第42話 焦熱のミキサーと石焼の極意
第42話 焦熱のミキサーと石焼の極意
ギュォォォォォォォンッ!!
ハルが構築した光のノードとオイルの誘導路により、ハーフファスの超吸引力はそのまま『巨大な炎の螺旋』へと変換されていた。
自らが吐き出した熱と吸引の渦に巻き込まれ、ハーフファスの巨体が激しく引っ張られる。
「ギガァァァァッ!? なんだこれは……! 吸い込みが私を縛るだと!? ちょっ、目が回るゥゥ! 俺は喰う側であって、スムージーにされる側じゃねェェぞォォ!!」
ハーフファスが泡を飛ばして絶叫する。
だが、ここで終わらないのがセフィロトだった。
ブォッ!!
ハーフファスは強制的に吸引を停止させると、自らの身体を激しく発光させ、第二形態へと移行した。
それは、釜の内部から全方位に向けて一切の隙間なく『超高温の業火』を放射する、文字通りの自爆特攻モードだった。
「許さねェェ! 俺の極上ボディを回した罪は重いぞォォ! お前ら全員、激辛超特大ファイヤー・コースで真っ黒焦げのウェルダンにしてやるゥゥ!!」
ドゴォォォォォォッ!!
空間の全方位から、逃げ場のない灼熱の奔流がハルたちへと殺到する。
周辺の岩が一瞬でドロドロの液体へと溶け落ちていく絶望的な熱量。
「師匠!」
「任せろ!」
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【SYSTEM MESSAGE】
▶ パラディン『ハル』が【ジャストパリィ】を連続発動。
▶ 料理人『田尾』が【強火】を発動。
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カィィィンッ! ガキンッ! ギギギギギギッ!!
ハルは一歩も引かず、極限の0.01秒パリィで四方八方から迫る業火をすべて弾き返し、田尾の中華鍋へと流し込んでいく。
弾かれた炎は外へ逃げることなく、ハルが作り上げた螺旋の渦(光のノード)によって再びハーフファス自身の周囲へと綺麗に押し戻された。
逃げ場のない熱の壁。
それはまさに、ビビンバの器(石鍋)の中で食材が徹底的に熱され、逃げる隙を一切与えられない『石焼の構造』そのものだった。
「ひゃあぁぁぁ……! ハルくんが私たちのために、極上の手料理(物理)を振る舞ってくれてるわ……ッ!」
「器の中でぐつぐつと熱せられる幹部……最高に尊い演出……ッ!」
安全圏で双眼鏡を握りしめるぽんずとクロイツが、完全に脳内をバグらせて陶酔しきっている。
「ブベェェェッ!? アッチィィィ! なんだこの熱気は! 逃げ場がねェぞ!?」
ハーフファスが自身の放った業火の中でパニックを起こす。
「なんで俺の火力が、俺の周りでオーブンみたいに反射してんだァ!? ちょ、待て! これじゃ外側だけ焦げて中が半生だろォが! 料理人なら火加減ってもんを考えろォォ!!」
ハーフファスの内部で、反響し続けた膨大な熱エネルギーが逃げ場を失い、凄まじい密度で圧縮されていく。
熱暴走。それは、敵自身が放った熱量によって、敵の内部組織が内側からこんがりと焼き尽くされていく絶対的な因果応報だった。
「プロなら自分の熱くらい、自分で管理しろ」
ハルは静かに息を吐き出し、限界まで溜め込んだ熱のベクトルを、最後の一撃として白銀の盾で思い切り殴り飛ばした。
「あ、これ……俺が一番美味しく焼けてる……ジュワァァァァッ!?」
ドォォォォォンッ!!!
ハーフファスが内側から弾け飛ぶ、耳をつんざくような甲高い破裂音。
同時に、香ばしく焦げた極上の肉とスパイスの匂いが、スタジアム中に爆発的に広がった。
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【プレイヤー専用外部掲示板スレッド抜粋】
601: 匿名の料理人
【速報】ハーフファス、野良の顔面国宝パラディンに『石焼ビビンバ』の要領でこんがり焼かれる。
602: 匿名の魔法使い
マジかよあのパラディン……! 敵の熱線をパリィで一切外に逃がさず、空間全体を石鍋に見立てて内部で熱暴走させたのかよ。物理演算と熱力学の完全勝利じゃねえか!
603: 匿名の斥候
見てたけど、ボスが内側から「ジュワァァァッ」って音立てて爆散していったぞ。
あと、周囲にめちゃくちゃ美味そうな肉の匂いが漂ってきて腹減ってきた。
604: 匿名の重装兵
あんな理不尽な超高温の全方位攻撃を、オイルと光のノードでオーブンにするって発想がもう狂ってる。
幹部が最期に「自分が一番美味しく焼けてる」って悟ってたの草。
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