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【第24話】パインの失態

 汗が半ば引いたパインの体に風があたる。夕方の冷たい風がパインの身を縮こませる。彼は町に入った。

 冒険者以外の人々もそれぞれ帰路についていた。

 彼は久しぶりにそれらの人々を見てふと思った。なんだか自分が別の世界から戻ってきたような錯覚に陥ってしまうと。

(あれも これも 現実なんだよな)

 彼の頭はボヤッと靄がかかったようだ。余計な事を考えながらも舗装された道に入る。彼はより一層強くペダルを押し愛車を前に進めた。

 パインは役所の敷地に入る。自転車を降り、それを手で押す。前と同じ位置に駐車されたあの人のバイクと、それに長身の背でよりかかる持ち主が彼の目に入る。アッシュはいつものパンを片手に本を読んでいた。

「お待たせしました ・・・」

 パインは自転車をバイクの隣に寄せ、スタンドを下ろす。役所の雰囲気は彼を少しだけ不安にさせた。

「おせえよ まぁ 一応日は落ちてないがな」

 その言葉でパインの気持ちが一気に引き締まる。アッシュの言葉が一番彼にとって効果があるようだ。そして彼は事の顛末をアッシュに説明した。


…。


「それに 体も自然と軽くて ・・・」

 説明している内に再度体に熱が帯びてきてつい余計なことまで彼は喋ろうとしてしまう。

「おい! おまえそれ! リュック!」

 唐突にアッシュがそう叫んだ。

 パインはなんの事かとリュックを地面に降ろすと、パンパンのはずの中身が随分ゆったりしているように感じている。そして彼が中身を確認する。

「ばかやろーー!」

 アッシュの怒号でガヤガヤしていた役所周辺の人々がなんだなんだと2人に視線を送っている。

 パインはアッシュの硬いげんこつをくらうこととなった。


……。


「見事にやられてんな ・・・」

 パインは涙目になりながら頭を押さえ、アッシュの言うリュックの横を見やった。リュックの一部がキレイに縦に引き裂かれていた。

(う ・・・ っわぁ ・・・)

 リュックに2つしまったはずのイボ骨が1つしかない。

「自分で羽根くらい獲れよなぁ ・・・ それに 普通気が付くと思うんだが・・・」

 パインはすみませんと頭を下げた。彼は自身の浮ついた心がものすごく恥ずかしくなった。

「で どんな奴だった?」

 おそらくあの少女のような女性。というかそれ以外は考えられない。他の冒険者とは一瞬すれ違っただけ。その女性はわざと羽根を地面に投げた。そして拾うスキをついての手業だろう。アッシュのげんこつをくらった冴えた頭でパインはやっとそのことを悟った。

「小柄で ピンク色の髪でした それと」

「それと?」

 アッシュがイラつきながら早く話せと口に出す。

「ショットガン持っていました」

 そう言うと彼の顔が一瞬動きをピタッと止めたのが分かった。

「あの草原でショットガン持つ奴は 相当沸いてるな ・・・ 弾代のほうが」

 パインも同じことを思っていた。冒険者ともなるとそこの収支は必ずついてまわるものと。

「まぁ もういい 行くぞ」

 そうアッシュが言うと、食べかけのあんぱんと本を胸元にしまい役所へと足を運ぶ。

(軽くなったのは本当に荷物だったのね ・・・ とほほ)

 パインはおずおずとアッシュの背を追った。

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