↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
斬光 ―空を止めない艦隊―  作者: 縁側×野良猫
第四章 日本防衛戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
25/29

第二十四話 巻き返し

夜明け前。


空はまだ暗かった。


だが。


海だけが燃えている。


第七機動艦隊。


第88機動艦隊。


第一機動艦隊。


中国航空隊。


台湾支援艦隊。


全てが、

なお戦線を維持していた。


だが。


限界だった。


砲身は焼け。


飛行甲板は穴だらけ。


弾薬も。


燃料も。


人間も。


全てが擦り切れ始めている。


それでも。


まだ誰も退かない。


退けば終わる。


だから立っていた。


その時だった。


第88艦橋。


通信士が顔を上げる。


「長距離識別信号!」


「米太平洋艦隊先遣航空隊!」


艦橋の空気が変わる。


副長。


「到達予測より早い……!」


その直後。


空。


遠方。


黒煙の向こう。


新しい機影。


数が違った。


一つや二つではない。


何十。


何百。


編隊そのものが空を埋めている。


第七艦隊通信士が呆然と呟く。


「……来た。」


識別。


一致。


星条旗。


米軍航空隊だった。


通信回線。


ノイズ混じりの英語。


『こちら米太平洋艦隊先遣航空隊。』


『戦域へ到達した。』


『これより防衛線へ参加する。』


その瞬間だった。


第七艦隊艦橋。


誰かが座り込む。


緊張が切れかけていた。


だが。


まだ終わっていない。


まだ戦場は目の前だった。


美鈴が短く言う。


「回線接続。」


副長。


「米軍側戦域リンク接続!」


その直後。


別回線。


米軍側士官。


『……噂以上だな。』


『それが斬光か。』


その視界の先。


黒海を切り裂きながら進む異形艦。


発艦。


着艦。


補給。


再発艦。


なお止まらない。


米軍士官が低く呟く。


『空母……?』


短い沈黙。


別の声。


『違う。』


『あれは艦隊そのものだ。』


さらに。


『いや。』


『海上を移動する要塞だ。』


その時。


米軍先遣航空隊。


戦域突入。


数百機規模。


空が変わる。


蒼刃航空隊。


中国航空隊。


台湾航空支援。


第七残存航空隊。


そこへさらに、

米軍航空隊が加わる。


空が埋まった。


機影。


機銃。


爆炎。


白線。


炎。


まるで空そのものが戦場になっていた。


第88艦橋。


通信士。


「航空優勢、変化あり!」


「敵群押し返し始めています!」


副長が海図を見る。


「右翼側敵密度低下!」


「中央突破圧減少!」


初めてだった。


黒い群れが。


押し返され始めていた。


その瞬間。


第88駆逐群。


島風。


雪風。


月影。


孤狼。


森風。


なお前へ出る。


損傷。


炎上。


限界。


それでも。


突っ込む。


月影艦橋。


若い艦長。


「今だ。」


「押し返せ。」


その直後。


後方。


重い振動。


海面が揺れる。


通信士。


「新規大型艦群確認!」


「米太平洋艦隊本隊です!」


誰かが息を呑む。


水平線。


その向こう。


巨大な艦隊。


空母。


巡洋艦。


駆逐艦。


戦艦。


海そのものを埋める規模だった。


五十隻級。


巨大機動艦隊。


その中央。


重厚な戦艦艦影。


アイオワ級。


さらに。


米軍空母群。


艦載機発艦開始。


その数。


圧倒的。


副長が呟く。


「……空が変わる。」


本当に変わった。


航空機総数。


千へ届こうとしていた。


空が埋まる。


蒼。


白。


灰。


各国の航空機が、

同じ空を飛んでいる。


その光景を見た中国航空隊士官が小さく呟く。


「……世界戦争だな。」


誰も否定できなかった。


その時。


米軍本隊通信。


重い声。


『日本艦隊。』


『ここからは共に押し返す。』


短い。


だが。


それだけで十分だった。


その瞬間。


第一機動艦隊。


大狼型。


特務戦艦群。


第88重巡群。


全艦。


前進。


止める戦いが終わる。


ここからは違う。


押し返す戦いだった。


特務戦艦艦橋。


重い声。


「前へ出る。」


巨大砲塔旋回。


斉射。


轟音。


その直後。


米軍戦艦群も砲撃開始。


海そのものが震える。


さらに。


蒼刃航空隊。


米軍航空隊。


中国航空隊。


台湾航空支援。


全方向同時突撃。


空が落ちてくるようだった。


黒い群れへ。


無数の刃が突き刺さる。


そして。


初めて。


黒海が割れ始めた。


うごめく群れが。


押し返されていく。


第七艦隊通信士。


震える声。


「……押しています。」


誰かが小さく笑った。


泣いている者もいた。


それでも。


まだ誰も座らない。


終わっていないからだ。


だが。


ようやく。


本当にようやく。


人類側が、

押し返し始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。