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夕陽が落ちる頃の夢  作者: 朝宮ゆう
おばさんと言う職業

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7/17

アプリ

ブルブルとスマホが鳴る。

今日は、桑さんと一緒の日だ。

桑さんは食事をとると、椅子に座ったまま寝る癖がある。

午後は殆ど寝て過ごす。

そんな桑さんと組むと吉日は大変だった。

全く起きないからだ。

私も最初は驚いたが、もう慣れた。

起きる事は無いのを、知っているから、スマホもいじり放題だった。

しかし、神職に見つかるとまずい。

特に宮司だけには絶対みつからない様にしなくてはならなかった。

私は、引き戸をチラリと見ると、人がくる気配は無い。

スマホを手に取り内容を確認する。

メッセージアプリの友達が追加されていた。

そこには、高水と書かれていた。

本人なのだろうか?

もう20年以上連絡は取っていない。

メッセージをみる。

愛らしいキャラクターのスタンプでただ一言、久しぶり。とだけ送られて来た。

まだ、お互い連絡先を残していたのか。

私は初恋の相手の連絡先を消せず、携帯からスマホに変える時ですら高水君の連絡先を入れていた。

それだけ、未練があるのか?

そう言われると、そうでもないのだが、今は大学卒業と共にお見合いで結婚した、平凡だけれど優秀な旦那と可愛い中学生の娘の3人で暮らしている。

働かなくても、十分な稼ぎをしてくる旦那になんの不満もなかった。

ただ、宮で働く事を両親が望んだ。

「滅多に付ける仕事じゃないのよ?」

そう言う母親に流された。

私はそれまで、仕事と言う物をした事が無かった。

優しい旦那は、

「結衣は家事と子育てをしてくれれば、何をしてても良いよ。友達とランチにいったり映画を観たり、好きに過ごして良いんだ。」

私が働きに出るそう言った時も、旦那は言った。

「それが結衣のしたい事なら、すれば良いし、嫌ならいつも通り子育てして、おいしいご飯を作ってくれれば、それで良いよ。」

旦那はどこまでも優しく、私の常に味方だった。

ただ、仕事以外の事は何も出来ず、家事は全く手に負えない人だった。

例えば、新婚時代つわりが重かった私に、炒飯を作ると言いキッチンに立ち、ただの無味の卵とご飯が炒まった物が出て来た。

「なんか結衣のと違う物が出来た。」

気まずそうに、焦げた調味料を全く使っていない炒飯を旦那は出して来た。

また、掃除はワイパーでシートを付けず一生懸命擦ったりして、みていて居た堪れなくなった。 

そんな人が、今では会社の重役だと言うのだから、世の中わからない。

スマホの話に戻るが、さて、どうしたものか?

決して良い別れ方をした相手ではない。

しかし、わたしも紗和ちゃんに浮かされてたのだろう。

なんの気なしに。

「久しぶり」

と、メッセージを送信していた。



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