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バトルステーツ・リベレイション〜若き番の叙事詩〜  作者: 騎士誠一郎
熱闘! 奮闘! デジタル体育祭!!
72/73

EP72 番のふくろう、敗北を噛み締めて その2

天月学園の一刀斎とふくろうスクールの義人は焼肉屋で初邂逅。

そして、扇治郎とかつての教え子である供花は、この先が荒れそうな予感を感じていた。

「ど、どうしてこうなったんだ……」


 義人はベッドに横になりながら、半ば呆れ、半ば覚悟を決めていた。

 理由はただ一つ── 美浦が自分を抱き枕にして寝ている からだ。


 腕に押しつけられる柔らかな感触。

 鼻先をくすぐる甘い香り。

 そして、美浦の小さな寝息が胸板に落ちてくる。


(これ、健全な高校生男子には耐久テストだろ……)


 事の発端は、焼肉を食べて部屋に戻り、いつも通りBSOへログインした時だった。



---



「やっほー! 今週のBSOニュースは夏休み直前の大型アプデのお知らせでーす!」


 レイナの明るい声が、ログインした義人と美浦──いや、ゲーム内ではヨシととフォーミンだ──を迎える。


 サーバーが一週間以上メンテに入るという告知を受け、二人は“最後の夜”の気晴らしにフリーウォークへ向かった。


「ヨシとくんが誘ってくれたなら、喜んで!」


 にこっと笑ったフォーミンは──

次の瞬間、とんでもない姿で現れた。


「えへへっ、気合い入れて、水着スキン買いました!」


「……は?」


 現れたフォーミンは、銀色の スリングショット水着。

 布の面積はミニマム、迫力はマキシマム。

 重力に逆らうように“そこ”が揺れていた。


「このまま私と溺死しましょう!」


「それ狙いかぁーーっ!!」


 フリーウォークは自由探索のはずだが、ヨシとはほぼ泳げなかった。

 精神的に。


 ──そして、夜はまだ終わらない。



---



「はぁ、美浦のやつ……リアルだったら殺人罪だぞ……」


 ようやくログアウトした義人は、眠っている美浦を横目にステラリンクを起動した。


 折りたためる携帯型VRシステム。

 ホーム画面には扉状に並ぶソフト。


「あった……<ラビットクラブ>!」


 18禁恋愛シミュレーション、AIバニーガールと飲んで親密度を高める紳士の社交場だ。


「いらっしゃいませ!」


 出迎えたのはメインヒロインのNANA。

 キャストAIの動きは最新アップデートで人間に近い。


「よっち、久しぶり。今日は一緒に飲む?」


「もちろん。いつもの頼む」


 バーチャルのカクテルが並び、会話が進み、

NANAが酔い始めたその時──


「ねぇ、私の唇……触ってみる?」


 個室へ誘い込まれ、ASMRサービスが始まる直前──


ゲームが強制ログアウトした。


「な、なんだ!?」


 ステラリンクを外す。

 目の前には──


「私が寝ている間に、AMSR体験とは……いい、ご身分ですね?」


 美浦。

 笑顔。

 しかし目は笑っていない。


「いや、これは誤解で……!」


「私だったら──」


 美浦は義人の左耳に顔を寄せ──


「こう、しちゃう」


甘咬み。


「っ……!!?」


 唇の柔らかさと、浅い歯の感触。

 背筋に電流が走る。


「や、優しくしてください……」


「OK。優しくするね」


 そう言った美浦は、義人をベッドに押し倒し、

そのままぎゅっと抱きついて寝息を立て始めた。


 温もり、柔らかさ、甘い香り。

 体中の感覚がざわつく。


(……これ、試練?)


 そして、気づけば義人は美浦の上唇を指でめくっていた。


「八重歯……かわいすぎるだろ」


 完全敗北だった。



---


◆3 


 翌朝。


「今日は“稲毛アウルズ”としてのあなたたちが戦う日よ!」


 供花の声が部屋に響き渡る。

 義人と美浦は飛び起きた。


「十分寝れました!」


「お肌の調子もバッチリです!」


 二人の顔はきのうよりも少し近く、

どこか揺るぎない絆が宿っていた。


 東北の侍。

 関東のふくろう。

 領有を懸けた因縁の決勝戦。


 そして──

この戦いは“稲毛アウルズの未来”を決定づける転換点となる。

次回はいよいよ決勝戦開幕!

ちなみに、ラビットクラブはバニーガーデンへのオマージュを込めたゲームで、お紳士様なら、ドキッとする場面が多くありますよ?

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