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エリアの思い

巨大な氷の球体。

牢獄のような巨大氷塊が、

エリア・アニーの前に浮かんでいた。

……はっきり言って、すごかった。

水で閉じ込める。重力で脱出を封じる。

そして最後に、凍らせる。

一切の無駄がない。

俺は、その魔法に見惚れてしまった

エリアは何も言わず、巨大な氷塊を見つめている。

……次は俺の番だ。

そう思い、

俺はエリアへ向かって歩き出した。

すると、

エリアは視線を氷塊のまま、俺に静かに話す

「……なぜ、抗おうとするの。」

「生まれた瞬間から。」

「あなたと私では、差があるというのに」

俺は即答した。

「……やってみないと、分からないからだ。」

「本当に、お前と俺に差があるのか?」

エリアの視線が俺を向く

「……さっき身体に教えたはずだけど。」

「あなたの才能では私は超えられない」

「ディール・フォスターですら、この有様。」

「あなたに、何ができるの?」

俺に何ができるか?

そんなことを知らない

それでも俺の答えには迷いはなかった

「……何ができるか、それを今から確かめる。」

「俺は、否定から始めたことはない。」

「失敗したなら、学ぶだけだ。」

「俺は、死ぬまで前に進むことをやめない。」

「停滞する人生なら――」

「死んだ方がマシだ。」

その言葉に、エリアの顔は変わらない。

だが、

拳だけが震えていた。そして、

低い声で言った。

「……あなたの妄言に騙されて。」

「リリアは昨日、泣いていたわ」

「あなたはいない方がいいのよ。」

「ガイウス・レム。」

……リリアが泣いていた

俺は眉をひそめた。

「……それは本当か?」

「リリアは俺のせいでないていたのか?」

その瞬間。エリアの顔が歪む。

「……あなたのせいに決まってる。」

「私も、両親もリリアを大切にしてる。」

「あなた以外にありえないのよ」

決めつけるような声。

だが、俺の視線は揺るがない。

「……俺といる時のリリアは楽しそうだった。」

「だが次の日、来なかった。」

「“また明日”って、言ってたのに。」

リリアの顔が頭に浮かぶ。

初めてだった。俺の眉間に皺が寄る。

俺が初めて、リリアと戦った記憶を思い出した

なにかに恐れるような表情

本音を隠し続けた涙

俺の拳が強く握られた

「……リリアを苦しめてるのは。」

「お前たちじゃないのか。」

ギリッ――。

歯を食いしばる音が聞こえた。

次の瞬間。エリアが初めて叫ぶ。

「……何も知らないで!!」

「何も知らないで!!」

冷たい仮面が、ついに壊れた。

「私も、リリアも」

「神官にならなきゃいけないの!!」

「そうじゃないと――生まれたち価値はないの」

「私たち家族は幸せになれないのよ!!」

俺は静かに聞いた。

「……誰のための幸せだ。」

エリアが叫ぶ。

「家族のために決まってるでしょ!!」

俺は、一歩も引かない。

「……じゃあ。」

「神官になって、

リリアが幸せになれなかったらどうする。」

「お前たちがリリアを泣かせたんじゃないか?」

「……リリアと、本気で話したことはあるのか?」

エリアの瞳が揺れた。

そして。殺気が溢れる。

霜が広がっていく、パキパキと音がなり

より白く世界が変わっていくようだった

「……あなたに奪われてたまるか。」

「……他人は、黙ってて。」

俺は答える。

「……お前の事情は知らない。」

「だが、リリアは知ってる。」

「リリアは、友だ。」

「口出しさせてもらう。」

エリアの手が、俺へ向けられる。

「……じゃあ、死んでよ。」

エリアが叫んだその瞬間

ビューン

天から、一本の剣が氷塊へ落ちた。

パキン。パキパキ――。

氷塊に亀裂が走る。

そして。

バァァン――!!

巨大な氷塊が、内側から崩壊した。

その中から現れたのは――

ディール・フォスター。

さらに、

一本の剣が、

意思を持つようにゆっくりと空から落ちる。

ディールは笑っていない。

真剣な顔だった。

「……親父は言ってた。」

「才能は自分自身を孤立させるってな。」

ディールが、一度だけ目を伏せた。

「だから俺は、努力をやめた。」

ディールが、エリアを真っ直ぐ見る。

「なぁ、エリア・アニー。」

「……お前なら俺に届くのか?」

剣が、ディールの胸元へ落ちてくる。

ディールは、それを片手で掴んだ。

「……何年ぶりだろうな。」

「俺が、剣術に頼るのは。」

俺はディールの顔を見た

いつもの笑みはない

ディールと初めて会った時の顔を思い出した

悲しそうに諦めたような顔

そして、

俺は何も言わず後ろへ下がる。

……邪魔できない。

本能で理解した

そして、俺は初めて気づいた。

……俺はずっと、

ディール・フォスターの本気が見たかった。

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