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【第68話】航海 6日目 ゼンダの仕事

会場から船員達は持ち場へと戻っていった。


(さて ・・・)


 パインは何をしようか考えていると、見張り塔に上る途中のミグーナにジェスチャーでゼンダの事手伝えと合図される。リンデルも一緒だったが、彼女とは目が合わなかった。


(いつも何してんだろ ・・・ あそこで ・・・ まいっか)


 ミグーナのジェスチャーの意味が分かり、自分が壊したとされる医務室の船首手前の右翼側の手すりを見やる。その部分の手すりと柵が思いっきり何かが通り抜けたように破壊され、今は簡易的に緑色の幅広のビニールテープで養生されている。


(覚えていないんだけどな ・・・ 俺が壊したことになってる ・・・)

(まぁあの力使うと基本的に 俺 何か壊しているもんな ・・・)


 そこにはもう既になにやら仕事を開始しているゼンダと1人の漁夫が居た。


「あっ ゼンダさん 手伝わせてください!」

 パインはとりあえずそう言って駆け寄った。


「おお パイン来たな ・・・ おい おまえもういいぞ 作業場にあれ上げといてくれや」

 ゼンダがそう言うとその漁夫が「よろしくなぁ~」と疲れた表情をパインに見せ船の中に入っていった。


「早速だが ほれ これ手伝えや あとハンマーもってこい」

 自分のハンマーをロッカーから持ってきて彼の仕事を手伝う。手すりとそこから出ているはずの柵(※1)を固定する2本の支柱の内の1本を直しているようであった。


※1壊してしまったため柵はない

※支柱2本の間に手すりと柵があるとイメージしていただければ幸いです。長さは3mほどです。


「これを剥せ 傷つけんなよぉ おめぇさん 直すのがどんだけ大変か教えたるわ ・・・」

 支柱の下の甲板をバールで剥すよう指示される。


「もっとやさしくやんねぇと ・・・ ほらよぉ! おい! ・・・ 遅いんだよおんめぇ おい! 優しく早くやれよ! ゆっくりはやく!」

 5枚ほどめくるが横から何度も銃弾を食らう。


 甲板の下に潜り込みモンキーレンチで支柱と船を固定するボルトを緩めるよう指示を受ける。


「う ぅぐう 硬い ・・・ ・・・」

「なんでぇおんめぇ そんな腕しといて ・・・ 飾りか?なぁ ・・・ 情けねぇなあ」

「うぅぅ だめです 回りません」

 そうパインが言うとゼンタは「変われ」と言う。


「ハンマー ・・・ おい おせぇ」

 ゼンダが左手を見せたが彼は反応が遅れた。


(数秒だぞ?)

 「はい」と言い、自分のハンマーを渡す。


「バカ野郎! こんなくそ重いの渡されて打てるわけねぇだろ! 考えろや」

(モンキーを打つのか しまった ・・・ しまった) 

 近くに置いてある木工用ハンマーを手渡し、事なきを得た。


「この支柱 船首側 進んでる側にだぞ そのくそ重いハンマーで少しずつ打ってくれ 止めろといったら止めろよ?」


( ・・・ )


「おい!!! 當木しろよ!!」 ※當木 あてぎ 打つ側を傷付けないように間に木片などを挟むその木片などのこと。 


 アッシュとあの作業をしていた時を思い出した。あの延長戦なのか、そうパインは思ってしまった。


「おし 止めろ! 止めろって! 打つなよ あああ! 打つなっていっただろうが どんくせぇなあおめぇよ!」


 インテリメガネから怒号が飛びだす。


「逆から打て そう おい!アテギ!!!! 」


 パインはなんとか元の位置まで戻すことに成功した。色んな事を言われ過ぎて短い時間なのに変な汗が出てくる。


「元の位置に道具置けって 全部意味あんだぞ! そう そのハンマーだよ」


 半身甲板の中に入っていたゼンダが地上に身を戻す。


「次は甲板直すぞ ほれ 釘と そう ハンマーで打て!」

「なにビビってんだよ おい! それでも冒険者かよおめぇ! 男なら1発で決めろよ おい!」


 隣から銃声が聞こえる中なんとか打ち終わる。


 1発目で位置をきめて、2発目で釘を全部入れ、3発目で頭を板の中まで押し込む。

 そんな感じだったと思う。


「へったくそだなおめぇ オンナいねぇだろ? へたくそがぁ」

 痛い事を言われ「はい」とシュンとした気持ちでパインは答えた。


「そこは正直になんなくていいんだぞ おめぇ 俺に喋られてばっかだと いらつくだろ? おい」

「おら 次 いくぞ おめぇなんかに時間なんざやらねぇからよ」

 本当にそのようになっている。


 次、甲板の下に潜るのはパインだった。


…。


 ゼンダと比べると何倍も時間が掛かっていたようだが、必死であったため時間が短く感じた。

「おっせぇなぁ ほんと大丈夫かよ おめぇら俺達のこと守るんだろお?」


(・・・)


「が がんばります!!」

「命は2つもねぇんだぞ? この手すりみたいに俺様が直すこともできねぇんだぞ? おい」

「は はひ!」

 なんとか2本支柱の補強は完了した。


 ゼンダの言う通り、直すのは大変だ。しかも今はまだ補強しただけ。


(こんなに 汗が ・・・ はぁ)

 ゼンダは笑顔で汗を1つかいていない。実力の差を強く感じてしまう。


「資材運ぶぞぉ おら そこ開けとけよぉ 違うよってんだ! おめぇほんと頭わりいなぁ」

 言われた事をしたあと(資材を置くためのスペースを作った)ゼンダの背中を追って彼の作業部屋まで足を運ぶことになる。


 青空は気持ちよくサンサンと照っていても、パインにそれを眺める時間は無かった。頬を伝う汗とゼンダの言葉だけが自分に纏わりついていた。


//////////////////////////////////////


「あっはっは あいつめっちゃしごかれてるわよ ねぇ リンデル!」

「なっ ああ そうですね」

「ちょっとやだ! ゼンダさんにまで妬いてるの?」

「違いますって ・・・・」


 見張り塔の上で女性陣は空を見上げて偵察していた。そんな中ミグーナはリンデルの様子を半分楽しんで観察していた。


(本当はこの子にまで「あれ」付き合わせるつもりなかったんだけどね ・・・・)

 今朝スリバーチ号の中を見て、リンデルにこの船まで戻るように言ったのよ。

 でもこの子は「私も手伝う」っていうから。体力剤を使ったとはいえ、辛かったと思うわ。心にまでそれが作用するわけではないのよ。

(私も堪えたもの ・・・・)

 人の死をまだそこまでは経験してないこの子が受けたダメージは相当なものだったと思う。少し早めに切り上げて仮眠は取らせたつもりだけど。おそらく寝ていないわね。この様子は。


「「ミグーナさん ・・・・ あれ!」」


 リンデルにそう言われ彼女の指さす方向、船尾側にミグーナは双眼鏡を向け、覗き込む。


--------------------------------------


「オンツバメ ・・・・ 2匹ね ・・・・ こっちに向かってるわ」

「やらせてください ・・・・」

 リンデルがライフル銃をチャキと構える。


「いいわ けど 早いわよ 1発外したら あたしも加勢する」


 オンツバメは非常に早い、こっちに向かっているなら狙いやすいけれど1発でも外したら並みの人じゃ狙撃は厳しい。外したら、狙われると分かった上でジグザグに飛行してくる。上空から重力の乗ったオンツバメに強襲されたら、それも無防備でそれを受けたらひとたまりもない。


 見た目はそうね、ツバメを抱きかかえるくらい大きくしたかんじかしらね。


 おそらくゼンダかパインが標的。でももうすでにそれは回避できている。1回の強襲さえ防げればおそらく2度と襲ってこないはず。


 でも、まぁこの子の腕前を見る為にも撃たせてもいいと思う。そうミグーナは思った。


『『バァン!!』』

 リンデルのライフルが火を噴く。


 飛行するオンツバメのど真ん中に命中。顔を半壊させたそれが海へと落ちていく。


 もう片方のオンツバメは予想通りジグザグに飛行する。


「やるじゃない 次は 大丈夫?」

 そう聞くと彼女は「はい」と短く答えた。


 双眼鏡でやつを追うと船の上空ちょうど太陽に重なる所にまで来た。おそらくそこから垂直に落下してパインかゼンダを襲うはずだ。


 あたしらの上には屋根があるからここには来ない。太陽を背にしているからリンデルもいまはスコープを覗けないはず。。


「・・・っ!」

 すでにリンデルはスコープを取り外し、上空に標準を当てている。


(やるわね ・・・・ でも)

 外した時の事を考え、パインとゼンダの方角に弓を絞る。


 何回かあたしも当てたことは。ある。

(リンデルが外したらとりあえず 2人に伝えてあげよう ・・・・)


 防御さえしてればある程度の怪我で済むはず。


(怒られそうだけど ・・・・ 今は彼女を信じてあげよう ・・・・)

 まぶたを半分閉じ、上空を見やると重力を伴なった物凄い速度の影がミグーナの目に飛び込んできた。


『『バァン!』』


…。


『ボトッ』


「「わぁあああああ!」」

「「なんだ!! なんでい!!!」」

 下から2人の騒ぐ声とオンツバメの落下音がミグーナの耳に入った。


「あんた ・・・・ やるわね!」

「どういたしまして」

 彼女は少しだけ笑顔になっていた。


 しかし……。


 次の瞬間私の目に飛び込んできたのはやばい別の奴であった。


 ゼンダ達のいる船首側から「ヘルダイバー」がもうすぐそこまでやってきていた。


 船の進む方角の大きな雲に身を隠していたに違いない。


(あいつは ・・・)

「「ちょっと!あんた達! ゼンダさんは中に入ってください! パイン!戦闘準備!」」

 これは彼らに知らせないとまずい相手。ミグーナは咄嗟に叫んだ。


「「は はひー!」」

 パインが裏返った返事を叫んでいた。

「「おい パイン 作業部屋いるからあとで来いよ! 壊すのは俺の仕事じゃねぇからよぉ! つかもう壊すなよ!」」

「「は はい!」」

 ゼンダが船の中に避難した。


「麻酔に切り替えて ってもうやってるか 狙いは私たち 下に降りてパインに加勢させるわよ」

 リンデルは落ち着いた様子でミグーナが考えている事を既に実行に移していた。


「はいっ!」  『『バァン』』  「1発麻酔入りました」

「Nice shot!!」

 ミグーナはそう言い、リンデルの頭の切り替えの早さにも感心しつつ階段を降りる。


 ヘルダイバーは自分ら2人が塔から降りた事を察知したのか、狙いをパインにしているように思えた。

 パインも魔獣の存在に気が付き刀を持ち、身構えている。


 なんとか不意打ちは避けられた。おそらくオンツバメで陽動するのもヘルダイバーのやり方、聞いたことが無くもない。麻酔を1発入れていてもまだ奴の体に変化は感じられなかった。


 下まで走り降り、奴に向け弓を絞る。


『シュン!!』 『『ズガーーーーーン!』』


(私も何もしていない訳ではないのよ ・・・・)

 矢を爆裂弾に切り替え、船に着く間際のアイツの主翼にお見舞いしてやった。


 女性陣は見張り塔を降り、医務室の横を走った。

 爆破の振動で医務室のガラスがまだ振動している。


「「あたしは パインと前で攻める あなたは 隙みて麻酔弾お願い」」

「分かってるわ」


 おそらくあたしが短刀2本持った段階でリンデルはこの作戦に気が付いていたのだと思う。ほんとキレがいいわね。


 ミグーナは上手く事が運べている自分達の連携に胸が高鳴った。


『『ドガガッズザッーーーッ』』

 左翼が半壊したヘルダイバーが船首側の甲板に着陸する。


「あたしはサポート あんたがやりなさい」

 パインにそう言う。

「分かりました!」


 ヘルダイバーは船上の戦闘では一番危険な相手。ランクはフナオーと同じC。あたしは何度もやったことはあるけど、ソロだと少しきつい相手だ。パインの実力を見るには丁度いい相手ね。大きさは人の2倍程度。翼を広げたら6mくらいはあるけど、仕舞っていればその程度。


 顔はコンドルみたいな感じね。大きさは大分違うけど。


 厄介なのは不意打ちからの強襲と翼を振るった風とそれに付いた爪。そして長い首からの口ばしね。不意打ちはあたしらが見ていたお陰で回避できたから、あとは後者らに対処さえしていれば勝てる。


(それに ・・・ 麻酔もあるしね)


『『ゴォォォオオオオオーーーー』』

 ヘルダイバーが右翼を大きく振り上げ、物凄い風圧をパインに浴びせた。


(やるじゃない ・・・・)

 パインは平然と耐えていた。ミグーナは少し後ろに下がった。リンデルは大分後ろだから微風のはず。彼女は少し顔を後ろに回した。


(大丈夫)


「あんたその刀普通に持ってるけど コーダンのよ? よく持てるわね ・・・・」

「たしかに重いですけど ・・・ しっくりきます ・・・ あ ・・・ 無断で借りてはダメでしたか ・・・」

「いや いいのよ ・・・ くるわよ!」


(たしか 重いってレベルじゃないと思うんだけどな ・・・)

 ミグーナはパインの得体のしれない力に少し恐怖した。


 ヘルダイバーが右翼をパインに向け思いっきり振りかぶり、攻撃をしかける!


 パインは上体を屈め回避、そのまま前に切り込む!


 ヘルダイバーの腹部に命中!しかし、やや浅い。


 ヘルダイバーの反撃!巨大な足の爪がパインに襲い掛かる!


 パインは刀を使ってそれを防御、が、爪が腕と腹部に突き刺さりダメージを受ける!


『『バァン!』』

 リンデルの援護射撃!麻酔弾がヘルダイバーの首元に入る!


「「パイン 大丈夫!?」」

 ミグーナの声援!しかしパインは聞こえていないようだ!


 パインは刀を肩の位置まで持ち上げ、突きのポーズを取る。そこから踏み込み二段付き!


『『ギャアアアァアアア!』』


 ヘルダイバーに大きなダメージを与えた。大きく後ろに下がりパインと距離を取る。


(まったくパインは動じていない ・・・ やるじゃない ・・・)

 パインの後ろ姿からは、もはや彼を最初に見た時の印象は薄れている。


 ヘルダイバーの両翼を使った猛烈な風が3人を襲う!


 パインはその中ですでに相手を目がけて駆けだした。あたしは風を受けるのに精いっぱい、リンデルは銃を抑えている。


 パインの飛び掛かり真っ向切り!


 ヘルダイバーはそれを避けることができない!


 刀はヘルダイバーの頭に吸いこまれ、ヘルダイバーの頭は真っ二つに切り下げられる!


 鮮血が辺りに舞う。


『『ズシィーーーーン』』

 大きな鳥は頭を半分に割られ、よろよろと甲板に倒れ込んだ。


--------------------------------------


(なによ 普通に いけてるじゃない ・・・・)

「やるじゃない ・・・」

(あたし 何もしなくて ・・・ ああ まぁ少しはやったか ・・・)

 半壊した翼を見てそう思った。


「や やれましたね なんか動きが鈍かったように ・・・」

 パインは平然とそう言っていた。

「麻酔弾よ あんた1人じゃ無理にきまってんでしょ」

 リンデルがそう言いミグーナの後ろからやってくる。


「そ そうだったんだね! ありがとう ・・・」

 パインがぎこちなくリンデルにそう言う。

「ふんっ ・・・」

 彼女もまだ不貞腐れている。

「ま まぁ良かったじゃない え~っとこれの処理は ・・・」

(彼らの間を持つのは骨が折れそうだ ・・・ 魔物なんかよりも ・・・)

 ミグーナは2人の若いカップルを見てため息をついた。


…。


「「オオオ! トリニク! オイ! サクラ!」」

 コーダンがそう叫ぶと、階段から見ていた船員達がミグーナの所に集まってくる。

「「おっそいわよなにやってのよコーダン!!!」」

 ミグーナがコーダンに叫んだ。


…。


この後はサクラとコーダンによる解体が行われた。

 ミグーナたちはまた見張り塔に戻っていた。

「あんたのお陰じゃない? 良かったじゃない ・・・・」

「別に ・・・・」

 リンデルの態度にミグーナは少しいらっとしていた。


//////////////////////////////////////


「終わりましたー し 失礼します ・・・」

 手ごわい相手だったそうだが、リンデルの麻酔弾とミグーナさんの矢で奴は半壊していたんだろうな、楽勝だったとパインは思っていた。Tシャツこそ破けたが、多少の出血で済んだ。医務室での手当も数10分で終わった。


 サンベルの睡眠不足の顔のほうが重症のように思えた。


(むしろ これからの作業の方が ・・・)


…。


 パインは作業部屋にやってきた。


「よぉ 終わったか ・・・ で? ・・・」

 彼のメガネが作業室から射す陽の光を受けて白く反射する。


「で? あの手すりを ・・・」

 しどろもどろしながらそう返す。

「ちげぇよ どっか壊さなかったって意味だよ なんでわかんねぇんかなぁ ・・・ まぁいいや これ持っていくぞ」


 そこにあったのは支柱の間に取り付けるであろう長い木の棒であった。

 綺麗に磨かれており、少し撓っている。※しなっている


「おめぇが昨日買って運んできたやつだぞ すげー高かったろ?」

「あっ 金額みていなくて ・・・」

 正直にパインは言った。

「あはは おめぇ 尻に敷かれるタイプだわ せいぜい苦労しな ・・・」

(なんのこっちゃ ・・・)


 2人でそれを持つも、確かに見た目よりもずっしりとしている。


 それと柵にあたる細い棒20本程度を現場の甲板まで運んでいく。どれもゼンダが加工していたのであろう、見事なツヤと曲面であった。


…。


 現場ではすでにヘルダイバーの解体が終わり、漁夫達が甲板の掃除に精を出していた。


 作業部屋からもってきた柵や手すりを先ほど補強し直した支柱にあてがい最後の切り出しを行う。


 ※支柱の間の長さに合わせて正確にカットします。最後はきちんと物同士をあてがい長さを決めます。


「ちゃんと見とけぇ ノコの使い方しらねぇだろおめぇ ・・・」

 言われてみると確かに、教わったことはない。ただ単純に引けばいいんじゃないかと。あの深夜まで時間がかかった丸太の切り出しを思い出していた。


 ゼンダのノコは木へとするするとギィギィ音を鳴らしながら入り込んでいく。まったく力を使っている様子はない。自分がやっていたあの姿とは真逆であった。


「ほら こうして 最初は自分の爪を定規にして ・・・」

 いつの間にか彼の話に吸い込まれるように聞いている自分がいた。彼の仕事に対する熱い思いにパインは胸を打たれていった。


…。


「うし 終わりだ あとは塗装だから おめぇさんの出番は ここは! これまでだな!」

「ありがとうございました!」

「なんでぇ ちったぁましなツラになってきたな 明日も楽しみにしてんぞ!」

(明日 ・・・ ?)

「やっぱおめぇ頭すっからかんなんだな 明日はおめぇさん達の武器つくるんでねぇのか!?」

(聞いてない ・・・ というか ・・・ そうか)

「すいません よろしくお願いします!!」

「どこが抜けてるかわかったんでねぇのか?」

 ゼンダのその問いで自分の「抜けている所」がどこだか確信に変わった。気がした。

「明日もよろしくお願いします!!」

 甲板にオレンジ色の光が射していた。


 ゼンダの後ろ姿にも夕日が差し、パインの目にはそれが輝いて見えていた。

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