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バトルステーツ・リベレイション〜若き番の叙事詩〜  作者: 騎士誠一郎
熱闘! 奮闘! デジタル体育祭!!
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EP71 番のふくろう、敗北を噛み締めて その1

ついに始まったテコンドーの試合!

アリサとエリカのコンビネーションと、美浦とあかりの活躍で、決勝へ駒を進めた!

決勝戦の相手は、強豪・天月学園!

夕暮れの甲子園球場は、どこか切なさを帯びていた。

 観客のざわめきが消え、照明が落ちたスタンドには、かつてここで夢を追いかけた高校球児たちの残響だけが静かに漂っている。


 そのグラウンドで、一人の少年がバットでも刀でもなく、ただ風の匂いを確かめるように目を閉じて立っていた。


 天月一刀斎あまつき・いっとうさい

 天月流抜刀術の継承者にして、天月学園長の孫。

 生まれは没落貴族。しかし、祖父が掲げた信念が、彼の胸の奥で絶えず燃えている。


 <人生、生きていれば、やり直せる>

  「じいちゃんの剣は……形を変えて、ちゃんと残ってるよ」


 一刀斎がそっと呟いたとき、背後から聞き慣れた声がした。


「いっくん、やっぱりここにいたんだ」


 現れたのは、許嫁であり幼馴染の

 宝泉院梢ほうせんいん・こずえ


「梢か。昔の若者たちが、この場所で必死に戦っていたと思うと……胸が熱くなるんだ」


「わかるよ。いっくんは、いつだって真剣だから」


 そこへ、天月学園総合武術部の仲間たちが駆け寄ってくる。


「キャプテン!!」


「稲毛アウルズとやるんだろ! 頼んだぞ、一刀斎!」


「天月家の若き当主の力……見せてください!」


 一刀斎は静かに微笑む。


「ありがとう。みんなの想いも背負って戦う」


 そして、梢を見る。


「梢……お前とのMAVで行く。仙台晴天軍として」


「……うん。私でよかったら、いっくんの隣に立つよ」


 仙台晴天軍——天月扇治郎が二人のために編制した、東北最強のMAVチーム。

 アウルズの存在が世界を揺らした今、彼らもまた、未知の強敵と戦える喜びに震えていた。


「ほっほっほ……若いのう。まさに嵐の前じゃわい」


 天月扇治郎が、穏やかな笑みで歩み寄る。


「じいちゃん! ここでは学園長って呼べば?」


「そうじゃな。部員もおるし、そうしておけ」


 扇治郎は孫の頭を軽く撫でると、宣言した。


「明日の決勝に備えて……今日は焼肉じゃ! わしの奢りじゃぞ!」


「「「ゴチになります!!」」」



---


◆静かなる夜の前哨戦


 焼肉店は、戦士たちにとって束の間の休息地。

 武術部の面々はバイキング形式の皿を山ほど抱え、談笑しながら食欲を満たしている。


「キャプテン! このホルモン神戸牛だってよ!」


「俺は軽めでいい。それより明日に備えたい」


 そんなとき—


「よーし! 先生の奢りだー!」


 店に入ってきたのは ふくろうスクール のメンバーと、

 稲毛アウルズを率いる藤宮義人。


「やれやれ、供花ちゃんは相変わらずじゃのう」


「って天月先生!? まだ現役でいいんですか!」


 供花はいつもの調子で扇治郎をいじり倒す。


 しかし——店の空気は、一瞬で張り詰めたものに変わる。


「君が……藤宮義人か」


 一刀斎が立ち上がり、静かに睨む。


「そういう君が、天月一刀斎だろ?」


 二つの影の重心がわずかに沈む。

 抜刀術 × BSO最強——

 世界の次代を担う天才二人が、初めて真正面から対峙した。


「決勝戦が……楽しみだ」


「それは、こっちの台詞だ」


 二人は言葉だけで火花を散らし、席に戻る。



---


◆扇治郎と供花の密談


 数分後、扇治郎は供花を外へ呼び出した。


「先生、私を指名して呼ぶなんて……珍しいですね」


「供花ちゃんや。……時代が荒れる気がせんか?」


 酔っていた供花の表情が、一瞬で真顔に戻る。


「……ええ。藤宮くんたちは、時代の中心になる。間違いなく“台風の目”です」


「じゃが……あやつらはまだ“敗北”を知らん。

 勝ち続ける者は、往々にして足をすくわれる」


「……同感です。慢心は、若い子を壊しますから」


 供花の声は教師としての本音だった。


「じゃから一刀斎をぶつける。あの子は……強いぞ」


「手加減は……しないでおきます。あの子たちのためにも」


 供花は一升瓶を差し出す。


「おお……蔵丸のクラファン限定梅酒か。

 米寿祝いにしては豪勢じゃな」


「先生には、まだまだ現役でいてもらわないと」


 しかし、扇治郎の表情は曇る。


「供花ちゃん。……どうにも嫌な予感がするのじゃ」


「え? 何がですか?」


 扇治郎の瞳は、遠くを見つめていた。


「評議連合が……今年の参院選に出ん。

 村澤のやつ、何かを企んでおる」



---


◆そして静かに動き出す“もうひとつの嵐”


 その頃。

 評議連合本部・村澤かずおの私室。


「夢というものは……削除しなくてはならんな」


 資料に赤字を入れながら、男は一人つぶやく。


「夢があるから若者は迷い、個性があるから暴走する。

 平等な国を作るには、夢など不要だ」


 それは平等ではなく、

 “共産主義者だけが支配する世界” の構築案だった。


 そして——密かに開かれるオンライン会議。


<村澤さん、議題を>


<若者から夢を削除する案、完成したそうですね?>


 かずおは画面越しに、狂気じみた笑みを浮かべる。


「名付けて——

 セクレタリー・プラン。

 個性を管理し、夢を排除し、性的欲求と衝動を抑止する……

 究極の“統制国家構築計画”です」


<素晴らしい!>


<これは世界に広めるべきだ!>


「ケーニッヒが大統領になる前に、動かねばならん。

 諸君、移動の準備を」


 こうして、静かに。

 しかし確実に。


 2年後、世界を揺るがす巨大な嵐が動き始めていた。

次回は義人と美浦のBSOでの練習試合!

何やら美浦は義人に色仕掛けをするようで……?

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