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【第55話】航海 4日目 使者との邂逅

『おきろ ・・・ おい ・・・』


 パインはその声と共に暗い部屋の中で目を覚ます。


 薬品の匂いが漂う医務室のベッドの上で体を起こし彼は辺りを確認する。やはり暗い。部屋の時計の短針はおそらく2時かあるいは3時を指していた。


(起きちゃったな ・・・)


 昨日サンベルがパインに運んでくれた夕飯の食器は跡形もなく片付けられていた。

 誰もいないこの部屋の船の中とは思えない硬い床にパインは足をつけた。


『こっちだ ・・・』


(・・・ ん? ・・・)


 寝起きでまだはっきりとしないパインの頭の中にその声が響いてくる。ふと彼は窓を見ると閉められているカーテンの隙間からチラチラと光が入ってきていた。


(なんだ? 灯台かな?)

 よろよろと立ち上がり、カーテンを開ける。


(・・・)

『そうだ こっちだ』


 パインがカーテンを開けると共に光の正体が船首の手すりに止まっているのが見えた。


(・・・)


 それは大きな鳥のようであった。


 白く輝く鳥がパインを微動だにせず見つめていた。

 口ばしを引き、体を一直線にして立つその姿はこの世の物とは思えないほどの美しさである。


『使命 ・・・ 使命を果たせ ・・・』


(な なにを言っているんだ? 使命ってなんぞ?)

「ちょ ちょっと意味がわからな ・・・」

 パインはつい口に出して独り言を言った。


『いずれ分かる その時がくれば ・・・ 』

『私は 伝 ・・・・・・』

 外に出て直接それを問いただそうとパインはドアに手をかけた。


 その鳥は翼を広げる。


「「 !! 」」


 翼を広げた鳥の大きさはパインの想像以上に大きなものであった。船の幅半分ほどはある。


 甲板にでた素足を止め、荘厳な光景をパインはただ見つめた。


 その鳥は短い首を持つ大きな頭を傾けた。


 鳥の額から1つだけ大きな瞳が静かに開き、パインを見つめる。


 奇妙なその絵とその瞳の模様にパインは見覚えがあった。


(んなっ !?)


 鳥は翼をはためかせ暗い闇の空へと吸い込まれていった。


 辺りは次第に暗くなり、シンと静まり返る。


 そしてパインは起きてから今まで感じていなかった船の揺れを体で感じるようになる。


…。


(なんだったんだ)

 部屋へと戻ったパインは窓から誰もいない船首を確認し、カーテンを閉める。


…。


 突然襲ってきた睡魔によって再度ベッドの中に彼は入った。

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