ドルイドは誓う
気が付けば私はベッドに仰向けになっており、はしたなく半裸の男性の体に手足を巻き付けているという姿だった。
ここはどこ?
夜久から手や足を剥がそうとしたが、私はさらに手足で彼を締め付けるという結果となってしまった。
離れようと動いた途端に、夜久が私の首筋に唇を当てたのだ。
「やっ!首筋を舐めないでよ!」
「助けてくれたら何でもするって言っただろ、お前は!サービスのサービスで、俺の部屋に運んでやったんだ。俺の栄えある懲戒免職の為にお前の股ぐらを開いて俺の息子をそこに受け入れてくれ。」
私は夜久の肩越しから世界を見回した。
鏡張りじゃない天井は木目調で、照明器具についたプロペラが動いている。
私と夜久が転がるベッドはダブルサイズであの部屋にあったベッドよりも小さなベッドだが、ベッドしかない窓も無い壁に囲まれた殺風景な部屋どころか一方の壁が柵という、あの部屋よりも異常な部屋だ。
「変態ここに極まれり。」
「失礼な。良い部屋だねって褒めろよ。」
確かに冷静になって見回してみれば、柵の向こうに階段らしきものが見えるし、その先には一段低くなってはいるが広めのリビングダイニングが見通せる。
恐らくロフト付きの部屋なのであろう。
つまり、夜久が言った通り、ここは夜久の完全なるプライベートルーム。
私は夜久から改めて手足を剥がすと、このどすけべえと大声を上げていた。
「やり部屋からやり部屋移動って最低じゃないか!」
「何だよ!約束だろ!何でもするって。」
「やだ!やるだけなのはヤダ!」
「安心しろ。やるだけじゃねえ。やりまくりのやりまくりだ。一回で終わらすことなんてしないし、お前をやり捨てることなんてないから安心しろ。」
最低なセリフの癖に私を安心させるような笑顔を作った夜久に、私はこの後の自分達の未来について尋ねていた。
「やったら結婚してくれるのでしょうね?」
あ、目を逸らしやがった。
「最低!最低!どこまでも最低男!妖精から逃げたんだから、私の行方不明で親が私を探しているに違いないわよ!あんたなんか牢屋に入れられちゃうからね!もう、どいてよ!」
私は怒りに任せて夜久を突き飛ばしたが、ベランと自分の着ているシャツがはだけたことで動きを止めた。
こんな姿で何処に行ける?
「俺の女になるんならね、俺の服くらいいくらでもやるよ?」
「服をくれたら今履いているパンツをあげるよ?」
夜久は、どうしようかな、と悩み始めた。
本気で人間的に駄目な奴だな。
私はその隙をついてベッドから降りると、ロフトの柵を開けて階段に出た。
服ぐらい勝手に漁って奪ってやる。
しかし、足は一段しか下ろせなかった。
六段しかない階段の癖に、三段目にヒョウ柄の金色の大蛇がとぐろ巻いているとはどういうことなのであろうか。
私はそろそろと後退ると、ロフトの柵をピタッと閉めた。
私の背中は硬い胸板に当たり、私を胸に受けた男は私を後ろから抱きしめた。
「俺と寝たら部屋から出してあげる。」
「お前は助平妖精と同じ程度なのか!」
「見つけた宝物に自分の名前を書き込んでしまいたい。それだけだよ。」
私は夜久に顔を向けた。
夜久が居心地が悪くなるぐらいに見つめてから、そっと両目を閉じた。
「キスして。」
「俺はキスしたら止まらないぞ?」
「ちゃんと止められたら考える。信用に足る人間だなって、十八歳の誕生日に私の初めてをあなたにあげる。どう?」
「俺は懲戒解雇されたいんだけどね。」
「無職はきついんじゃないの?」
「確かに。」
私の唇に夜久の唇が掠り、ちゃんとしたキスをしなかった事に私がむっとした顔をしたせいか、夜久はくすくすと笑いだした。
「もう。やっぱり本当は私が欲しくないんでしょう?あなたは口先だけろくでなしなのよね。」
「ハハハ、煽るな。芯からろくでなしでもね、惚れた相手には優しくするもんさ。」
私は両目をぱっと見開いた。
見開いて、夜久をじとっと睨んだ。
「俺に惚れられて嬉しくないんだ?」
「嘘くさい。私はあなたと比べれば子供じゃないの。」
「ハハハ。俺は変態だから全然平気だよ?それにな、知っているか?アナルセックスは性交に当たらないって奴。男が掘られてもレイプにならないのはそういう刑法の穴があったと言う事さあ。」
私はひゃっと叫んで両手を自分のお尻に当てた。
私の手を失ったシャツはベランとはだけた。
「きゃあ!」
再び私はシャツに手を掛けようと両手を前に出したが、その前に大きな夜久の手の方が早く動いた。
おかしな呪文を唱えながら夜久がシャツに触れれば、私が飛ばしたはずのボタンがシャツに出現し、夜久はシャツのボタンをはめて行くではないか。
「やく?」
「俺は変態だからさ、恥じらいが無い女は駄目なんだ。お前から恥じらいが無くなるぐらいならね、あと一年はお預けを喰らってもいいかもね。」
私は不要となった自分の両手で夜久の頭を包み、つま先立ちとなって夜久へと身を乗り出した。
「私はお父さんみたいな公務員を目指しているから、私の就職まで我慢して。あなたが魔法を失っても、私が就職していたらあなたを食べさせてあげられる。」
私の唇は夜久に塞がれ、夜久は笑いながら私の唇から唇を離した。
一度覚えたあの大人のキスが欲しいと下唇を舐めると、夜久は知っているとばかりに敢えて子供にするようなキスを鼻の頭にしてくれた。
「やく。」
「十三さんって呼べ。親の名づけのせいで俺はいつまでたっても中学生なんだ。だから変態で我儘だ。それからな、俺はやりまくっても魔法は失わねえよ。」
「え?」
私を抱き締める最低男は、とっても最低な秘密を打ち明けた。
私は恋人だからと。
「ドルイドは誓いによって魔力が増すんだ。俺は生でしない限り童貞と同じという誓いを立てたからな、大丈夫だ。」
「あんたは!最初にあの部屋で色々探していたのは、実は避妊具探しか!」
夜久はワハハと笑って私を抱き締め、魔力増大の為に新たな誓いを立てると言った。
私とできるようになったら、二度と他には手を出さねえよ、と。
なんて最悪な奴だ!
人物設定
夜久十三 27歳 準キャリの巡査部長
素人童貞と言い張っているが、純粋にドルイドな力を幼少時より持っている人で、童貞要件関係ない本物の魔法使い。
妖精管理と言っても妖精を逮捕して取り締まるのではなく滅ぼすだけなので、殺しの仕事を繰り返していることによって性格に歪みが出ている。
豆名都希17歳
聖マドリンド女子学園の二年
丸みのあるショートカットの黒髪
目は大きくて黒目勝ち
小柄で胸は小さい
頭脳よりも運動系の子だが、バスケやバレーボールが好きでも身長が低いために絶対にレギュラーになれない子でもある。
十三夜の別名が豆名月ということで。
お読みいただきありがとうございます。
勢いで書いたものですので、誤字脱字が多くすいませんでした。
もしよろしかったら、ぽちっとして頂けたら幸いです。




