EP75 ふくろうと侍の映画鑑賞会
激しい死闘を繰り広げる稲毛アウルズと仙台晴天軍。
善戦も虚しく、稲毛アウルズは初めての敗北を期す。
今後の課題に向けて、義人と美浦は絆を深め合うのだった。
翌日。
稲毛アウルズと仙台晴天軍は “交流強化” を名目に、なぜか映画館へ来ていた。
「すまんね義人くん。席まで用意してくれて」
「いいですよ一刀斎さん。うちのじいちゃん、こういうの好きなんで」
義人が軽く手を振る横で——。
「ひっ……ひぃ……!! な、なんでよりによって熊塚村シリーズなのよぉ……!」
美浦は、上映前からポップコーンを握り潰す勢いで震えていた。
「え、美浦、ホラー平気じゃなかったのか?」
「1作目で心の何かを失くしてから無理なのよッ!」
梢はというと、目をキラキラさせていた。
「いやー! 最新作ずっと観たかったんですよね!!」
温度差がすごい。
その後ろで霊子だけは、静かにニコニコしていた。
「楽しみやねぇ。フェミニストのお姉ちゃんら、どんな散り方するんやろ」
「お前はお化けより怖いわ!!」
義人のツッコミが映画館に響く。
そして、場内が暗転する。
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◆
「熊塚村2〜あるフェミニストの始末〜」
渋谷の喧騒。アイドルイベント。
その中に、ひときわ険しい目をした女性——佐藤美和子(30)。
「アイドル文化は女性搾取よぉぉぉー!!」
毎度おなじみの抗議活動である。
その夜。
美和子のもとに届いた一通の封筒。
差出人——熊塚村役場。
「……クレームの“返礼”ってワケね。面白いじゃない」
こうして美和子は、仲間5名と共に、山奥の熊塚村へ向かうことにした。
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バスが山道を登り切った瞬間、空気が変わった。
村全体が“静かすぎる”。
案内役の男が言う。
「ようこそ。熊の里へ」
笑っているはずなのに、目だけ笑っていない。
美和子は腕を組む。
(田舎男の権威主義って、こういうところに出るのよね)
しかし、同行メンバーは気づき始めていた。
——村人たちの視線が、明らかに“肉”を見る目だと。
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◆
夜。
悲鳴。
美和子は飛び起きた。
隣の部屋の扉を開けると——。
ドンッ!
巨大な影が壁を叩き割り、飛び出してきた。
暗闇でも分かる、異様なシルエット。
「く、熊……? い、いや、あれ生き物か……!?」
腐った毛皮。光る赤い眼。
人間の腕くらいある爪。
——熊のゾンビ。
美浦(現実)「うわぁぁぁああああああああ!!!!」
義人「いや美浦!? まだ序盤!!」
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◆
村民たちは、熊の“化身”として生きる怪物だった。
昼は人間の姿を真似、
夜は獲物を狩る。
「熊を侮る人間には……、“お仕置き”が必要だ……!」
村の長が呟いた瞬間——
ズッ!
暗闇に何かが走る音。
樹が倒れ、影が跳び移る。
次々と悲鳴が上がる。
直接映さない。
ただ、“見えない何か”に命を奪われていく恐怖だけが伝わる。
美浦(現実)「やめろぉ……! 音だけで怖いのやめてくれ!!」
霊子「うち好きやわ、こういう『想像させるホラー』」
義人「お前の想像力のほうが怖いわ!」
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◆
ついに美和子ひとりだけが残る。
月明かり。
彼女を囲む熊の怪物たち。
「こんなの……認めない……!
私の“正しさ”は、誰にも折らせないッ!!」
その強がりが、森に響いた瞬間——
ズシャッ!
影が走り、画面が一瞬、真っ赤に染まる。
暗転。
静寂。
梢「……え、ここで切るんですか!? 絶対アウトな描写あったでしょ今!」
義人「いや映画だから表現ギリギリ攻めてるんだろ……」
美浦「私、今日帰れる気がしない……!!」
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◆
翌朝。団体本部に届く封筒。
中には——山ほどの熊の手形スタンプと一文。
「また来てな」
梢「ゆるキャラみたいな締め方だ!!」
義人「いや怖いに決まってるだろ!!」
美浦「ぜ、全然ゆるくないよぉぉ!!」
ホラーの恐怖と、ボケとツッコミが完全に噛み合わず、
場内は妙な空気になっていた。
「いやぁ〜、フェミニストのお姉ちゃんらの散り際……芸術点高いわぁ」
霊子は実に満足そうだった。
義人「お前の感想が一番怖いんだわ!」
——こうして、ホラー映画鑑賞会は大団円(?)を迎えた。
次回はTGBMGCにむけて、美浦は雑誌の撮影に!
そこのつきそいで何故か義人も?




