愛とは?
その日の晩、夫に求められた。
正直乗り気ではないが、断る理由もない。
私の頭の中は、夫ではない男の事で頭が一杯だった。
目を瞑り頭の中で妄想する。
「結衣、今日はなんだか激しいね。」
夫は疑問にも思う事もなく事を終えた。
事が終わると、さっさと寝ついてしまった。
私は、呆然としてただ自分に罪悪感だけが残っているのを感じた。
してはいけない事をした。
反省しながらも、その甘美な感覚にまどろんでいた。
すると、スマホがなった。
とは言え、音はならない様に消音モードにしてあるので、振動だけが響く。
「結衣、昼間はどうしたの?」
高水君だ!
わかってはいたけれど、心が躍る。
「特に理由は無いんだけど、メッセージしちゃった。」
私はドキドキしながらメッセージを入れた。
「結衣、わかってるだろ?俺は結衣だけを愛してる。けど、結衣の家族を壊す気はない。あの時の約束の通り。会う事とかは出来ないし、電話も出来ない。俺は結衣が幸せになったのを確認してから結婚したんだ。」
頭から冷水を浴びる様な感覚を感じた。
裏切ったのは、私なのだ。
まだ、許される事はないんだ。
「なんでそんな事言うの?」
私は泣きそうになりながらメッセージを送った。
「一度好きになったら、一生好き。変わらないよ。ただ、今の俺を見たら結衣は夢から覚めてしまう。だから、メッセージだけの関係でいたい。」
私は高水君の気持ちもわかる気がした。
私も老いたおばさんなのだ。
若い頃の様にはいかない。
多分、会ったら、高水君の方が幻滅する位には太くなった身体を、やはり見られたくはない。
「わかった。おやすみなさい。」
私は萎えていく気持ちで、やっとの思いでメッセージを返した。
「おやすみ。愛してるよ。」
高水君は直ぐに返事を返してきた。
愛してる。
本当だろうか?
あの日たった一回の誤ちで、私達は壊れた。
そんな思いを頭の中が駆け巡る。
何故、夫といるんだろう?
成長して、僕から俺に変わった高水君の事を考え、時間は止まらないんだ。
と、心の中で強く感じた。
そう思いながも寝ついていった。




