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ゴミとして捨てられた聖女、魔王と手を組み王国に復讐する  作者: ふりっぷ
第一章 魔王城制圧編

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魔王親衛隊、中層に降りる 前半

緩やかな日常は、上層からの侵攻で終わりを告げる。

規律を武器とする魔王親衛隊。

中層での危険性を忘れ、

日常を楽しんでいるように見えるヒマリ達。


その和やかな雰囲気は、上層からの侵略によって終わりを迎えた。


回廊から立ち込める純然たる圧力。

意志を持った、冷徹な殺意。

中層の空気が、一瞬で重く淀む。


「来たな」

フェルマーが冷や汗を垂らしながらも笑みを浮かべる。


「隙を見せた甲斐があったわね」

ヒマリはそそくさと後方に避難しながら、魔王城へのアクセスを始める。


「なんと、弛緩した軍の様子はすべて策略だったか」


「ごめんなさい。フェルマーが秘中の秘だって言うから

 口にできなくて」


「無駄口を叩くな!上層の戦力をおびき寄せた


今が魔王城の制御権を奪う、最初で最後のチャンスだ」


「了解した」

シュルツが低く呟き、剣を構えた。

その一言で、前線に線が引かれる。


上空で空間が歪み、二つの咆哮が重なる。


「……ツインヘッドドラゴン」

フェルマーが静かに名を呼んだ。


だが、それは単なる二つの首ではなかった。


片方は紅蓮の鱗。

もう片方は蒼氷の結晶。


互いに反発しながら、完全な均衡を保っている。


「……古代種か」


巨大な双頭の竜が、翼を広げて中層の天井を突き破るように降下する。

鱗は漆黒に輝き、二つの首が同時に息を吸い込む。


翼が一振りされる。

その風圧だけで回廊の壁が崩落した。


中層の天井が裂け、瓦礫が雪崩のように落ちる。

魔物たちが散り散りに逃げる。


紅の首が紅蓮のブレスを吐き出し

蒼の首が逆回転するように魔力を収束する。


二つの属性が螺旋を描き――融合。


「結界、展開!」


フェルマーの声が響く。


半透明の多層結界が広がり、ブレスを歪める。


軌道が逸れ。

壁を抉り、床を焼き焦がし、氷結させる。


爆音と蒸気が充満し、結界が一瞬で三層破壊された。


フェルマーが膝をつく。


「……一撃で、ここまでか」


被害は出たが、ドラゴンの侵入は防いだ。


「……上層にこんな化け物がいたなんて」ヒマリが歯を食いしばる。


「ああ。よほど我々が目障りになってきたのだろう。

 結界の安定させるまで敵を近づけるな」


フェルマーは前線に出ない。

だが、戦場の形を、彼が決めている。


次に現れたのは、影。黒い甲冑の騎士たち

――魔王親衛隊、シャドウ・ナイト。


黒い甲冑の中央。


一歩前に出他より一回り大きい影。

仮面に刻まれた紋章は、双剣。


「我が名はグリム」


低い声が戦場に響く。


「魔王親衛隊隊長。魔王ノリス様が戻られる前に

 中層の掃除を行う」


剣を掲げる。


背後に黒い騎士が並ぶ、隊列は完璧。無駄な動が一つもない。

十人一組の楔形陣形で進み、

剣と盾を統一したリズムで打ち鳴らす。


一振りで三体のスケルトンを斬断。

二歩でゴブリンの陣を崩す。


空からガーゴイルの群れが降り注ぐ。

百を超える石像の魔物が、鋭い爪と翼で空を埋め尽くす。


数で圧倒し、ヒマリ達に消耗を強いる。


「ツインヘッドドラゴンをこれ以上踏み込ませてはならん!」

シュルツが魔法剣を構え、突撃していく。


迂闊に仕掛けたガーゴイルが木の葉のように砕かれた。


「……くそっ、出番を奪われるな!」

デーモンたちが吼え、角を輝かせて後に続く。


サキュバスも風の槍を投げ、ガーゴイルを数体撃墜していくが、

数が多すぎる。


防陣を突破され、ヒマリに向かったガーゴイルの群れに、

ゴブリンたちが盾壁を築いて立ちふさがる。


鋭い爪が盾を切り裂き、ゴブリンたちが次々と血を散らす。


一瞬で十数体が薙ぎ払われ、散っていく。


「ひっ」

悲鳴を飲み込む。


目の前で、首だけになったゴブリンが笑う。


「ヒマリ様……守れた……」


「あなたたち、隠れてなさいって言ったでしょ!」

ヒマリの声が震える。


その時、

ドラゴンに吹き飛ばされたシュルツが彼女の前に転がってくる。


「ヒマリ殿、それは違う」

彼は血を流しながら再び立ち上がる。


「ゴブリン達は忠義を果たしたのです。褒めてやって下さい」


「だって、死んじゃった」


「全員が生き残る戦場などございません」


「ヒマリ、魔王城の制御が落ちている。集中しろ」


「やってる。やってるわよ!」


フェルマーが視線をはずした隙に、彼の結界にひびが入り、

ドラゴンが体当たりを繰り返す。


衝撃でフェルマーの体が揺れ、口元から血が滴る。

「この規模の結界を一人で維持するのは、土台不可能だ」


それでも彼は、張り付いた笑みを浮かべる。

ヒマリの願いに魔王城が応え、床から光輝く管が現れた。


ついに上層が動きました。

魔王城のアクセスは何を意味するのか。

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