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バトルステーツ・リベレイション〜若き番の叙事詩〜  作者: 騎士誠一郎
熱闘! 奮闘! デジタル体育祭!!
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EP60 脳筋と知略の次鋒戦

ふくろうスクールとウチナンチュ学園の練習試合が始まった。

先鋒戦は、期待の新星・一宮アリサ!

得意のスピードで善戦するも、瑞希博のパワーファイトに惜敗。

そして迎えた次鋒戦、ふくろうスクール・女子テコンドー部の頭脳、光宗あかりが出陣!

果たしてその実力やいかに!?

普段は女子テコンドー部のマネージャーとして裏方に徹している光宗あかり。

 しかし、補欠選手としての潜在能力は、部内でひそかに一目置かれていた。


「あかりちゃん、どうしたの?」


「……次鋒戦に出場させてください! 私の“知略”がどこまで通じるのか、確かめたいのです」


 その瞳には覚悟が宿っていた。

 蓄えてきた知識──無数の戦術、データ、分析。

 それがどこまで通じるのか。

 その答えを、彼女自身が欲していた。


「わかったわ。でも、絶対に無茶しないでね」


「ありがとうございます!」


 あかりはアバターを道着姿へと変更し、静かに舞台へと上がった。



「おっしゃ! 次はあたしの番だね!」


 ウチナンチュ学園から飛び出してきたのは、銀髪サイドアップのパワー系女子──


 島崎(しまさき)ことり。

 与那国島出身のウミンチュガール。

 その筋力と体力は、まさに“海育ちの怪力”。


「あたしのパワーで全部まとめて粉々にしてやるさ!」


「それは……どうかしら?」


 筋力バカ vs 策略メガネ。

 相反する二人が対峙し、


 <両者、構え──>

 <始め!>


 試合が開始された。



「おりゃーッ!!」


 開幕、ことりの正面飛び蹴り。

 威力は凄まじい──だが、あかりの瞳は揺れない。


(飛び蹴りは失敗した瞬間、向きを変える際の“慣性”で必ず隙が生まれる!)


 読み切った。


 スッ──。

 理想角度での回避。


「あらっ!?」


 ことりが体勢を崩した瞬間、あかりの軽い足払いが刺さる。

 ドサッ。


(……練習試合だからこそギリ許される技。これは使う価値がある)


 冷静に状況を分析し、次の打ち手を組み立てる。


「くそったれ! この臆病メガネ!!」


「あら? 臆病は言いすぎですよ。今日からは──」


 ヒュンッ!


 鋭い回し蹴りがことりの頬スレスレを通る。


「“胡蝶の策士”と、呼ばせてほしいですね」


 その姿は静かに、しかし確実に“戦う知性”。


「知恵と武術の組み合わせは……やっぱり手強いねぇ」


 恵が苦笑する。

 脳筋タイプが最も苦手とする“知性派ファイター”。

 その典型が、光宗あかりだった。



「そして、脳筋ファイター最大の弱点は!」


 あかりが華麗なステップで翻弄し──


「な……!?」


「“不規則な動き”をされると、対応しきれなくなること!」


 ことりの意識が一瞬ぶれる。


 その一瞬で──

 上段回し蹴り、クリーンヒット!


 ──ハーフタイム。


「お疲れ様」


 美浦が声をかける。


「すみません……私が次鋒戦に出たいなんて言ったばかりに」


「良いんだよ光宗さん。君の知略は十分すぎるほど発揮された!」


 義人は満足げだ。


 一方その頃──


「あのインテリメガネ……ムカつくわけさ……!」


 ことりが奥歯を噛みしめる。


「落ち着け。相性が悪いだけだ」


 コーイチがなだめるが──

 ことりの瞳は、獲物を狙う獅子のようにギラついていた。


「大丈夫。デリートまではしないよ?

 ウミンチュ魂、見せつけるだけさ!」



 後半戦開始。


(冷静になった脳筋タイプは厄介! 策を全部投じないと勝てない……!)


 あかりは警戒レベルを最大まで引き上げる。


「おりゃーッ!」


 ことりの中段回し蹴り。

 あかりはバックステップで避けながら下段蹴りで応戦。


「そんな小細工……あたしの力でねじ伏せる!」


 ことりが飛び膝蹴りで強襲。

 避け切れず、あかりに直撃した。


「やっぱり……“冷静な脳筋”は手強い……!」


 それでも、あかりの思考は止まらない。


 距離をとり──

 瞬時に反撃プランを再構築。


「距離は逃がさないよ!」


「やっぱりことりちゃんは接近戦(インファイト)特化……!」


 義人と美浦も冷静に観察していた。


「いくよ! あたしのフェイバリットドライブ──!」


 ことりの右足に力が集まる。


「必殺──チーターラッシュ!!」


 高速連打のキックが嵐のように襲う。

 目で追えない速度。

 だが──


(読めてる……!)


 あかりは最小限の防御で嵐を凌ぎ切った。


「あ、あたしのフェイバリットを捌いた……!?」


「あなたの技は……対策済みです!」


 今度はあかりが高速機動で撹乱。

 中段蹴りを連続でねじ込む。


「秘技──ロウリュウランブル!」


 灼熱の乱舞攻撃。

 その勢いは観客席を沸かせた。


 ──そして。


 <試合終了!>


『勝者、ふくろうスクール女子テコンドー部──光宗あかり!』


 先鋒戦の敗北を取り返し、勝負は振り出しに戻る。



「光宗さん!」


 ことりが真っ直ぐに歩み寄ってきた。

 その顔には、悔しさよりも尊敬の色。


「完敗だったよ。あんたの頭脳が……こんなにすごいなんて思わなかった」


「こちらこそ、ありがとうございました」


 固く握手を交わす二人。


 知略と筋力──相反する力がぶつかり、

 そして互いを認め合った瞬間だった。



 ──だが、その熱戦を陰から見つめていた者がいた。


「……ほう。光宗あかり。あの知能指数、利用価値が高い」


「予定を早めますか?」


「いや……まだだ。だが“2年後”までに確保しろ。あれは使える」


 黒い影が、仄暗い笑みを浮かべる。



「あかりちゃんは、将来は世界を変えるスパコンを作るのが夢なんだって!」


「そうなのか。二年後が楽しみだな!」


 義人と美浦は、無邪気に笑っていた。


 ──この日までは。


 光宗あかりの夢が、

 2年後に“国家レベルの闇”に踏みにじられることを。


 彼らはまだ、知るよしもなかった。


次回は一旦箸休め。

ブラックジェノサイド事件と労働自由監視隊の歴史と、山城ボビーの手腕が語られる!!

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