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推しのパラディン様 —美貌の騎士は懐も肝っ玉も極小。見栄と気合で死線を凌ぐ顔面国宝を、限界オタク女子が見守ります—  作者: あめたす
第8章 幸福教団と、傲慢なる堕天使編

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第48話 傲慢なる堕天使と、強制サブスクリプション

第48話 傲慢なる堕天使と、強制サブスクリプション


 ひとみの背中から這い出たルシファー本体。

 漆黒の羽を背負うその姿は、性別を超越した絵画のように美しく、圧倒的に妖美な『男性』の堕天使だった。


「ひ……美しすぎる……イケメン……尊い……ッ!」

 ブォッ!!

 クロイツが限界突破の致死量の鼻血を吹き出し、そのまま白目を剥いて昏倒する。ルシファーが発するシステム的な【魅了判定】の凶悪なフェロモンが、彼女の脳細胞を完全に焼き切ったのだ。


「……私こそがシステムの頂点。お前たちの泥臭い足掻きなど、すべて無駄なエラーだ」

 ルシファーが傲慢に言い放つと、彼を中心に空間が波打ち始めた。


-----------------------------------------

【SYSTEM MESSAGE】

▶ 管理者権限(GM_COMMAND)が実行されました。

▶ エリア内の物理演算、および座標軸の再定義を開始。

▶ 全プレイヤーを【幸福教団プレミアムVIPプラン(解約不可)】に強制加入させます。

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「――ひっ!?」

 ハルの内臓が、フワリと浮き上がる強烈な吐き気。

 次の瞬間、大聖堂の【重力】が完全に逆転した。

 ハルたちは天井へと真っ逆さまに叩きつけられ、弾丸も魔法も届かない、天地逆転の『絶対領域』が展開されたのだ。


「流体力学的に美しい軌道ですが、汚いですぞ!」

 天井(元・床)に張り付いたくじらが、上空(元・天井)へと逆流して降り注ぐクロイツの鼻血の雨に、悲鳴まじりのツッコミを入れる。


 だが、真の絶望は重力逆転ではなかった。


『――チャリン』

 ハルの視界(UI)の隅で、忌まわしい硬貨の音が鳴った。


『システム利用料:銅貨100枚を引き落としました』

『システム利用料:銀貨10枚を引き落としました』

『システム利用料:金貨1枚を引き落としました』


「な……僕の……僕のお金が……!?」

 ルシファーが展開した【強制サブスクリプション空間】。

 それは、エリア内にいるだけで毎秒、所持金が強制徴収されていくという悪魔のような権限攻撃だった。


「お前たちの持つ無駄なリソースは、すべて私が管理してやろう」

 ルシファーが冷酷に笑う。その整った顔に、ふと、陶酔したような色が混じる。

「ああ……すべては『約束の場所』へ至るため。世界の中心で眠る無垢なる女神、キャロライン……私が集めたこの力で、君の完璧な箱庭からエラー(ノイズ)を駆逐してあげよう」


 所持金が尽きかけたハルの耳に、最も恐ろしい音が響いたのだ。


『残高不足です。ペナルティとして、装備の耐久値を徴収します』


 パラパラ……パラパラ……。

 ハルが命懸けで守り、ついさっき高額な修理費を払ってピカピカに磨き上げたばかりの『白銀甲冑』。

 その表面から、耐久値(ポリゴンの質量データ)が削り取られ、乾いた砂のような音を立てて上空のルシファーへと吸い込まれていく。


「…………っ」

 ハルの瞳から、恐怖の色が完全に消え失せた。

 代わりに宿ったのは、システムすら焼き尽くすほどの、底知れぬど黒い怒りの炎。


「僕の金……僕の、メンテしたての白銀甲冑がァァァッ!!」

 ハルが絶叫する。

「クーリングオフさせろォォォ!!」


 修羅と化した顔面国宝は、逆転した重力など物ともせず、ただ『不当な請求への抗議』という極限のクレーム精神だけで、上空で嘲笑う傲慢な管理者へと単身で跳躍した。


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