戦中だったが……敵は魔獣ではなかった。
「このダンジョンは、質の低い冒険者が多いな!」
私たちが交戦するは、人族の冒険者集団だった。
「へへへ……諦めな!」
「上玉の以上、種族とか関係ねぇしな!」
「男手が少ないパーティだったのが悪いんだぜ?」
下卑た笑みの男たち。
その厭らしい笑みから、目的は一目りょう然だろう。
ダンジョンでは、何が起こるかわからない。
逆に、何をしてもバレさえしなければ犯罪とはならないということであり。
すべてを、魔獣のせいにしてしまえばいいというわけである。
付けられている気配は感じていたので警戒はしていたのだが……
広間に差し掛かったところで、連中が行動を起こしてきた、というわけだった。
「やれやれ。クレア様は悪目立ちしますからね」
「いやいや、これは私だけのせいじゃないだろうが」
「クレアナード様は俺が守ります!」
「キシシ……確かにクレア氏の容貌は目立ちますからねぇ」
応戦する私たちだが、さすがに冒険者という職業を生業としているだけあって、襲撃者たちの実力はそれなりであり、私たちは苦戦を強いられてしまう。
しかし反対に、数の利をもっている襲撃者たちとて私たちが相手では簡単にはいかず、彼らもまた苦戦するという状況に。
と、そんな時だった。
「お前ら何してやがる!」
現れたのは、魔族の冒険者集団だった。
彼らは戦況を把握すると、すぐに行動に移ってきた。
「苦戦してるのか。手伝うぜ!」
勇ましく戦闘態勢を取ってくるものの、彼らが切っ先を向けてくるは……
あろうことか。
襲われている私たちへだった。
「な……っ」
絶句する私と同様に、人族の冒険者たちも困惑顔に。
「なんで魔族が俺たちに協力を……」
「馬鹿野郎! いまは種族なんて関係あるか! いまは力を合わて、困難に立ち向かう時だろう!」
「っ……確かに、その通りだ。種族の垣根など、いまは些事! 共闘しようじゃないか! 兄弟!!」
「応とも! 背中は任せておけ!」
熱いやり取りを交わす冒険者たち。
「いやいやいや」
私は、思わずツッコミを入れてしまう。
一見格好いいことを言っているが、結局やっていることは、屑の所業だからだ。
「種族の軋轢を超える光景というのは、見ていて気持ちが良いものですね」
「……状況によるぞ」
呑気な感想を口にするアテナに、私は脱力。
敵が増えたことで、私たちはさらなる苦境に。
そんな一方では、新たに、偶然にこの場に別の冒険者たちが姿を見せるものの。
「なんだ……魔族の女パーティが襲われてる?」
「助けないと!」
「いや待て! 人数が違いすぎる、あれじゃダメだ。彼女たちはもう……」
下手に関わって痛い目を見たくないようで、そそくさと別のルートへと。
……まあ、ある意味では懸命な判断と言えなくはないだろう。
ダンジョン内では無用なリスクを負うのは得策ではないので、それを回避する彼らの行動は理解できなくはない。
ヒトとしての善悪はどうなんだ、という話ではあったが……
「くそ! あの精霊の影術が厄介だな! 誰か止められないのか!」
「ダメだ! シノビのガキが邪魔しやがる!」
「あの女魔族の蒼い雷もヤバいぞ! 気を付けろ!」
「おいおい! なんだよあの妙なキノコは!? 触手とか出てくんぞ!?!」
数の暴力で襲い掛かるも押し切れない襲撃者たち。
とはいえ数の差は痛いとしか言えず、奮戦する私たちも優勢とはいえない状況。
「おっと……」
「大丈夫かアテナ!?」
「肩に矢が刺さっただけです。ご心配なく」
「連中、わき目も降らなくなってきたか」
「クレア様危ない!」
「うお……助かったぞ、ダミアン」
「キシシ……これは、あまり良くない趨勢ですねぇ」
不気味な笑みを浮かべたザオームが私へとキノコの先端を向けたかと思うと、発射されるは黄色い液体。
「なに……っ」
不意打ちだったこともあり、私は回避が出来なかった。
その結果として液体を全身に浴びてしまい……衣服が、溶かされてしまう。
「ザオーム! 何を──」
あられもない姿を戦場で晒すことになってしまった私へと、下卑た男共の視線が思わずといった感じで集中する。
結果として、一瞬だが襲撃者たちの動きが止まり。
「ギーノくん!」
ザオームがキノコを掲げるや、先端の切れ目から噴き出されるは、無数の小さなキノコたち。
そして──
連鎖するキノコ爆弾。
回避が遅れた襲撃者たちは、物の見事に一網打尽とされていた。
※ ※ ※
※ ※ ※
《地下迷宮》地下11層──
「うおおおおおおおおおおっ!」
裂帛の声を上げるは、男のドワーフ。
彼は両手にもつ大斧でもって、1体の人間大の蜘蛛を豪快に薙ぎ裂く。
『ギギ、ギ……』
聞きづらい断末魔が蜘蛛の口から洩れ、息絶えた魔獣がその場に崩れ落ちた。
「……ふう」
その場の最後の1体を倒したドワーフは、冷気まとう大斧を床に突き立て溜め息ひとつ。
普通のドワーフよりも一回りほど大きな体躯であり、筋骨隆々。
血気盛んそうな瞳をしているドワーフの名は、ラオ国の王子──グーボ。
纏う鎧は傷だらけだったが、それがかえって歴戦の戦士然とした雰囲気を醸し出していた。
「グーボ王子! お怪我はありませぬかっ?」
魔獣の血に濡れた武器を引っさげた、ひとりのドワーフ戦士が駆け寄ってくる。
見れば、その中規模の広間には他にも十数人のドワーフ戦士の姿があり、その足元には多くの魔獣の死骸が転がっていた。
ドワーフ達が身体等に付着した糸を払いのける中、王子が鼻を鳴らしてくる。
「フン! このオレ様を誰だと思っているんだァ? ラオ国最強の戦士だぞ? こんなザコ共、眼を瞑っていても片手で捻り殺せるぞ」
「それはなんとも勇ましいことで」
近衛隊長であるそのドワーフ戦士は主の雄姿を称えてから、表情を引き締めた。
「ですが油断は禁物ですぞ。この地下迷宮は、いまだ誰も最下層に到達できてはいないのですから」
「ひとりいるだろうが。初代王のバムクルが」
「それはまあ、そうですが……」
「そしてオレ様が、二番目の到達者となるだろう。次期統一王の証を手にしてな」
自信満々にそう答えてから、胡乱げに眉根を寄せる。
「しかし……誰も最下層に到達していないというのに、なぜ《神の槌》が最下層にあると断言できるんだ? オレ様には解せんのだが」
「当時、初代王が消息不明になって後、手紙が届いたそうです」
「手紙? オレ様は聞いたことがないんだが」
「それは、グーボ王子が歴史の勉強を怠っていたからかと」
「……フン。で? 内容はなんなんだ?」
「地下迷宮の最下層にて、初代王は《神の槌》と共に眠る、と」
「なるほどな」
「とはいえ、詳細がまるでわからない手紙だったので、その真偽を巡り残された者たちが言い争うことになりまして。もともと仲の悪い兄弟だったこともあって、中心的存在だった父王を失ったことで、国が三人の王子によって分かたれたのです」
「手紙の主のせい、ということだな」
「そうなりますな。もっと詳細な情報を記していれば、違った結果となっていたことでしょう」
王子と近衛隊長が話をしている間にも他のドワーフたちが魔獣から部位を回収しており、回収が終わったのを見計らってから、グーボが配下たちに指示を出す。
「よし! 先へ進むぞ!」
『『『おおおおおおおおおおおおおお!』』』
と、そんな時だった。
ふいに、薄暗い通路から”それ”が現れたのは。
「なんだあいつは……?」
「ふぅむ……アンデット、のようですが……」
ゆらりと姿を見せたのは、1体の骸骨だった。
年期が入った立派な鎧と、ドワーフ族特有の大柄な骨格から、名も知れぬドワーフ族の成れの果てということがわかるが……
その骸骨ドワーフは、不気味な光を灯す双眸でこの広間を見回した後。
『GUUUUUUUUUUUUUUUUUUU------!!!』
低い咆哮を轟かせるや、その場にいる一同に襲い掛かってきた。
「このダンジョンは蜘蛛型だけじゃなく、アンデットも出るということか」
引き抜いた大斧を豪快に一閃。
「フン! たかだかアンデットごとき、このオレ様が一撃で粉砕してくれるわ!」
「王子。先ほども述べましたが、この一帯の壁面の内側には地下水脈が流れおります。ですので、あまり派手に動かれませぬよう」
「わかっているわ! 皆の者! 手出しは無用ぞ!!」
自身の勝利を確信しているグーボが骸骨ドワーフへと飛び掛かり、周りにいるドワーフ戦士たちは主の勝利を信じて疑っていない様子。
ただそんな中で、近衛隊長はとあることが気になっていた。
(あの骸骨が纏う鎧、どこかで見たことが……いや、まさかな……)
血気盛んなドワーフ王子と骸骨ドワーフが、真正面から激突する──
骸骨の双眸は不気味に光っていました。




