付き合ったらする事
思い出した。
高水君は、とても不器用な人だった。
あの日、2人でベッドに腰を掛け
「僕コレしか知らないんで」
と言うと、再度また押し倒して来たのだ。
「ちょっと違うと思います」
押し倒され、また目が合う。
このままセックスしても良かったのかも知れない。
ただ、セックスしたら終わる様な気もした。
「じゃあどうすれば?女の人はみんな僕の上に跨がり腰を振るよ?初めてだから怖いのかな?安心して直ぐに気持ちよくさせるよ?」
高水君は真剣な顔をして言った。
流されたい気持ちが込み上げてくる。
どのくらい気持ちのいい物が待っているのか、興味があった。
しかし、キスすらした事ない私は否定した。
「お勉強しましょう?」
にっこり笑い緩んだ手を解く。
「普通の恋愛について、2人でお勉強しましょう。」
私は言葉を続ける。
「先生も私も、普通がわからない。だったら、今してしまったら一生普通がわからないんではないでしょうか?」
そう言い終わるから終わらないかのうちに、私の唇は高水君の口に塞がれていた。
喋り掛けていた口は、ぱかりと開いていて、あっという間に口の中に暖かい物がぬるりと入ってくる。
キスされてる?!
理解するまでに数秒かかった。
私は快楽に流された。
キスってこんな、気持ちいいんだ。
ふわふわと頭の中が馬鹿になっていくのを感じる。
そのまま押し倒され
「ね?気持ち良いでしょ」
と、悪びれず高水君は言った。
「まぁ、それなりに。」
認めるのが悔しかった私は素直に答えなかった。
「続きする?」
爽やかな笑顔で聞いてくる高水君。
「しない」
私は真顔答えた。
「結衣はガードが硬いんだね。友達に聞いた話だと女はヤルまでが大変だって聞いたけど、これが普通なのか。
僕は今まで女はみんな直ぐにやりたがるし、やったら自慢するものだと思っていたよ。」
ため息をつきながらも、新鮮そうに高水君は言った。
「じゃあ、何がしたいの?」
真っ直ぐに見つめ高水君は言った。
「デートがしてみたいです。」
私は言った。
「デート?それって何するの?何の為にするの?」
「それは、2人の仲を良くする為です。そうですね。場所はどこでも良いんです。ファミレスだったり、景色の良い所に行ったり。」
「ふーん」
高水君は真剣に考えているのか、よく分からない顔をしていた。
「わかった、明日学校まで迎えに行く。その後デートしよう。」
高水君はそう言うと微笑んだ。
「時間だ。」
アラームが鳴り響き、授業終了のお知らせが携帯にかかって来た。
2人で黙って部屋を出る。
リビングで母がTVを観て寛いでいた。
父の姿は無かった。
今日も、残業なのだろう。
「授業終了致しましたので、失礼します。」
高水君は母に向かって言うと、母は慌てて
「あら〜、ごめんなさい。気がつかなくて、どう?結衣は?勉強になった?英語は私は教えられないから〜。」
「娘さん、大変勉強熱心でしたよ。後はリスニングを頑張って貰わないと。」
と、全然勉強等してなかった癖に、口だけは良く回る。
頭は良いのだと、改めて高水君の事を思った。
「それでは、失礼しますね。」
玄関先で礼儀良く御辞儀して、高水君は帰って行った。




