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記憶共有的異世界物語  作者: さも
第5章:絶対的な成長
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第37話:鍵の使い方

ニーナ・ノルヴァはスッと消えて、辺りに静寂が訪れた。

手に握ってる鍵に何の意味があるのか依然分からないままだったが、この鍵がただの鍵でないことは触っただけで分かる。


「奈恵に気をつけろ...か」



=======================


なんとなく気になって奈恵の家の前まで来た。

家の中から奈恵が家族と楽しそうに話している声が聞こえ、意識が戻ったんだなと知った。

本当に戻ったのか確認したくてインターフォンを鳴らした。

出てきたのは奈恵だったが、いつもと雰囲気が違っていた。


「いらっしゃい俊介。家まで送ってくれたの貴方なんでしょう?ありがとね」


そう言ってニカッと爽やかな笑みを見せていたのだが、正直僕はこの笑みに気味悪さを感じていた。


「脇腹の傷は大丈夫なのか?」


「ん?なんのこと?」


「いや...え?」


奈恵がシャツの端をめくっていたが、そこにあの時見た青あざは無かった。

さっきからこれほど気色悪さを感じているのは、ニーナ・ノルヴァの警告が原因だろうか?


「疲れてるんじゃない?あんなことがあったんだもん。俊介もちゃんと休んでね」


「あ、あぁ」


「まぁ元気そうで何よりだ。僕はもうこのまま帰ることにするよ、奈恵も病み上がりなんだからゆっくり休んでな」


そう言って背を向けた。

向けたはずだったんだ。


「そう、じゃぁまた明日。あ、そうだ!せっかくだから家まで送ってあげるよ」


奈恵のその言葉を聞くのと同時に、僕は家の中にいた。



僕の家だ。



「神と遭遇するのっていっつもお前だよな、なんか羨ましいよ」


シュンヤが椅子に座っていた。

今起こった現象に頭の整理が追いつかなかった。


「僕が体験したことは全部記憶としてそっちに行ってるよな...?」


「あぁ、全部来てる。奈恵の事だろ?」


「正直僕は今起こった現象を全然理解できてない」


「だろうな。俺もだ」


本当に何が起こった?

シュンヤの記憶を見る限り、僕は突然家にテレポートしてきたようだった。

テレポートの瞬間、僕が前に見たナエラのテレポートと似た空間の歪みが起こって、その歪みから僕は出てきた。


ナエラの魔法を奈恵が使ったってことなのか?

シュンヤの眉間にシワが寄っている。


そりゃそうだ。


ナエラがエルフに殺されて、仲間を一人失ったと思ったら、今度はその仲間の能力を別の人間が使ってるのだから、シュンヤにとっては最悪なまでに複雑な気持ちだろう。


シュンヤのメンタルに純粋な敬意が湧く。

よくもまぁこの状態で狂わないモノだ。


「お前、ニーナ・ノルヴァから鍵貰っただろ?その鍵に膨大な魔力のような何かが篭ってるぞ」


シュンヤの突然の発言にこれまた思考が止まりそうになったが、鍵を見つめて納得した。

この鍵の違和感には既に気付いていた。


「この鍵ってどこの鍵なんだろうな」


そう言ってふざけ半分で自分の部屋の鍵穴に鍵を差し込んでみた。

鍵穴に刺さった瞬間。辺りに数字の配列が浮かび上がり、その数字が僕を包み込んだ。


ドアを開けるとそこには荒れまくった僕の部屋があった。

さっき【ウッドソード】で直したハズの部屋がまた荒れているのだ。


それこそ【時が戻った】かの様に再び荒れていた。

起こった現象に今度こそ思考がストップした。


僕の部屋の机を見て、僕の部屋の時計とリビングの時計の時間がズレていることに気付いた。

冬弥がエルフに憑かれていた時の正確な時間は覚えていないのだが、約2,3時間ほど前だったと言うのは覚えている。


ミレイ・ノルヴァの鍵が、なんの鍵なのかを偶然で理解した。

本当に偶然だった。

ふざけ半分で鍵の使い方を理解した。

ラッキーとしか言いようがなかったが、この瞬間。僕の頭にはあるひとつの作戦が浮かんでいた。


ドアを閉めて、鍵を抜き再びドアを開けると、そこにはキレイに直った僕の部屋があった。

この鍵を刺したドアの向こうに過去の世界が存在しているんだなと理解した。


「なぁ、もしかしたらこれでバーミアに行けるかもしれない」


「どういう事だよ」


「分かんない?この鍵が過去に行ける鍵だとしたら、当然シュンヤがバーミアにいた時間にだって行けるわけだ。そしたら【ステンエギジス】で今度は僕達が向こうの世界に乗り込んでやればいい」


シュンヤは納得したような仕草をして、決意めいた表情をした。

その表情を見て、シュンヤの戦意が本物であることを確信した僕は、言おうか悩んでいた事を言おうと思った。


「この方法を使えばナエラを生き返らせることも出来るかもしれない」


「それは無理よ」


突然僕の背後から声が聞こえ、驚いて身構えてしまった。

そこには目のハイライトが消えた奈恵がいた。


「それは無理なの。一度死んだ人間は過去を変えようとも帰ってこない。むしろより残酷な死に方をするわ」


「なんで分かるんだよ」


当たり前のように奈恵がナエラの魔法を使っていることにはあえて触れなかった。

これ以上思考をこんがらがせる訳にはいかない。


「昔の話。私も数秒だけど時間操作が出来たの」


そう言って奈恵は昔話を始めたが、その話はどう考えても地球のものではなく、ナエラの記憶なんだなと思った。

それはシュンヤも同じようで、彼の眼差しが鋭くなった。


「私はね、殺したのよ....【彼女】を」

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