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夕陽が落ちる頃の夢  作者: 朝宮ゆう
おばさんと言う職業

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9/20

おばあちゃんの昼寝

桑さんは全く起きない。

うつらうつらと舟を漕ぎながら、椅子から落ちるんじゃないか?

と、心配になりながら仕事する。

実質1人で働いてるのと一緒だが、桑さんは宮司の胃袋を掴んでいた。

田舎臭い素朴な料理で、煮物やきんぴら、そんな物ばかり作っていた。

自慢の漬物樽を3つ持ち、大根の酢漬け等しょっちゅうつけていた。

「若い子が作る料理は口には合わん。」

宮司は、桑さんが居るときは、桑さんに作らせていた。

80過ぎのおばあさんには、きついのだろう。

寝ている事をいい事に、私はアプリの返事をわくわくしなが待った。

程なく

「スマホ、新しくしたんだ。それで間違えちゃった。」

?

間違えて送ってくる事なんて有り得るのだろうか?

悩みながらも、返信する。

「そっか、久しぶりだから元気かなぁ。」

「元気、でも毎日忙しい。自営業は大変です。」

「お父さん元気?」

私は何気無しに返信した。

「父は15年前に他界しました。」

私は何と返せば良いのか分からなくなった。

そして、高水君のお父さんの事を思い出していた。

高水君のお父さんは、私の父とは違いとても優しい人だった。

家に行くと

「結衣よく来たね!」

そう言い、必ずハグをしてくる。

「夕飯はまだかい?今日は、ローストビーフを作ったんだ!結衣も食べると良い!」

行く度にそんな感じで、英語教師をしていると言うお父さんは、食卓にやたらと招いて可愛がってくれた。

高水君のお母さんも、優しく。

「食べられる物を食べられるだけ、食べれば良いのよ。」

と、大皿に山盛りに作られた料理を取り分けて食べた。

食の細い私はいつも

「結衣は少食だな。」

と、豪快に笑ってる姿を思い出していた。

高校生で、料理等した事がなかった私は、この夫婦の手伝いで料理が出来る様になった。

今、宮で働けてるのも、何不自由も無く生活出来てるのは、高水家のお陰なのだと思った。

暫く、想いを馳せ私はアプリに

「ご愁傷様でした。御冥福をお祈りします。」

と、返した。

いつかは、人は死ぬのだ。

当たり前だが、ここでうたた寝をしている、桑さんだって、いつその日が来るのかは分からない。

そう考えると、優しくしなくては。

そんな気持ちにさせられた。

その日のメッセージは、それを最後に返信がなくなった。

悲しい気持ちが込み上げて来る。

でも、泣くわけにはいかない。

ただ黙って目の前にある作業をするだけだ。

楽しかった頃を考えよう。

そう思い直し、机に向かう。

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