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夕陽が落ちる頃の夢  作者: 朝宮ゆう
おばさんと言う職業

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10/17

初デート

その日の紗和ちゃんは、いつも以上に落ち着きがなかった。

宮司が休みだからだ。

「今日さぁ、鮎川さんとデートして来て良い?」

朝からルンルンしながら言われる。

今日のメンバーの残りは、佐々木君と見習の森君、誰も咎める人は居ない。

朝礼で、鮎川さんは言った。

「今日1日、大きな買い物を宮司に頼まれている。紗和さんと2人で行ってくるから、後は頼んだぞ。」

すると、森君が

「俺も行きたい!」

と、無邪気に返して来た。

「お前はダメだ。」

一瞥し、鮎川さんは強い口調で言った。

森君はむくれ、黙った。

森君も、紗和に懐いていた。

一緒にいたいのだ。

ここの宮を支配しているのは、紗和の美貌なのだ。

皆、夢中になり、ご飯を作ってるとチラチラ覗きに行く。

時期になれば、巫女が来ると色めき出す。

それまでの繋ぎが紗和ちゃんだった。

「昼は弁当を買っておいた。食べると良い。」

そい言うと、鮎川さんは机に弁当を3つ置いた。

「では、行ってくる。」

焦る様に2人は出てった。

私は渡された弁当を1つ持つと、おばさんの部屋に帰って行った。

「GPSで監視されてるから」

紗和ちゃんの置いて行ったスマホだけが机に虚しく残る。

「何かあったら、あゆちゃんで登録してあるから電話して」

紗和ちゃんは、そう言うと出ていった。

初デートか。

高校の時の出来事を考えなら、今日は、ろくに仕事する気は起きなかった。

翌日、学校まで迎えに来る。

そう言った言葉の通り。

高水君は、校門前に可愛らしいミニバンを停め待っていた。

「結衣!」

私を見つけると、車から降りて来てハグをして来た。

慣れない私は、顔を真っ赤にして。

「とりあえず、車に乗ろう。」

と、突き放していた。

「OK、プランは考えてあるんだ!任せて!」

そう高水君は言うと、助手席のドアを開け入る様に促した。

親の車以外乗った事の無い私は、新鮮で緊張した。

「結衣はお腹すいてる?」

運転しながら、高水君は言った。

「まだだけど。」

「じゃあ、ドライブしよう。」

高水君はそう言うと、CDを流し始めた。

「この曲は僕らみたいじゃない?」

そう言いながら、邦楽のバラードを流して走る。

「悲しい曲だね。」

私は答える。

「2人だけの曲って感じがして好きなんだ。結衣は出会ったばかりだけど、特別2人だけでいたい。誰にも邪魔されたく無いんだ。多分これが恋なんだと思う。」

運転しながら、真っ直ぐ道を見つめている高水君の顔は薄ら赤く、私はその横顔を眺めていた。

「恋なら出会った、瞬間にしたよ。」

私は返す。

「でも、結衣はガードがかたい。」

薄ら笑いながら高水君は言った。

しばらく走った後、着いたのは展望台のある海だった。

「ここだよ。」

高水君はそう言って車を降りると、また助手席のドアを開けてくれた。

私は徒歩で行ける範囲内でしか、行動した事がなかった。

展望台も初めて観た。

「ここから、富士山が天気が良いと見えるよ。」

高水君は手をとると、展望台まで歩き出した。

人気スポットなのか、周りはカップルで溢れてる。

少し混んだ階段をゆっくり2人で歩いて登る。

風が少し吹いていた。

てっぺんまで登ると、高水君は背後からハグしてきた。

「約束して。僕から逃げないって。」

私はその時、まだ意味がわからず、ただ頷いた。




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