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夕陽が落ちる頃の夢  作者: 朝宮ゆう
おばさんと言う職業

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9/17

おばあちゃんの昼寝

桑さんは全く起きない。

うつらうつらと舟を漕ぎながら、椅子から落ちるんじゃないか?

と、心配になりながら仕事する。

実質1人で働いてるのと一緒だが、桑さんは宮司の胃袋を掴んでいた。

田舎臭い素朴な料理で、煮物やきんぴら、そんな物ばかり作っていた。

自慢の漬物樽を3つ持ち、大根の酢漬け等しょっちゅうつけていた。

「若い子が作る料理は口には合わん。」

宮司は、桑さんが居るときは、桑さんに作らせていた。

80過ぎのおばあさんには、きついのだろう。

寝ている事をいい事に、私はアプリの返事をわくわくしなが待った。

程なく

「スマホ、新しくしたんだ。それで間違えちゃった。」

間違えて送ってくる事なんて有り得るのだろうか?

悩みながらも、返信する。

「そっか、久しぶりだから元気かなぁ。」

「元気、でも毎日忙しい。自営業は大変です。」

「お父さん元気?」

私は何気無しに返信した。

「父は15年前に他界しました。」

私は何と返せば良いのか分からなくなった。

そして、高水君のお父さんの事を思い出していた。

高水君のお父さんは、私の父とは違いとても優しい人だった。

家に行くと

「結衣よく来たね!」

そう言い、必ずハグをしてくる。

「夕飯はまだかい?今日は、ローストビーフを作ったんだ!結衣も食べると良い!」

行く度にそんな感じで、英語教師をしていると言うお父さんは、食卓にやたらと招いて可愛がってくれた。

高水君のお母さんも、優しく。

「食べられる物を食べられるだけ、食べれば良いのよ。」

と、大皿に山盛りに作られた料理を取り分けて食べた。

食の細い私はいつも

「結衣は少食だな。」

と、豪快に笑ってる姿を思い出していた。

高校生で、料理等した事がなかった私は、この夫婦の手伝いで料理が出来る様になった。

今、宮で働けてるのも、何不自由も無く生活出来てるのは、高水家のお陰なのだと思った。

暫く、想いを馳せ私はアプリに

「ご愁傷様でした。御冥福をお祈りします。」

と、返した。

いつかは、人は死ぬのだ。

当たり前だが、ここでうたた寝をしている、桑さんだって、いつその日が来るのかは分からない。

そう考えると、優しくしなくては。

そんな気持ちにさせられた。

その日のメッセージは、それを最後に返信がなくなった。

悲しい気持ちが込み上げて来る。

でも、泣くわけにはいかない。

ただ黙って目の前にある作業をするだけだ。

楽しかった頃を考えよう。

そう思い直し、机に向かう。

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