EP78 悪意の胎動 (後編)
国民共産党はケーニッヒ次期大統領牽制のため、自らの行為を正当化するフェイク動画を作成。
そして、中国の信李魚とある対話をするため、中国大使館へと向かうのであった。
李魚は、側近のかずおたちとともに赤坂の高級料亭へ向かっていた。
彼らは「紅蓮機関」と呼ばれる、世界規模の思想統制組織の幹部たちである。
「世界中で、“個の自由”が肥大化しすぎている。
若者の恋愛や結婚観にまで影響が出ているのだ」
「ええ。娯楽作品や創作文化も“個性尊重”を助長していますからね。
物語から多様性が広がれば、我々の理念は揺らぐ」
李魚は静かに頷く。
かつて彼らも“多様性”という大義名分を利用していた。
しかし実態は、思想の押し付けと自己正当化にすぎなかった。
「だからこそ、我々は原点へ戻った。
“個性の排除”こそ世界を安定させる唯一の道だと」
そう語るころ、2人は料亭「えにし」に到着する。
武家屋敷を思わせる構造、美しい庭園、凛とした空気……
ここは政財界の重鎮すら密談に用いる特別な空間だった。
「信代表。今夜は“極美”コースを予約してあります」
「では、いただこう」
座敷に通された二人は、すぐに核心へ入った。
「──ケーニッヒ次期大統領ですが」
「脅威、という次元ではない」
李魚は苦々しく唸る。
「奴は“思想の監視と整理”を世界規模で進めようとしている。
場合によっては、我々そのものが粛清されかねん」
世界の裏側で、巨大な圧力が動き始めていた。
「日本支部ではどう対処する?」
「我々の立場を正当化する政見放送をJMAへ送ります。
選挙撤退と同時に、“思想安定”を呼びかけるメッセージを」
メニューが運ばれるころ、決裂寸前の闇会議が続いていた。
──悪意の歯車が、ゆっくりと動き始める。
◆
その頃のふくろうスクール──キャプテン交代の日
「明石キャプテン! 今までありがとうございました!!」
この日は、美浦がキャプテンを退任する日だった。
次の国際大会“アジアカップ”では、あかりが新キャプテンとなる。
「みんな本当にありがとう!
デジタル体育祭は悔しい結果だったけど、これからもっと強くなろう!」
義人と美浦は、稲毛アウルズの代表として世界へ飛び立つ。
その第一歩が──
TGBMGCのエキシビジョンマッチとランウェイウォークだった。
2人の今日のノルマは、最新作
『鉄血大戦ナックルバスターズ:ケイオス・ランブル』
の持ちキャラを決め、身体を「キャラのクセ」に慣らすこと。
供花がデータを開きながら告げた。
「はい、この2人ね」
「ちょっと先生!?」
「これどういうこと!?」
義人は熊の獣人戦士「ガンじぃ」。
美浦は人気悪女ヴィラン「セレナ」。
「推しキャラだから嬉しいけど……格差やばくない?」
「文句言わない。スパーリングしなさい」
◆
「いっくよ、よしくん!」
テコンドーの飛び蹴りを放つ美浦。
義人は熊の怪力「熊手衝」で正面から受け止める。
「実際の熊もこんなパワー!? 痛っ!!」
「本気で来い、美浦! 今日は慣らしだ!」
「ならこっちも……必殺、“妖魔粒子砲”!」
「来たな! ファイナルドライブ、“灰熊爆裂拳”!!」
白熱の攻防。
しかし──。
「……で?」
「反省文、書けってわけね……」
供花が額を押さえる。
「スパーリングでファイナルドライブ撃つ子たちがどこにいるの……?」
◆
そして──夜
「よしくん。反省文終わったら、私の部屋に来て?
お義父さんには“泊めていい”って言っておいたから」
義人は耳まで真っ赤だ。
(……勝てねぇ……恋の攻防には……)
その夜、2人は山小屋の美浦の部屋で一泊することになった。
「施設長さんのカレー、本当にうまかったなぁ」
「クラフト農産物を使ってますからね」
美浦は端末をセットする。
「今夜は、“アレ”やりません?」
「アルフィリアクロニクル3、運命の扉?」
「そう。協力プレイ、久しぶりでしょ?」
ただのゲーム夜会……のはずだった。
しかし、このゲームには──
後にMAVアタックの核心へと直結する“秘密の仕掛け”
が隠されているなど、まだ誰も知らない。
次回は義人と美浦が楽しくゲーム!
実は、意外なところに新しいMAVアタックのヒントが隠されています!!
シャンフロには絶対に負けない!




