帝国の現状と飛行宝具
−主人公−
目が覚めて親の名前を知ってから、俺はファリアンクルと一緒に生活していた。
なぜかこの剣は、目覚めて親の名前を聞いた後、宝物庫から壁をぶち破って俺の元へ飛んできて、それ以来、俺から半径5mぐらいより離れようとしないのだ。
何度もカレンや自分で引き剥がそうとしたのだが、いつの間にか戻ってきたり、捨てるたびに剣から「捨てないでえ〜」みたいな雰囲気が流れ出てきたりしたので、結局は両親も「宝具のすることだからしょうがない」と言い、城の手続きを済ませて自分の近くに置いておいてくれた。
だが、一年も経ってくると、自分の近くに居続けることを俺が迷惑がっているのが分かったのか、剣は頼めばしばらく離れていてくれたり、隠れていてくれたりするようにもなった。
それからさらに四年間、すくすくと成長していった。
身長は8歳にして140cmぐらいになり、顔立ちも将来が楽しみになるような美形へと成長していた。
だが、そんな俺を憂鬱にする事実に、この歳になって気づいてきた。
この国、もしかして割とヤバいのでは?
さっき言った通り、ファリアンクルは飛べる。
なので、剣の上に乗って帝城を夜な夜な抜け出し、地方へ行って、帝国の領土を三年かけて見尽くしてきたのだが……。
賄賂! 腐敗! 汚職!
この三つが地方では常態化していたり、治安を守り、国を守るはずの軍も弱体化しまくっているということが分かった。
挙げ句の果てには、勝手にルールを追加して農民を酷使していたり、海岸沿いには海賊と繋がっているであろう者もいた。
まだ子供で、帝城に戻らなくてはいけないということから、ずっと見続けたりすることはできなかった。
地方もそんなにじっくり見たわけではないのだが、明らかに民衆が疲れていたり、兵士が昼間から酒を飲んで娯楽に興じていたりと、ヤバすぎるということは十分に分かった。
だが、ファリアンクルでの空飛びには一つの欠点がある。
それは、帝都に常駐している騎士団、帝国最強の実力主義で、カレンの元職場でもある血晶騎士団の人員に見つかってしまうかもしれないということだ。
なんなら、初めて3日目でバレた。
そこからカレンに説明してもらい、見逃してもらうようにしたのだが、だんだん血晶騎士団で俺を見つけることができる人が増えていき、最後の方は新人教育として、高速飛行している俺とファリアンクルを見つける訓練をしている節があった。
帝都から近いほど腐敗も少なく実力主義なのだが、離れれば離れるほど腐敗などが進み、中央の意思が地方に伝わりづらくなっている感じだった。
そして我が帝国には貴族がおらず、交代制の代官が地方を自治しているのだが、代官の不正選挙や腐敗、そしてまるで貴族のように振る舞う奴もいたのだ。
俺はこれをどうにかしないといけないと思い、8歳になった今、皇帝の部屋に向かってノックをしているのだ。
―作者です―
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