ご飯当番
朝礼が終わると紗和ちゃんと、いつもの恒例のじゃんけんをする。
ご飯当番を決めるのだ。
どちらか負けた方が作る側、勝った方はおばさんの部屋で別の作業をしながら、お客様が来るのを待つ。
その日は、大安吉日。
どっちに転がっても、忙しい。
「じゃんけんポン」
あっさり負けた。
ご飯かぁ。
そう思いながら、キッチンに向かう。
今日居るメンバーは8人。
忙しい時はカレー、シチュー、ハヤシライスと定番が決まっていた。
今日は、カレーにしよう。
メニューの中ではカレーが1番評判が良いのだ。
ご飯をガス釜で一升炊く。
カレー粉は、2箱使わなければ足りず。
ジャガイモ1kg、人参6本、玉ねぎ8個、豚こま500g。
それを河童橋で買って来たと言う。金色の年季の入った鍋で炒め、茹でていくのだ。
キッチンで、作業していると外祭から帰って来た禰宜達が、ボンボンと重たい御神鮮の入った段ボールや発泡スチロールを置いて行く。
片しとけ、の合図だ。
野菜や魚果物、乾物。
買い物をする必要が無いくらいの食材が、やってくる。
その中から、具材を選び魚は冷凍に仕舞おうとするが、パンパンで入らない。
みんな、鯛に飽きてるのだ。
しかし、食材を無駄にする事は許されないので、何日かに一回は、鯛料理をする。
私は発泡スチロールに入っている3匹の鯛をどうするか考える。
暑いとは言え、キンキンに氷は入っている。
明日までは持つだろう。
明日は桑さんが来る。
桑さんは料理が大好きだ。
鯛もハンバーグにしたり、つみれ汁にしたり、揚げ浸しにする。
私には刺身を作るのが精々だった。
私は休みだし、そのままにしとこう。
桑さんに任せちゃおう。
そんな考えが頭をよぎる。
野菜を選び終え、大根を味噌汁にしようと考える。
2本は必要だな。
細目で痩せた大根を見て私は思った。
後はサラダだ。
副菜は必ず付けなければいけない決まりがあった.
キャベツが来る事が多かったからだ。
一個丸々千切りをする。
後は、胡瓜をいれ、コーンを散らしツナ缶を開け盛り付ける。
大抵味噌汁と、サラダを作ってる間にはカレーの具材は柔らかくなっていた。
料理終わると、サラダの盛り付け以外はセルフで人数分のお椀とお茶碗を置き、箸立てに人数分箸を入れ食卓へ置いておく。
今日はカレーなので、スプーンも一緒に入れておく。
用意が終わると、次々と帰って来た人達がカレーと味噌汁を注ぎ食卓へ向かう。
皆汗だくで、冷蔵庫から麦茶を出しテーブルにコップを置き注ぐ。
夏場の麦茶の量も半端じゃなく消費する。
4リットルのヤカン、これも河童橋で買って来たと言う。中が錆びかけているヤカンに2杯沸かす。
毎日だ。
それでも、麦茶以外飲みたい人も居て、こっそり清涼飲料水等を隠し持っている所など微笑ましい感じがした。
宮司に見つかると、あるもので食べ物はやれ。お茶はお葬式の物を使え。夏場は麦茶だ!等怒られてしまうのだ。
私も怒られたくは無い。
なるべくある物でやるが、肉等をやたら皆んなが欲する。
力仕事なのだ。意外にも。
ただ祈りをあげてるだけではなく。
お腹が空いて仕方ないと言う者が沢山居た。
だが、宮司はお茶碗1膳しか許さず、体型を保つ事をキツく言っていた。
見た目が、悪いのはダメだと。
だから、自分で盛れるカレーの時は皆、山の様に盛り付けルーも半分ではなくご飯の上から、ジャバジャバと掛け食べた。
食卓を一緒にする事が出来ない、おばさんはどうしてるのか?
それは、キッチンテーブルにイスを置き食べるのだ。
2人掛けの小さなキッチンテーブルに、用意したご飯を食べる。
幸い、食べ物に関しては差別無く同じ物が食べられた。
忙しい時は時間をずらして食べる事もあるが、基本的に昼正午になると、全員集まり一緒に食べ始める。
昔ながらの決まりだ。
そうこうしている間にあっという間に、正午になり、紗和ちゃんが、キッチンにやってきた。




