EP61 番外編・ブラックジェノサイドとブロマイドと親衛隊
今回は番外編!
練習試合を翌日に控えた放課後。
ふくろうスクールの図書室は、いつもより静かだった。
「ねぇよしくん。今日の公民の宿題、どうするの?」
美浦が、机に教科書をドンッと置いてきた。
「公民の任意論文だろ? テーマはなんでもOK……だけど、結局“ブラックジェノサイドと山城ボビー知事の関係性”が一番点が取りやすいって先生言ってたじゃん」
義人は、これまでの疲労が抜けきらない顔でため息をついた。
「任意テーマって、選べるぶん逆に難しいんだよな……」
「だからこそ、準備しておかないと期末落とすよ?」
「単位落としたら卒業できねぇしな……!」
学歴社会は終わりかけたとはいえ、“基礎学力ゼロ”では生き残れない。
義人は自分に言い聞かせるようにうなずいた。
---
◆
「あ、これ良くない?」
美浦が抜き出したのは、一冊の分厚い本。
『ブラックジェノサイド備忘録』(風宮ソータ著)
社会考察の第一人者が書いた、国民必読のベストセラーだ。
「これなら論文書く材料、全部そろってるよ」
「マジ助かる。じゃ、読むか」
二人はページを開き、歴史の核心へと踏み込んだ。
---
◆
――西暦2046年。
政府は教育自由化と同時に、労働者のための“スキル別賃金制度”や“選択休暇プログラム”を発表した。
『どんな人でも、その技能に見あう働き方を!』
しかし、それに激怒したのがブラック企業群。
『労働者に甘やかし過ぎだあああ!!』
CEOたちは東京最高裁へ訴え、第一審は政府が勝つ。
するとブラック企業側は――“社員に嘘の証言を強要する”という最低行為に出た。
だが労働基準監督署はその捏造を完全に見抜き、最高裁はこう言い放つ。
『社員を盾にした企業は、すべて営業取り消しとする!』
これにキレ散らかしたのが、のちの沖縄県知事・山城ボビー(当時は本名)。
彼の会社「琉球ファイナンス」を中心に、全国のブラック企業が暴発した。
『労働基準監督署をつぶせぇぇぇ!!』
武装CEO軍団 VS 全国警察機動隊。
わずか一週間で暴動は沈静化し、主犯たちは永久追放&国際刑務所送りとなった。
しかし――山城ボビーだけは偽名で逃れ、後に政治の表舞台に返り咲くことになる。
この事件を教訓として生まれたのが、
<労働自由監視隊>
以後、彼らの活動によりブラック企業は徐々に姿を消していった。
---
◆図書室に戻ると…
「……こんな感じでまとめれば論文いけそうだな」
「うん。よしくんとわたしなら最強論文ペアだよ!」
美浦が胸を張る。
義人は思わず口が滑った。
「美浦のブロマイドでも添付したら教授も満点つけるだろ」
「バカッ!!」
ガブッ!!
「いででででででで!! 噛むな!! 噛むなって!!」
図書室に響く義人の悲鳴。
美浦はぷりぷり怒りながらも、噛み跡はがっつり残していった。
---
◆スターフェックスにて、バナナりんごフラペチール
「で、なんで俺がお前の飲み物奢ってんの?」
「噛ませろって言ったのよしくんでしょ?」
「言ってねぇよ!!」
半泣きで会計を済ませる義人。
美浦はフラペチールのストローをくわえながら、ふと思い出したように言う。
「ねぇ、聞いた? アウルズの公式ブロマイド」
「美浦のメイド姿承諾したら、転売価格えぐかったってやつだろ? 10万超えもあるとか」
「…………」
ボンッ!!
美浦のこめかみが跳ねた。
「私のブロマイド、そんなに高値つくの? じゃあ――」
「じゃあ?」
「親衛隊、潰すか……!」
「やめろォォ!! お前それ、全国規模の戦争になるやつ!!」
義人の叫びも虚しく、美浦の背後には“黒オーラ”が立ち上っていた。
後に、供花の全面バックアップを受けて本当に親衛隊が消滅するのは――
また別の話。
次回は中堅戦!
ウチナンチュ学園の中に何やらすごいなやつがいて……?




