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バトルステーツ・リベレイション〜若き番の叙事詩〜  作者: 騎士誠一郎
ランウェイの上できらめく影で、悪の笑いがこだまする
79/80

EP79 番のふくろうは、大自然から演習場、そして娯楽の摩天楼へ

村澤たちがケーニッヒ次期大統領への牽制を模索する中、美浦はテコンドー部のキャプテンを引退した。

そして、TGBMGCに向けてトレーニングを始める!

ステラリンクの青い光が、ふたりを包む。


「タイマーは2時間っと。よし、美浦、行くぞ!」


「了解! チャプター4、コンガリーナ火山攻略、スタートです!」


義人と美浦は同時にゲームへダイブした。


◆


アルフィリアクロニクル──

魔王軍に支配された異世界〈アルカディア〉を救う、シリーズ累計4千万本の国内最強級スローライフRPG。


第3作『運命の扉』は、その中でも“自由度の化け物”と呼ばれる名作。


チャプター4は、アニメ化された際に「深夜でこの作画、正気か?」とSNSがざわついたほどだ。


だが──

義人と美浦がやっているのは、攻略でもボス戦でもない。


「美浦、見ろ! ガンバリサーモン釣れたぞ!」


「やった! じゃあバザールで卸して、お昼代にしよ!」


二人は今日もスローライフ全開である。


拠点・ホッカリー村では定期的にバザールが開かれる。

今日も市場は大盛況だ。


「サーモン一箱、200Gで買い取ろう」


「助かります!」


ゲームとは思えない程の活気と、NPCの細やかな表情。その世界にいた美浦は、自然と笑みをこぼしていた。


「ここでの冒険、久しぶりだな」


「初めて一緒にやったの、覚えてる?」


「もちろん。アルフィリア1作目の時だ」


美浦がゲームに興味を持ったのは、義人と遊んだあの日からだ。

心が少しずつ戻り、感情を取り戻すきっかけにもなった。


2055年現在、FDVRゲームを使った“ゲームセラピー”は社会復帰プログラムとして認可されている。


ふたりにとっても、このスローライフはひとつの癒やしだった。


「美浦! スライム出たぞ!」


「任せて!」


緑色のスライムが跳ねる。

義人のブロードソードが唸り、スライムがポリゴン片となって弾けた。


「スライムゼリー入手。ヒーリングローズと合わせれば……」


「グレートポーション完成ですね!」


そんな調子で1クエストを終えたふたりはログアウトした。


◆


「はー、やっぱゲームって落ち着くね」


「でも現実は期末試験が迫ってるぞ」


美浦が今回義人を誘った理由、それこそ期末実技。

メタバース空間での“自己防衛実践”が試験科目に追加されたのだ。


「護身術なんて私、習ったことないし……」


「ならちょうどいいのがある」


義人が取り出したのは──


<防衛省自衛隊監修・メタバース護身術>


「父さんと自衛隊が作ったんだ。基礎はこれで完璧だぞ」


「うわ、嫌な予感しかしない!」


◆


ダイブしたのは富士演習場を再現したメタバース。


「これより、自衛隊式護身術の訓練を開始する! 初級からだ! 構え!」


教官AIが出現する。その気迫だけで空気が震える。


「い、行きます!」


美浦の回し蹴りが走る──

が、教官AIはそれを受け流し、喉元へナイフを突きつけた。


「正確だ。しかし甘い。相手がプロなら、このように一瞬で無力化されるぞ!」


「は、はいっ!」


義人も挑む。

空手仕込みの足払いから正拳突きを狙うが──


「甘い!」


腕を取られ、地面に叩きつけられた。


初級にして絶望的な差。


「行くぞ美浦、連携だ!」


「了解!」


二人が同時に飛び込むも──


「まだだ! 二人の連携に“覚悟”が足りん!」


教官AIの怒号と共に、ふたりはきれいに吹っ飛んだ。


訓練終了時には、二人のアバターはボロボロだった。


◆


ログアウト後、義人はウォーターサーバーの水を飲みながら苦笑した。


「……父さんの作るゲーム、容赦なさすぎる」


「お義父さんって、どれだけハードモード推しなの……」


美浦がぼやく。


そんな中、義人の表情がわずかに曇った。


「美浦、問題教師たち……あいつらの噂、聞いたことない?」


「ある。フリースクールを敵視して、独自ネットワーク作ったって……ニュースで見た」


体罰や精神虐待で排除された元教師が、裏で結集しているという。

“正しい教育”を掲げながら、フリースクール制度の崩壊を狙っているらしい。


労働自由監視隊も動いているレベルの危険組織。


義人は言った。


「……なんか、嫌な予感がするんだよな」


その言葉に、美浦は一瞬何かを感じたが、首を振った。


「とりあえず……今日は寝よ?」


「そうだな」


ふたりは並んでベッドに入った。


「へへ……よしくんの心臓、落ち着く」


美浦はそう呟き、義人の胸に頬を寄せながら眠りにつく。

義人もそのぬくもりを感じながら眠りに落ちた。


◆


翌日。


「来たぞ!」


「秋葉原!」


二人が降り立ったのは、日本最大級の電脳都市・秋葉原。

今日の目的は──


TGBMGC(東京グローバルボーイミーツガールズコンペティション)での衣装調達!


そして──

この秋葉原で、ふたりは“問題教師ネットワーク”が動き出した痕跡と遭遇することになる──。


次回は秋葉原でお買い物!

なにやら、問題教師たちが稲毛アウルズになにか恨みのような感情を持っているようで……?

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