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斬光 ―空を止めない艦隊―  作者: 縁側×野良猫
第三章 ハワイ救援へ
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第十五話 ハワイ防衛線

ハワイ海域。


救援戦は続いていた。


空は黒煙に覆われ。


海は炎に染まっている。


だが。


第88機動艦隊投入以降。


確実に戦線は変わり始めていた。


「右舷防衛線押し返しました!」


「港湾上空制空回復中!」


通信が飛び交う。


艦橋。


副長が戦況図を更新する。


「敵航空型減少。」


「ですが沖合艦隊群、依然健在。」


美鈴は海を見つめる。


黒い艦影。


まだいる。


まだ終わっていない。


艦長が笑う。


「なら削るまでだ。」


その時。


通信。


米軍側巡洋艦。


『弾薬不足!』


『防衛線維持困難!』


美鈴は即座に言う。


「椿より補給搬送。」


後方海域。


椿。


その甲板では補給員たちが走っていた。


椿艦長は静かに指示を飛ばす。


「急いでください。」


「まだ前線は持っています。」


その声に荒さはない。


だが。


全員が走る。


整備班長も怒鳴っていた。


「止めんな!」


「回せ!」


「次持ってこい!」


戦場。


それでも斬光甲板は止まらない。


発艦。


整備。


再装填。


再発艦。


それを繰り返す。


米軍側航空士官が呆然と呟く。


『……信じられん。』


『発艦が止まらない……。』


その空。


風間隊が戦線中央へ突っ込む。


敵航空型多数。


数で押してくる。


だが。


風間は速度を落とさない。


「右上!」


「散るな!」


若手エース候補も叫ぶ。


「了解!」


米軍機も追従する。


最初は噛み合わなかった。


だが。


今は違う。


空で連携が始まっていた。


国も言葉も違う。


それでも。


空では分かる。


誰が前へ出るか。


誰が守るか。


それだけで十分だった。


海上。


特務戦艦前衛。


主砲斉射。


巨大な砲炎が海を照らす。


敵艦影へ直撃。


だが。


消える。


砕けるのではない。


消える。


前衛艦長が低く呟く。


「……やはり気味が悪い。」


その直後。


敵艦群前進。


一気に距離を詰めてくる。


副長。


「敵艦接近!」


艦長。


「来るぞ。」


美鈴は静かに言う。


「防衛線維持。」


「ここを抜かせない。」


その瞬間。


森風以下駆逐艦群前進。


雷撃線形成。


若い艦長が通信を飛ばす。


「森風、突入します。」


「左翼敵艦群を止めます。」


椿艦長の声。


「……気を付けて。」


短い沈黙。


そして。


「了解。」


駆逐艦群突撃。


海を裂く。


砲火。


水柱。


爆炎。


その中央を突っ切る。


雷撃発射。


敵艦隊側面命中。


G艦群が揺れる。


その隙。


重巡群砲撃開始。


防衛線が押し返す。


空。


海。


港。


全てが同時に動いていた。


その頃。


真珠湾司令部。


疲弊した米軍士官たちが、戦況図を見ていた。


『……押し返している。』


『本当に……。』


誰かが小さく言った。


『日本艦隊が来てからだ。』


誰も否定しなかった。


そして。


夕刻。


ようやく。


沖合G群が後退を始める。


黒い艦影群。


ゆっくりと。


海の向こうへ退いていく。


だが。


観測索敵士だけは、その先を見ていた。


南東。


さらにその先。


黒い海域。


そこだけ。


空の色が違っていた。

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