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斬光 ―空を止めない艦隊―  作者: 縁側×野良猫
第四章 日本防衛戦

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第二十一話 群れ

空が燃えていた。


蒼刃航空隊。


中国航空隊。


第七艦隊残存航空隊。


黒煙の空を、無数の機影が交差していく。


その下。


海はさらに酷かった。


黒い。


多すぎる。


海面そのものが、

うごめいているようだった。


撃沈。


撃墜。


炎上。


それでも。


減らない。


むしろ。


黒い群れは、

押し寄せるたび密度を増しているように見えた。


第七艦隊通信士。


「敵群突破継続!」


「右翼側圧迫増大!」


「第二防衛線後退!」


艦橋が揺れる。


着弾。


爆炎。


岳陵艦橋。


副官。


「防衛線維持限界が近い!」


岳陵艦長は低く言った。


「まだだ。」


その声だけで、

誰も持ち場を離れない。


その時。


敵群中央。


爆炎。


第88先行駆逐群が、

なお突っ込んでいた。


島風。


速度維持。


被弾しながらも止まらない。


月影は敵群中央を切り裂き続ける。


孤狼はさらに深く食い込む。


砲火。


炎。


黒煙。


その全ての中を、

五隻が走っていた。


まるで黒海へ突き刺さった槍だった。


月影艦橋。


「左舷敵接近!」


「雷撃来ます!」


若い艦長が短く言う。


「回避なし。」


部下が振り返る。


「ですが!」


「抜かせる方がまずい。」


静かだった。


その直後。


敵雷跡。


白線が海を裂く。


月影。


強引に敵群中央へ突入。


至近距離。


主砲斉射。


黒い敵影が吹き飛ぶ。


だが。


爆散しない。


黒煙のように崩れ。


消える。


その向こう。


また同じような影が現れる。


月影砲術士官が息を呑む。


「……またいる。」


終わりがない。


それが、

一番恐ろしかった。


その時だった。


森風。


「左翼側生存艦回収完了!」


「第六機動艦隊残存艦二隻確認!」


炎上した駆逐艦を守るように、

森風が砲火を浴び続けている。


若い艦長が叫ぶ。


「引きずってでも連れて帰れ!」


その瞬間。


敵機群接近。


だが。


空から蒼い影。


蒼刃航空隊。


急降下。


迎撃。


敵機が連続して海へ落ちていく。


風間機。


敵編隊へそのまま突っ込む。


若手エース候補が続く。


空。


炎。


機銃。


破片。


視界が白く染まる。


それでも。


蒼刃は止まらない。


中国航空隊指揮官が呟く。


「異常だ……。」


着艦。


補給。


再発艦。


その循環速度が、

常識を超えていた。


空が途切れない。


まるで斬光そのものが、

航空機を生み続けているようだった。


さらに。


後方。


特務戦艦群。


巨大砲塔旋回。


砲撃開始。


轟音。


海そのものが震える。


黒い群れ正面へ、

重い一撃が叩き込まれる。


それでも。


群れは止まらない。


むしろ。


砲煙の向こうで、

まだうごめいている。


特務戦艦艦橋。


低い声。


「……本当に化け物だな。」


だが。


次の瞬間。


「だから壁になる。」


重厚な艦影が、

さらに前へ出る。


その後方。


大狼型。


第一機動艦隊。


巨大な艦影が、

なお本土前で動かない。


その存在だけで、

防衛線は崩れていなかった。


通信。


『第七、持ちこたえろ。』


『第1はまだ沈まん。』


親父の声。


短い。


だが。


それだけで十分だった。


その時だった。


第88艦橋。


通信士。


「台湾支援艦隊、戦域到達!」


さらに。


「米太平洋艦隊先遣航空隊、到達まで推定二十時間!」


副長が静かに呟く。


「……間に合うか。」


美鈴は海を見たまま答えた。


「間に合わせます。」


その瞬間。


斬光。


第三波発艦開始。


再び空が埋まる。


蒼い刃。


無数。


黒い群れへ向かっていく。


それは希望だった。


だが同時に。


人類側もまた、

限界へ近づき始めていた。

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