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正式な騎士服を身に纏ったジョシュアは、恐ろしいほどの男ぶりだった。


後ろで一つに結んだプラチナブロンドと黒い騎士服のコントラストが人目を惹きつける。立ち姿も凛々しく美しい。長い睫毛に縁取られた切れ長の赤い瞳は鋭く、形の良い鼻梁や男らしい顎と喉仏が堪らない色気を醸しだしている。


結局、ジョシュアとギャレット騎士団の若手エースと呼ばれる騎士が一対一の実戦形式で演習を行うことになった。


演習場で進み出たジョシュアが一瞬アリシアの方を見た気がしたが、気のせいだろう。


審判役の騎士が開始の合図を出すと、ジョシュアの赤い瞳がギラリと光った。


ギャレット侯爵側の騎士がジョシュアを見据え、剣を鞘から抜き放つ。


ジョシュアも素早く剣を抜くと、キィンと耳に響く金属音を立てて刃を合わせる。そのまま刃を滑らせると合わせた相手の剣を跳ね上げた。


剣を失った騎士は信じられないというように呆然と立ち尽くす。


ほんの数秒の出来事だった。


「……遅いな。あんた、本当に騎士団のエースなのか?」


不敵な声をあげたのはジョシュアだった。


「くっ、舐めやがって!」


ギャレットの騎士たちが気色ばむ。


「余程の自信があるようね。では、一対十だったらどうかしら?」


キャサリン夫人の言葉に、周囲が騒めいた。隣にいるギャレット侯爵も「いや、それはさすがに……」と狼狽えている。


(十人相手に!? そんな無茶な!? ジョシュア様がいくら強いと言っても、怪我でもしたらどうするの?)


アリシアは内心気が気ではない。


しかし、ブレイクも近衛騎士団の団長も平然としている。


ジョシュアは平然と言い放った。


「構いませんよ。それなら多少は運動になるだろう。ただ、殺したくないので俺は木刀で戦わせてもらう。相手は本物の刀剣を使って構わない」


ギャレット騎士団はますます殺気立つ。


その中で腕に覚えがありそうな騎士達が前に出てきた。


ジョシュアは隅に置いてあった木刀を握って演習場に戻ってくると、自分の剣を同僚の騎士に鞘ごと預けた。


「ば、ばかにしやがって!」


苛立たしそうに呟くギャレット侯爵側の騎士は十人。


ジョシュアは彼らに正面から対峙しても遥かに余裕があるように見える。


いざ戦いの合図が出されても、ジョシュアは木刀の重さや感覚を試すように軽く素振りをしている。それでも攻撃できないのは彼から滲みでる殺気のせいだろう。


獣のような獰猛な表情を浮かべるジョシュアに恐れをなしたのか、ギャレットの騎士たちは一歩も動くことができない。


ギャレットの騎士たちの方がジョシュアの迫力に気圧されて、剣を構えたまま狼狽しているのが分かる。


「遊びにもならないか?」


そう言いながらジョシュアが一歩踏み出すと、それに押されて一人の騎士が一歩後ろに下がった。彼に向かってジョシュアは物凄いスピードで近づくと、木刀で腰を一撃した。


一瞬の攻撃で、床に崩れ落ちて蹲る騎士。


それを見た他の騎士らが一斉にうわぁぁぁぁぁぁぁっと叫びながらジョシュアに襲いかかった。


ジョシュアは驚くべきスピードでそれら全ての攻撃を避けつつ、木刀で相手に打ち込んでいく。


相手の剣を躱し、時には相手の胸倉を掴んで投げ飛ばしながら戦うジョシュアはまさに戦鬼というのが相応しい強さで、その場に居る人間は全員圧倒された。


ジョシュアの強さに息をのみながらも、その動きの美しさにアリシアは見惚れた。


(戦っている時のジョシュア様は本当にカッコいい。まさに戦神だわ)


その時ギャレットの騎士の一人の手から剣がすっぽ抜けた。その剣が一直線にアリシアに向かって飛んでくる。


突然のことでアリシアは動くことができない。


(もうダメだ!)


アリシアはギュッと目を閉じた。

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