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バトルステーツ・リベレイション〜若き番の叙事詩〜  作者: 騎士誠一郎
義人と美浦のドキドキ職場体験!〜Featuringミッドナイトトレイン・ジャック〜
54/58

EP54 10時09分 東京駅到着

義人と美浦はなんとか爆弾の解除を試みる中、それに気づいたテロリストたちが反撃する。

義人の機転を利かせてこれを退け、爆弾の解除に成功する!

爆弾は止まり、列車は救われた。

 喧騒が消えたスプリームクラスで、ようやくふたりはベッドに倒れ込んだ。


「ふかふかだぁ……!」


 美浦はシーツに顔を埋め、まるで子どものようにとろける。


「それじゃ、今日は――」


「よしくんの腕枕で!」


 勢いよく抱きついてくる美浦。

 緊張の糸が切れたのか、そのまま小さく寝息を立て始めた。


 淡い吐息が義人の胸を震わせる。


「……おやすみ」


 ようやく訪れた、ほんの束の間の平和だった。



---




「畜生……なんで俺たちがこんな……!」


 拘束されたマッドが毒づく。

 クルド解放戦線は全員、東京駅で引き渡しを待っていた。


「敗北は敗北だ。だが、メディアに恐怖を刻んだのは確かだ」


 マグルは静かに、自分たちの“終わり”を受け入れていた。

 彼はまだ信じていた。

 ──自分たちが倒れても、どこかで同志が復讐を果たすと。


 一方のジョウンは荒れ狂っていた。


「納得できない! また死刑なんてごめんだ!!」


 富裕層を狙った暗殺と爆破。

 貧困と嫉妬が生んだ“狂気の死刑囚”。

 そんな男が、皮肉にも列車ではただの捕虜だった。


「ジョウン、静かにしろ。

 ……日本のバカメディアを黙らせたのは事実だ」


 そう言いながら、マッドは例の映像を思い出す。

 優子の乗ったヘリが撃墜される映像──

 日本中の報道機関を震え上がらせた“恐怖の脅迫メッセージ”だ。


 アインクラッド号は速度を落とし、静かに東京へ向かっていた。



---




「よしくん! 朝日キレイだよ!」


「本当だ……」


 沼津の海岸線に、まぶしい太陽がのぼる。

 義人と美浦は、まるで“世界に取り残された二人きり”のように眺めていた。


「豪華列車で、朝日まで見れるなんて最高!」


 美浦の笑顔は、昨夜の危機がまるで嘘のようだった。



---




 朝食は昨日注文した広島のすき焼き弁当。

 希少部位・こうねを甘辛く煮込んだ逸品だ。


「あ、この肉うまっ!」


「真空保管のおかげだね」


 テレビをつけると、事件一色だった。


『こちらが日京テレビ中継ヘリの墜落現場です――』


 燃え上がる残骸。

 だが義人はまだ、その中に姉・優子がいたことを知らない。


『爆弾は謎の人物によって解除された模様です。

 名もなきヒーローの働きと見る声も……』


 美浦は頬張りながら言う。


「名もなきヒーロー……だって」


「はは……誰のことだろうな」


 ふたりは、ただ静かに駅弁を食べ続けた。



---




 アナウンスが響く。


<まもなく東京駅に到着いたします>


「ようやく着いたね!」


「いやぁ、職場体験にしてはハードだったな……」


 スプリームクラスを降りると、

 ちょうどクルド解放戦線が鉄道警察に連行されていた。


「お前らのせいでッ!!」


 怒り狂ったジョウンが義人へ飛びかかる――

 その瞬間。


「野蛮ね。そういうの、嫌い」


 美浦の後ろ蹴りが炸裂。

 ジョウンは吹っ飛んだ。


「こ、この女……韓国武術コリアンアーツを……!」


 永瀬公安が近づいてくる。


「爆弾を解除し、自動運転を修正したのは……あなたたちですね」


「え?」


「本庁に報告済みです。後ほど、表彰があります」



---




 二人は後に警視総監から

《警視庁特別十字勲章》 を授与され、

AJRからは鉄道が生涯乗り放題の

《プライマルパス》 を受け取った。


 帰宅すると、両親が泣きながら抱きしめてくる。


「義人……本当に無事でよかった……!」


「心配したんだぞ!」


「……ごめん」


 その時、電話が鳴った。


 幸太郎が受話器を取る。


「はい、藤宮です」


 そして、表情が凍りついた。


<愛知県警です。

 ご家族にとって大変つらい知らせになるかもしれません。

 ……すぐに、県警本部へお越しください>


 ──義人はまだ知らない。


 あのヘリに乗っていたのが、姉・優子だったことを。

次回、義人に訪れる悲しい別れ。

それは、次の物語への布石となる。

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