昔話いわゆる高校生。
部活は兎に角二分化されていた。
ヤンキーと、真面目ちゃん。
タバコ臭い美術室で、顧問も目を瞑り、端に追いやられたキャンパスに向かう数名に指導するのが彼の仕事だ。
私は水彩画で、風景画を描くのが好きだった。
また、美術室はいつでも来て帰って良い決まりがあった為。ヤンキーがいない日だけ行けば良いのだと割り切っていた。
後から来られると、絡まれ描いた絵に
「修正」
等と言い、絵の具をチューブからダラリとキャンパスに垂らされたり。
「お顔もキレイにしましょうね。」
と、筆で顔に落書きをされたりする。
それでも、なお部活を続けていたのは簡単な話、運動がからっきし出来ないからだ。
球技は勿論、走るとなるとビリ争い。
さほど丈夫じゃない身体はすぐにゼイゼイと、呼吸を乱す。背丈も小さく白く痩せた身体は疲れやすく不健康そのものだった。
そんな私に唯一、
「ありゃ、やられたか。」
と微笑みながらテッシュで顔を拭ってくれる先輩がいた。
紗和ちゃんだ。
ヤンキーは沢山いて、紗和ちゃんもそのグループの1人だが、何かとこちらを気にする事があった。
「それ?どこの絵?」
「上手だね。私には書けないや。」
「面倒くさくないの。」
紗和ちゃんが部活を引退する半年の間、私は緊張し、オドオドしながら
「えっ、と。」
「はい」
「まぁ」
と、つまらない返事しかできなかった。
紗和ちゃん達が引退すると一気に、部室の治安が良くなり顧問の先生はこれ見よがしに消臭スプレーを部屋中にまき、
「部員以外立ち入り禁止」
と、張り紙をした。
受験が始まるのだ。
3年生は。
しかし、この学校の進学率はとても低い。
部活引退後の彼等はただ、就活に向けて勉強をそこそこに就活指導を受ける。
1年生の私には、まだまだ先の話だ。
と関係ない様に思えていた。
絵を描く事、その頃は1番それが楽しいと疑わなかった。




