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宝具とは

−主人公−


「え〜、なにこの子ぉ。精神と魂が子供にしてははっきりしすぎ〜♡」


まるでメスガキのような声で、俺は目を覚ました。


「うっ……なんだ? ここはいったい? この声は一体?」


目が覚めた俺は、メスガキみたいな口調の声の主を探すべく目を開いた。しかし、そこに広がっていた光景は、思わず目を疑うものだった。


「うっわ、真っ白。そして広っ。えっ、何この不思議空間?」


やたらと真っ白で、端が見えないような場所に俺はいた。


そこは、さっきまでファリアンクルが安置されていた場所とは似ても似つかないような場所で、何より明らかに空間に神秘的な雰囲気が漂っていた。


ただし、目の前にいるメスガキの声の主である宝具ファリアンクルを除けば。


なんかこいつのせいで、この神聖な空間がいかがわしくなってる気がする。


というか、なぜファリアンクルからメスガキの声がするの?


「ファリアンクルだよな? うちの国の宝具の?」


「え〜♡ それ以外に何に見えるのお? 視力ヨワヨワ〜、目の前も見えないのお?♡」


「いや、だって、え? なにその口調は? どこをどうしたらメスガキの声が剣からするの?」


「なにい〜♡ どうして剣から声がしちゃいけないのお?」


「うん……まあ、そういうこともあるか。じゃあ、それは一旦いいけど、この空間は何?」


「それはね〜、わたしの心象空間みたいなやつぅ♡ 安全だし、特に何かあるわけではないよお♡」


異世界で初めて見る神秘が、メスガキ宝具の心象空間ってのは嘆くべきなのか、それとも安全な場所であることを喜ぶべきなのか。


考えれば考えるだけ、よく分からなくなってきた。


なので、それについて考えるのをやめ、一回、先になぜ自分がここにいるのかを、このメスガキ宝具に聞いてみることにした。


「それで、ここがお前の心象空間とやらなのは分かったけど、なんで俺は一体ここに?」


「それはねえ♡ 君の魂と精神があまりにツヨツヨすぎて、頭に名前を送りつけることができないからあ〜、直接この空間に引き込んで伝えることにしたのお♡」


「えっ⁉︎」


メスガキ宝具の言うことに、異世界転生という心当たりがあるので、頭の中が少しパニックになって緊張し、無自覚に体が半歩ぐらい剣から下がってしまう。


「ヴェスト君、緊張しすぎ〜。そんなに精神と魂が強い子は初めて♡ だけど特に何もしないし、そんな気にすることじゃないよ〜」


「ああ……うんっ。まあ、そんなこともあるかなあ。というか、ヴェストって? まさか」


「そう! 君の名前だよお♡ かっこいいでしょ」


「かっこいい……のか? って、うわああっ」


名前を聞いたあと、いきなり背中を思いっきり引っ張られているような感覚とともに、空間に自分の体が引きずり込まれていく。


意識がまた遠くなっていく。でも、少し踏ん張って、


「じゃあね、ばいばいっ……また……ねっ……」


と言い、


「バイバーイ♡」


と言うメスガキ宝具を、意識が消えるまで見続けていたのでした。


−ファリアンクル(血晶帝国宝具)−


あの子はいったい何なんだ?


明らかに魂と精神の密度がおかしい。皇帝も皇后も知っているが、明らかにその2人から生まれただけじゃない何かがある。


そう考えながら、ファリアンクルは眠り、引っ張られていくヴェストを観察している。


そして、ヴェストが空間に飲み込まれ、完全にいなくなったのを確認してから、訳が分からなすぎて、つい、


「しかし、あのメスガキとは何だ? あいつ本人が一番好意的に感じる話し方をしたのだが、あんな話し方されて嬉しいのか?」


と疑問を口に出してしまい、


しかし、「またね」と初めて言われたファリアンクルは、ヴェストについてもっと知りたいと思うと同時に、


「お前なら、この帝国を強靭に、清潔にすることができるのやもしれんな」


と思い、期待を寄せるのだった。

―作者です―


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