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バトルステーツ・リベレイション〜若き番の叙事詩〜  作者: 騎士誠一郎
熱闘! 奮闘! デジタル体育祭!!
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EP74 番のふくろう、敗北を噛み締めて その4

ついに始まった決勝戦。

ここで勝てば自分たちの株価が上がる。

そう思い込んでいた稲毛アウルズ。

しかし、仙台晴天軍はそれほどやわな相手ではなかった……!

義人は、一刀斎の殺気を正面から受け止めていた。


(ここで──倒れるわけにはいかない!)


 マイクとの決着。

 稲毛アウルズを世界へ押し上げる夢。

 そして──クリスマスに掲げた誓い。


 拳に宿る思いは誰より強い。

 しかし──。


「言ったはずだ、義人」

 一刀斎の声音が低く響く。

「世界に認められた栄光こそ、汝ら最大の甘えだと!」


 刹那。


「天雷・孟蹴撃《テンライ・モウシュウゲキ》!!」


 梢の雷撃が空気を割き、義人の頬を掠める。

 美浦は跳躍してかわすが、その顔に焦りが浮かんだ。


「よしくん! この気迫……っ!」


「わかってる。ここからが本番だ!」


 だが一刀斎は、二人の決意を鼻で笑った。


「くだらぬ執念よ。興行に縋りつく者の弱さだ」


「そんなことはないッ!」


 義人は吠える。

 しかし次の瞬間、一刀斎の足が風を裂いた。


「神斬(カミキリ)!」


 足払い――からの連撃。

 ポイントが吸い取られるように減っていく。


「義人選手、防戦一方! これは苦しい!!」


 実況の声が遠くなる。


(……逆転は、もう……)


 そこで、美浦が叫んだ。


「よしくん!! まだ! まだやれるよ!!」


 彼女の瞳は揺れていなかった。

 涙を宿しながら、それでも強かった。


(そうだ……終わってない。俺たちは、ここまで来たんだ!)


「美浦! 合わせろ!」


「うんっ!!」


 二人が構えたその瞬間──。


 仙台晴天軍の口上が始まる。


「離反と癒着のもとに──」


「我らは此処に仇なす者を討つ」


 空気が震え、観客席の喧騒が飲まれていく。


「よしくん! 身体が……動かない……!」


「くっ……! これが、MAVアタック……!」


 身体が痺れ、視界が狭まる。

 立っているのか倒れているのかも曖昧だ。


 一刀斎の瞳だけが、鮮明だった。


「咎人は反撃を許さず──ただ沈むのみ」


 義人の耳に、美浦の小さな声が届く。


「負けたくない……まだ……よしくんと……!」


 一刀斎は言い放つ。


「我らの剣、大蛇を断ち切り、光へ導く!」


 英二郎が観客席で腕を組む。


「……勝負は、決まったな」


 地を割るような踏み込み。


「「天正・激烈波《てんしょう・げきれつは》!!」」


 雷鳴のような衝撃波が爆ぜ、

 稲毛アウルズの二人を飲み込んだ。


 光が弾け──

 世界が白く染まる。


 気づけば、マットに倒れていた。


「試合終了!!」


「天月学園総合格闘部──優勝!!」


 歓声が、波のように押し寄せた。


 その中心で、美浦は震えていた。

 唇を噛み、拳を握りしめて。


「負けた……よしくん……負けちゃったよ……!」


 涙がぽろぽろと零れる。

 悔しさを隠す気はなかった。


「俺も悔しい。……でも」


 義人は彼女の肩を抱き寄せた。


「ここで終わりじゃない。まだ、続きがある」


 美浦は胸に顔を埋め、声を震わせる。


「ねぇ……私はこれから、どうすればいいの……?」


「わからない。でも──」

 義人は、ゆっくり目を閉じる。

「認めて、次に活かす。それだけで十分だよ」


 その言葉に、美浦の表情が少しだけ緩む。


 そして。


「じゃあ……よしくんへの、プレゼント」


 彼女は涙を浮かべたまま義人の唇に触れ──

 そっと重ねた。


 温かく、柔らかく、震えていた。


「これでもう、恋人同士……でしょ?」


 義人は、静かに微笑んだ。


「……あぁ。俺も、美浦が好きだよ」


 そして二度目のキスを交わす。

 今度は、ゆっくりと。


 周囲ではアリサが羨ましそうに呟く。


「いいなぁ……青春って、こういうのだよね……」


 供花は苦笑しながらも、二人をそっと見守った。


「……準優勝でよく頑張ったわ。打ち上げはバイキングよ」


 その頃、一刀斎と梢は静かに二人を眺めていた。


「試合には勝ったが……勝負には負けた気がするな」


「あぁ。でも、あの二人は──必ず強くなる」


 観客席を包む喧騒のなか、

 稲毛アウルズの二人は寄り添い、静かに目を閉じた。


 敗北の温度が、胸の奥で熱く灯っていた。


次回は大阪の街を散策する稲毛アウルズと仙台晴天軍がある映画で大騒ぎ……?

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