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推しのパラディン様 —美貌の騎士は懐も肝っ玉も極小。見栄と気合で死線を凌ぐ顔面国宝を、限界オタク女子が見守ります—  作者: あめたす
第8章 幸福教団と、傲慢なる堕天使編

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第47話 胸部質量のバイアスと、完璧な観測手

第47話 胸部質量のバイアスと、完璧な観測手


「考えなくていい。私の絶対的な合理性(ルール)に従え」


 グラマラスな女性へと変貌したひとみ――ルシファーの放つ神速の斧は、苛烈を極めていた。

 リーチ、速度、破壊力。すべてが子供の姿だった頃とは比較にならない。

 回避不能の範囲攻撃(AOE)が次々と展開され、ダンテの銃弾もくじらの魔法も、分厚い風圧に弾き返される。


「くっ……防戦一方ですぞ! あの姿になってから、ステータスが異常な数値に跳ね上がっている……!」

 くじらが眼鏡を押さえながら悲鳴を上げる。


 だが、ハルは絶望的な連撃を盾で受け流しながら、ある違和感に気づいていた。

 (違う。ただ強くなっただけじゃない。……大人の姿になったことで、斧の『重心』がズレている)


 急速な身長の伸び。そして何より、胸部に増大した反則的な質量(バスト)。

 ルシファーのAIは「子供の体格」をベースに斧の軌道を計算していた。そのため、大人の体格でフルスイングした時、胸部の質量が慣性を生み出し、斧の振りが【0.05秒】だけ遅延しているのだ。


「ハルくんがひとみちゃんの胸の谷間に目を奪われないなんて……本物の騎士様!」

「あれだけ激しく揺れてるのに、一切動揺してないわ!」

 ぽんずとクロイツが感動の声を上げるが、ハルは「あの質量のせいで遠心力がブレて、僕の防御フレームが計算しづらい……最悪の物理演算だ」と、ただひたすらに迷惑がっているだけだった。


 (0.05秒の遅れ……僕の勘だけじゃ、パリィのフレームを合わせきれない)

 焦るハルの耳に、硬質な声が届いた。


「ククク……物理演算の誤差、私がミリ単位で補正しますぞ!」

 ハルの背後で、くじらが杖を高く掲げていた。

 彼女の瞳には無数の数式(システムログ)が浮かび上がっている。

「対象の胸部質量によるスイング遅滞、0.05秒。当方のフレーム猶予調整魔法にて、その差分を強制的に帳尻合わせ(デバッグ)する!」


-----------------------------------------

【SYSTEM MESSAGE】

▶ 魔導学者『くじら』が【時空の微睡み(フレーム補正)】を発動。

▶ パラディン『ハル』の防御発生フレームを【0.05秒延長】します。

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 カチャッ、というガラスが弾けるような乾いた音。

 くじらの支援魔法がハルを包み込んだ瞬間、ルシファーの放った致死の斧が、ハルの白銀の盾へと迫った。


 ハルが自ら一歩踏み込み、盾の角度を捻る。

 盾と斧が衝突するタイミングが、くじらの魔法によって絶対の『正解』へと誘導された。


 カィィィィィンッ!!!


 重い斧がハルの甲冑をかすめ、凄まじい火花が散る。

 ハルの心臓が警鐘のように跳ねる不快な振動。だが、ジャストパリィは完璧に成立し、ルシファーの体勢が大きく崩れた。


「なっ……私の完璧な合理性を、たかがシステム内のバグ(魔法)で調整しただと……!?」

 ルシファーの顔が驚愕に歪む。


「今ですぞ、顔面国宝殿!」

「……我が盾は友のために。」

 ハルが盾を振り抜き、ルシファーの無防備な胸元へ強烈なシールドバッシュを叩き込む。


 ドゴォォォッ!!

 強烈な衝撃波と共に、ひとみの身体が吹き飛ぶ。

 その瞬間――ひとみの背中から圧倒的な光を放つ『何か』が這い出してきた。


「――泥臭い。お前たちの足掻きは、実に泥臭くて見苦しいな」

 背中から顕現したそれは、性別を超越した絵画のように美しく、圧倒的に妖美な【堕天使(ルシファー本体)】だった。


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【プレイヤー専用外部掲示板スレッド抜粋】


631: 匿名の斥候

【悲報】顔面国宝パラディンと野良のスカラー、セクシー美女の胸の揺れによる重心のズレを計算してフレーム回避www


632: 匿名の魔法使い

マジかよあの魔導学者。ただのバフじゃなくて、相手の胸の質量によるスイング遅延と、パラディンのパリィ発生フレームの差分を魔法で強制的に帳尻合わせしたってことか? ロジックの変態かよ。


633: 匿名の重装兵

パラディンのやつ、あのエロいボディの猛攻を前に「計算しづらいから胸揺らすな」って顔してて草。


634: 匿名の暗殺者

おい見ろ! ボスの背中から本物(ルシファー)が出てきたぞ!

って、なんだあの圧倒的なイケメンは……俺、男だけどちょっとドキッとしたんだが!?

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