No,8 窃盗
街角で出会った僕とイオラさんは、そのまま一緒に買い物をする事になった。
「そういえば、そっちの人は?」
「この子はニア・ケープコット。わたしの数少ない友達。」
めちゃくちゃ睨まれている...本当に僕、何かしたかなぁ?
――キャー!
突然、女性の叫び声が街に響く。
そちらを見ると、膝を着き倒れる女性が居た。
「大丈夫ですか!?」
「え、えぇ。でも、皆の物が...」
成程。差詰、窃盗か。
念話の応用で窃盗犯の心の声を探る。
《索敵》
(これで妹を...)
「お前、妹が売られてんだな。」
「な...」
「だが、それで他人を落としちゃあだめだろ!」
オリジナルの魔法で拘束する。
《拘禁》
「ぐあ!」
「冷静になったか?」
「貴様に何がわかる!」
――ドサ!
犯人の前に金貨30枚を落とす。
「僕にはお前の痛みは分からない。だが、お前とは違う痛みを知っている。これで足りるか?」
「ど...どういう事だ!」
「お前の盗んだ物、お前の妹を買う金額。金貨30枚じゃ足りないか?」
僕は返事を待たず、盗まれた荷物を取り戻る。
「中の物は大丈夫ですか?」
そう言い、盗まれた荷物を持ち主に返す。
「えぇ、無事よ。ありがとう。」
見ると女性は怪我をしているようだった。
治しておこう。
《治癒》
「え...! 傷が...君がやったの?」
「え...はい。そうですけど...」
「君、うちで働く気ない!?」
いきなりの押しにびっくりする。
「働くも何もあなたの事を知らないんですけど。」
「あ! 失礼。私はギルド提携の診療所をやってる、ベルフォント・グレイシアス。貴方の固有魔法は治癒魔法なのね!」
「是非うちで働かない!?」
す...凄く熱心だなこの人。
然し、僕も今のうちに就職先候補を持っておけるのは嬉しい。
「こちらからもお受けしたいです!」
・解説
この国の通貨は「ギラ」と呼ばれている。
10ギラ=銅貨1枚 (10ギラ)
銅貨10枚=銀貨1枚 (100ギラ)
銀貨10枚=金貨1枚 (1000ギラ)




